『ハンガー』(1983) - The Hunger –

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「初夏のホラー祭り」大取作品にコレを。そもそもコレを観たくてどさりと借りたホラーDVDだったのだ。
キラリと光る犬歯がぐんぐん伸びて、ガバァーっと大口で噛み付くヴァンパイアものと違って、本作には血を吸う直接のシーンは無いものの、カトリーヌ・ドヌーヴとデヴィッド・ボウイのけだるく隠微でありながらスタイリッシュな美しさがとってもイイ! 冒頭のディスコで「ベラ・ルゴシの死(Bela Lugoshi’s Dead)」を歌うバウハウスのヴォーカル、マーフィーの歌声も、今から始まる物語への期待を盛り上げる。
 

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■ハンガー - The Hunger -■
1983年/イギリス/96分
監督:トニー・スコット
脚本:ジェームズ・コスティガン 他
原作:ホイットリー・ストリーバー「ウルフェン」
製作:リチャード・シェファード
撮影:スティーヴン・ゴールドブラット
音楽:デニー・ジャガー、デヴィッド・ローソン 他
出演:
カトリーヌ・ドヌーヴ(ミリアム・ブレイロック)
デヴィッド・ボウイ(ジョン・ブレイロック)
スーザン・サランドン(セーラ・ロバーツ)
クリフ・デ・ヤング(トム・ヘイヴァー)
ダン・ヘダヤ(アレグレッツァ警部補)
ウィレム・デフォー(公衆電話の横の男)

 

解説:
CMディレクターとして活躍していたトニー・スコットの長編映画デビュー作。出演者にカトリーヌ・ドヌーヴ、デヴィッド・ボウイ、スーザン・サランドンの大物が名を連ね、CMディレクター出身らしい音とカットの使い方で、スタイリッシュでありながらスモークなどを使ったゴシックな映像が美しい。
 
あらすじ:
ニューヨークに建つ豪奢なアパートに住む一組のカップル、ミリアムとジョン。贅沢な美術品に囲まれ暮らす彼らは人の血を糧にする生き物だった。そんなある時、若さと美を永遠に享受するはずだったジョンの老化現象が突然始まる。慌てた彼は「老化」について研究するセーラ・ロバーツ医師を訪ねるが、相手にされない。
一方、ミリアムは次の伴侶としてセーラに目を付ける-

 


夜中だというのにサングラスをかけ、タバコをくゆらす人々。ディスコにはそういった男女があふれ、音楽に合わせて身体を揺らしている。バンドはゴシックの元祖とも言えるBauhaus。(昔好きだったJoy Divisionをちょっと思い出した。)

 
The Hunger_Movieライトが点滅する店内で一際目立つ美しい男女。彼らはそれぞれのお相手を見つけて、豪奢な家に連れ帰る。一通りお酒を飲んだ後、二組に分れた途端、叫ぶ暇をも与えずにその場は血に染まる。
ジョンがミリアムと出会って200年。その時からジョンはヴァンパイアとして生きている。ミリアムの年は分からないが数千年の時を生きてきた。
永遠の若さ。永遠の命。永遠の愛-。
 
彼らは人間ではないが、鏡に映る。写真にも映る。強すぎる日差しでさえ無ければ、昼間外に出るのも平気だ。1日に6時間ベッドで眠り、週に一度獲物を捕まえれば大丈夫。永遠を生きていける。

The Hunger_Movie1983・・・はずだったが、ジョンは最近眠れなくなった。髪も抜け始めた。目尻の皺も気になる。老化が始まったのだ。
純血の血を持つミリアムには起こらない。ミリアムが選んだ恋人は数百年生きた後、こうやって次々と老化が始まった。ヴァンパイアである彼らはこうして肉体がゾンビのように老化し、朽ち果てる寸前になっても死ぬことは出来ない。横たわっているしかない姿のまま、永遠に見て、聞いて、感じ続けるのだ。そして若く美しいままのミリアムは新しい恋人を手に入れる。元の恋人達はそれを近くでずっと感じていなくてはならない地獄が永遠に続く。
 
The Hunger_Movie1983ジョンはたまたまテレビで見かけた「老化」を研究する医師セーラが勤める病院を訪れる。しかし、彼の話を冗談だと思ったセーラは取り合わなかった。ジョンはこの間にも急速に加齢した。100歳を超えた身体で家にたどり着いたジョン。ミリアムにはもう助けることは出来ない。そして「殺してくれ、解放してくれ」と叫ぶ彼を恋人達の墓場へと運んだのだった。
ミリアムは次なる恋人を選んだ。男性、女性は関係ない。この後数百年、もしかしたら永遠に愛し合うことが出来さえすれば-

  

 
地獄ですね。
The Hunger_Movie1983永遠に愛し合えると思ってミリアムの恋人になったジョンをはじめとする恋人達。結局、自分のような完璧な命を手に入れられず、恋人の肉体の死を何度も味わうことになるミリアム。そして肉体は老いさらばえても見聞きし感じることが出来るが故に、ミリアムと新しい恋人の生活をずっと見守っている歴代の恋人達。
 
どちらにせよ、永遠の命を生きていく自信はないわー、です。何百年後かの未来や何千年か前の過去を見てみたいとは思うけれども、何千年も生きるとか、頭が爆発しそう。前から思っていたけれど、ヴァンパイアな人というのはよっぽど強靱な精神の持ち主に違いない。じゃないと、結局ルイ(インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア)みたいになるんだろーな。(実在しないから、いいんですが)
 
 
The Hunger_Movie1983永遠の命を欲しいと願う気持ちをあまり理解できない自分ですが、永遠の命を手に入れたカトリーヌ・ドヌーヴとデヴィッド・ボウイは非常に美しい。そしてこの作品は30年前のものだけど、デジタル処理されたDVDの画像はとても綺麗。使われている音楽も(好みのせいか)古さは感じられず、「永遠の愛」というテーマも手伝ってか、作品そのものに古さは全く感じられない。しいて言うならば、まだ駆け出しのウィレム・デフォーのあまりの若さに「あー、随分前の作品なんだな」と思うくらい。

何千年も生きてきたミリアムが次に選んだ恋人セーラは、次世代のヴァンパイアという感じで、ミリアムのゴシックな美しさや動きがより際立っている。そして非常に美しいミステリアスなデヴィッド・ボウイなのに、あっという間に老化して可愛そうなことになってしまうので、序盤のシーンで思いっきり堪能しておくのがミソ。
 
なんか「美しい、綺麗」ばかりのレビューになりましたが、DVDでは故トニー・スコット監督とスーザン・サランドンの解説付バージョンもあるので、それも楽しめますよー。それと、この『ハンガー』は、この後、デヴィッド・ボウイがストーリーテラーになってドラマ化されている(『クリープショー』みたいな感じ)。レンタルしてるから今度借りてみよう。
ではまた
 
↓若いウィレム・デフォーをちょっと見られる