『ラスト・ハウス・オン・ザ・レフト -鮮血の美学-』(2009) - The Last House on the Left –

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オリジナル『鮮血の美学(1972)』を丁寧にリメイクした本作。登場人物も丁寧に描き直され、とても分かりやすいサスペンスものとなったが、どちらが好きか?と聞かれたらオリジナルの方かも..。こちらは絵が綺麗すぎて「作り物」として安心して観ることができる。対してオリジナルの方は全編を通して狂気に満ちあふれていた。
 
The Last House on the Left(2009)_00
■ラスト・ハウス・オン・ザ・レフト -鮮血の美学- - The Last House on the Left -■
2009年/アメリカ/114分
監督:デニス・イリアディス
脚本:アダム・アレッカ、カール・エルスワース
製作:ウェス・クレイヴン 他
製作総指揮:レイ・ハバウシュ
撮影:シャロン・メール
音楽:ジョン・マーフィ
出演:
トニー・ゴールドウィン(ジョン・コリンウッド)
モニカ・ポッター(エマ・コリンウッド)
サラ・パクストン(メアリー・コリンウッド)
スペンサー・トリート・クラーク(ジャスティン)
マーサ・マックアイサック(ペイジ)
ギャレット・ディラハント(クルーグ)
アーロン・ポール(フランシス)
リキ・リンドホーム(セイディ)
マイケル・ボーウェン
ジョシュ・コックス

解説:
ウェス・クレイヴン監督のデビュー作「鮮血の美学」を、ウェス・クレイヴン自らのプロデュースでリメイクした戦慄のバイオレンス・ホラー。静かな湖畔を舞台に、愛娘が残忍なギャングたちの犠牲になったことで怒りに駆られた両親の壮絶な復讐劇が展開する。出演はトニー・ゴールドウィン、モニカ・ポッター、サラ・パクストン、ギャレット・ディラハント。監督はこれがデビュー2作目のデニス・イリアディス。
 (allcinema)
 
あらすじ:
湖畔の別荘に休暇に訪れたコリンウッド家。17歳の娘メアリーが地元の友達ペイジと遊びに出るが、こっそりとマリファナを手に入れようとして残忍な犯罪者一家と遭遇してしまう。結果、ペイジはなぶり殺しにされ、メアリーも暴行を受けてしまう。それでもその場を何とか逃げ出したメアリーだったが、銃で撃たれ瀕死の状態になってしまい-

 


The Last House on the Left(2009)_25暴行を受けた娘の両親が犯人に復讐する―
前半は可愛らしい娘2人の楽しい様子から、殺人も平気で犯す犯罪者との遭遇、1人は殺され1人は暴行され、、、という展開で、後半が両親の復讐劇となる。物語はオリジナルとほぼ同じなのだが、当然、時代も出演者も違うから、かなり全体的な印象が変わる。
 
オリジナルはのどかな郊外に住む娘2人が都会に出て酷い目にあったが、こちらは元々が都会住み。田舎の別荘に遊びに行ってそこでたまたま通りすがった酷い奴らと出会ってしまう。リーダーのクルーグは起訴され刑が決まった殺人犯で、刑務所への移送途中に仲間である弟と愛人、息子の手助けによって脱走中。
かたやメアリーは父親が外科医のお金持ち。都会のセレブお嬢さんな感じが、犯人達、とりわけ愛人セイディをいらだたせる。メアリーの友人ペイジがちょいワル女子でマリファナを手に入れようとしたのが、この事件のきっかけとなったのはオリジナルと同じだ。

The Last House on the Left(2009)_28まだまだ世間知らずの2人の娘だが、この集団と顔を合わせた途端、危険を感じ取りなんとかその場を離れようとしたが時既に遅く、顔を見られたクルーグは2人を車に押し込み、森へと連れ去り酷い目に。
この森では、オリジナル、リメイクともに見るに堪えないシーンが続く。逃げ出したペイジを執拗に追いかけ、殴りつけた上に楽しそうに刺し殺す兄弟。オリジナルではセイディもかなり酷く、刺すのを手伝っていた。それが終わると今度はメアリーを暴行。このシーンはリメイクの方が時間をかけ、すごくリアルに描かれている。
 
その夜は嵐になり、帰らないと娘から連絡を受けていたメアリーの両親の元へ、車が事故ったからと助けを求めて訪れた犯人達。ここからの展開もオリジナルと同じだが、こちらの方はじっくり時間をかけ、怪しい集団だと思いながらも親切に招き入れ、娘に起きたこととその犯人を両親が知るところはかなりサスペンス性が高い。そして普通の一般市民である両親が犯人達1人1人を力を合わせて退治していく場面も手に汗握る。
オリジナルに比べてとても分かりやすく、きっちりと作られているのだが、何が不満かと言えばクルーグの息子ジャスティンの扱いだ。

The Last House on the Left(2009)_15比べることが続くが、オリジナルでは少しぼうっとした役回りで、役立たずの父親の言いなりだったのが、なかなか逆らえないところは一緒でも、リメイクではもっと考えと良心を持った青年にしてしまった。
まず娘2人と最初に出会う形から違って、オリジナルはマリファナでつってわざとクルーグらの元へ連れ込んだのに対し、こちらは、たまたまという設定に。そして最後まで、この息子に物語の進行を手伝わせてしまい、「救い」を作ってしまった。この犯罪者集団に「まとも」さを付け加えてしまった。
それは息子だけでは無い。愛人セイディも何かとクルーグを手伝うが、時々見せる「あ、ちょっと可哀想だな..」とでも言いたそうな表情が「まとも」さを醸し出す。オリジナルのセイディはホントに最低だったですからね、一番ひどいと言っていいほど。せめてセイディは狂気の女を貫き通して欲しかった。中途半端だ。
 
The Last House on the Left(2009)_23そしてラスト。
これは大きく違う。ここもやっぱり中途半端で不満。オリジナルのレビューで思わず書いた「目には目を、歯には歯を、不条理には不条理を」が出てこなかった。何故かはオチになるので書かないでおきましょう。
 
ということで、このリメイク『ラスト・ハウス・オン・ザ・レフト -鮮血の美学-』を観たならば、ぜひオリジナル『鮮血の美学』を観て欲しい。本当に救いが無いですから。
ちなみにどちらも原題は「The Last House on the Left」。「左の道の行き止まりにある家」といった意味。
ではまた