『ジャックと天空の巨人』(2013) - Jack the Giant Slayer –

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貧乏でお金は無いけれど前向きで冒険好きなジャックと何も出来ない女の子と思われたくないイザベル姫。柔軟な思考を持とうと努力する王様と命をかけても王に仕える臣下達。腹黒いナンバー2とその手下。それに人間を食べることが生きがいの巨人軍団。もう最高なお伽噺!何を思いだしたか?「リボンの騎士」ですよ!
 

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■ジャックと天空の巨人 – Jack the Giant Slayer -■
2013年/アメリカ/114分
監督:ブライアン・シンガー
脚本:ダレン・レムケ 他
原案:ダレン・レムケ 他
製作:ニール・H・モリッツ 他
制作総指揮:リチャード・ブレナー 他
撮影:ニュートン・トーマス・サイジェル
音楽:ジョン・オットマン
出演:
ニコラス・ホルト(ジャック)
エレノア・トムリンソン(イザベル姫)
ユアン・マクレガー(エルモント)
エディ・マーサン(クロウ)
スタンリー・トゥッチ(ロデリック卿)
ユエン・ブレムナー(ウィック)
イアン・マクシェーン(ブラムウェル王)
ラルフ・ブラウン(エンティン将軍)
ビル・ナイ、ジョン・カーサー(巨人/ファロン将軍)

解説:
 「スーパーマン リターンズ」「X-MEN」シリーズのブライアン・シンガー監督が、有名な童話『ジャックと豆の木』を下敷きに描く3Dアクション・アドベンチャー大作。不思議な豆を手に入れた青年ジャックが天空に囚われた王女を救出すべく、恐るべき巨人たちを相手に繰り広げる大冒険の行方を迫力の3D映像で描く。主演は「シングルマン」「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」のニコラス・ホルト、共演にエレノア・トムリンソン、ユアン・マクレガー。 (allcinema)
 
あらすじ:
貧しい農夫の青年ジャックは大事な馬と引き替えに恐ろしい力を持つと言う豆を手に入れる。冒険を求めて城から抜け出したイザベル姫がジャックの粗末な小屋に偶然雨宿りに寄った嵐の夜、こぼれた豆に雨水が染み込み巨大なつるとなったそれは空へと高く高く伸び進んだ。小屋ごと巻き込み天空へと伸びるつるから、なんとか姫を助け出そうとしたジャックだったが、姫を小屋に残したまま地上へと落下してしまい-

 


Jack the Giant Slayer_27元になる童話「ジャックと豆の木」には複数のバージョンがあるものの、巨木を伝って巨人夫婦の住む城へ忍び込んだジャックが巨人の宝をこっそり盗んでいるところを見つかって、追いかけてきた巨人を巨木を切り倒すことで殺した上、その宝で裕福に暮らしていくという、実はちょっとひどいジャックが主人公。舞台は9世紀のイングランド。
 
本作のジャックは純粋で前向き、正義感にあふれた冒険好きな若者だ。子供の頃からの愛読書は「エリック王の魔法の冠」。古くからイングランドに伝わる伝説で、巨人から王国を守ったエリック王のお話だ。このエリック王の血を引く王家のイザベル姫もこのお話が大好きなティーンエイジャー。まだ見ぬ2人をこの物語が結びつけていく。
 
ジャックが巨大なつるを登っていった目的は姫を助けるということのみ。一緒に登っていくエルモント隊長をはじめとした王の臣下達の目的も同じだ。しかし!姫の許嫁ロデリック卿とその手下ウィックの目的は他にあった。
Jack the Giant Slayer_16この2人の設定は色々な小説、映画、コミックなどでよくあるものだろうが、一番分かりやすいのが手塚治虫氏作「リボンの騎士」のジュラルミン大公とナイロン卿(特にナイロン卿は見た目もそっくり)。世界をその手にしたいという野望のみを抱いて、天空へと登っていく。正真正銘の悪役だ。
 
彼らを地上から見送るイザベル姫の父ブラムウェル王。
年の離れたロデリック卿を姫の結婚相手に決めたのも国を思ってのことだったが、姫は抵抗する、抵抗する!「私を何も出来ない女の子と思っているんでしょっ?」と父に向かって刃向かったうえ、家出まで決行する娘。父親の頭は痛いが、この父親は王国を治める王でもある。娘の命と王国の未来を天秤にかけなくてはならない場面になった時、王は王として決断する(なかなかカッコいい)。

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王役はイギリスの俳優イアン・マクシェーン。『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉(2011)』では黒ひげ、TVドラマ「アメリカン・ホラー・ストーリー精神科病棟(2012)」ではサイコキラー“エマーソン”。他にも多数の出演作があって全部は観ていないが、悪役ではない彼を初めて見た気がする。なかなか威厳のある王だった。それでも肖像画のシーンでは笑ったけれど。
 
Jack the Giant Slayer_28今回のユアン・マクレガー(エルモント)。
王の忠実な臣下で王と王家、王国を守るためにその全てを捧げているが、その振る舞いは自然で計算も欲も無い。それでいて部下や一般の人にも優しくおごりも無い。馬に乗って颯爽と現れる初の登場シーンや、ジャックとのやり取りもスマートであり、かつユーモアもある。戦術にも長けており非の打ち所が無く、ようするにカッコいい
ちょっと情けない弱い部分もある、人間味のある人をよく演じる彼だが、今回はあまり心の内をさらけ出さない隊長を演じていた。横にいるのは一番の相棒クロウ。
そんな隊長がパイ生地に簀巻きにされ、豚巻きと一緒に並べられているシーンは一番の見所。 

     
  フィー、ファイ、フォー、ファム
雷と共に巨人が来るぞ
天空には世にもおぞましい
巨人たちの国がある
 
     

こうして始まる伝説の物語だが、「フィー、ファイ、フォー、ファム」とは巨人の王ファロン将軍の4人の部下の名前。しかし巨人軍の場合は部下といえども油断はならない。伝説のエリック王の時代から何百年もの長い間、天空に押し込められ不満を溜め込んできた。中でも一度覚えたヒトの味が忘れられない。
巨人軍をまとめる者に必要なものは恐怖と気迫だけであり、それはいつでも取って変わられる危険性がある。狙っているのはフィー、ファイ、フォー、ファムの一番の部下も例外では無いのだ。厳しいね。
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ファロン将軍の中の人にビル・ナイ。また緑色だかグレー色だかのスーツでこの役に挑んだようだ。レンタルにはメイキング等の特典映像が無かったので確認は出来なかったけども。
 
 
Jack the Giant Slayer_34元の童話と同じ地上に逃げ帰り、巨木を切り倒してハッピーエンドになるはずだったが、こちらの物語では後半戦がここから始まる。上の登場人物達のお伽噺に加えて結構きちんとした戦闘シーンまであるのだから、最近観た『オズ はじまりの戦い』に比べて大人も充分に楽しめる作品となっている。
特に巨木となったつるを1万メートルの高さまで登るのに一昼夜以上かかるとしたところに、童話にないリアルさを感じた(それでも素の人間に無理な話だけども)。
 
ではまた