『ビバリウム』 (2019) - Vivarium

なんか前にも同じようなものを観た気がしないでもないけれど、日頃、アクアリウムだ、テラリウムだ、プラネタリウム(これは違う)だと自分勝手に生き物を狭い場所で飼っている者の身としては、ちょっとドキッとした内容と結末だった…


■ ビバリウム - Vivarium – ■
2019年/アイルランド・デンマーク・ベルギー/98分
監督:ロルカン・フィネガン
脚本:ギャレット・シャンリー
製作:ジョン・マクドネル他
撮影:マクレガー
音楽:クリスティアン・エイドネス・アナスン
出演:
イモージェン・プーツ(ジェマ)
ジェシー・アイゼンバーグ(トム)
ジョナサン・アリス(マーティン)
ダニエル・ライアン(母親)
セナン・ジェニングス(少年)
エアンナ・ハードウィック(成長した少年)


解説:
不動産屋に紹介された住宅地から抜け出せなくなったカップルの運命を描いたサスペンススリラー。「ソーシャル・ネットワーク」のジェシー・アイゼンバーグと「グリーンルーム」のイモージェン・プーツが主人公カップルを演じる。プーツは第52回シッチェス・カタロニア国際映画祭で最優秀女優賞を受賞。

あらすじ:
新居を探すトムとジェマのカップルは、ふと足を踏み入れた不動産屋で、全く同じ家が建ち並ぶ住宅地「Yonder」を紹介される。内見を終えて帰ろうとすると、すぐ近くにいたはずの不動産屋の姿が見当たらない。2人で帰路につこうと車を走らせるが、周囲の景色は一向に変わらない。住宅地から抜け出せなくなり戸惑う彼らのもとに、段ボール箱が届く。中には誰の子かわからない赤ん坊が入っており ―

(映画.com)

ビバリウム :自然動物園、生態動物園、生息環境を再現した飼育・展示用の容器


庭師のトムと教師のジェマは新居を探している仲のいいカップル。ある日、何気に立ち寄った不動産屋に郊外にある開発したての大きな住宅地「ヨンダー」の新築住宅9番に案内される。”見るだけ”のつもりで不動産屋マーティンの後を付いて、家の中を見回る二人。だが、こちらとしては、家の中より何より、この家自体もさることながら「綺麗に揃えたでしょ?」と言わんばかりの開発住宅地ヨンダーそのものが、かなり普通とはかけ離れていて、初めて見させられた時から落ち着かない。二人は若いからなのか?この奇妙さに気が付いてない?

グリーンの塀にグリーンの壁、全く同じつくりの家がきちっと同じ寸法の土地に綺麗に並んでいる。とても綺麗にどこまでも。延々と続く個性の無いグリーンの壁、一本ずつ全く同じ場所に植えられたまだ育っていない木、裏庭にはガーデンベンチや物干しまでがお揃いでどの家にも置かれている。同じ家が数十軒、数百軒も並ぶこの町にさすがに二人は興味を持てず、裏庭から家に入りもう帰ろうとマーティンを探すも、どこにもいない…。彼の車がなくなっているのを発見した二人は「じゃ、僕らも帰ろ」と自分たちの車を出した。
だが、行けども行けども町並みは終わらず、また9番の家の前。トムが運転を代わったものの、結果は同じでこの町から出ることができない。どこまでも続く家並み、絵に描いたようなぽっかり浮かぶ雲、誰もいない、車一台走っていない、、。時間ばかりが経ち、すっかり日が暮れガソリンも尽きてしまった。途方に暮れる二人が顔を上げると、そこはまた9番の家の前だった。

冷蔵庫にある味のしないイチゴとシャンパンをお腹に入れ、とりあえず9番で眠る。翌日は朝早くから、一直線に太陽を目指し壁を越え庭を渡り歩いたものの、また9番に戻ってしまう。またもや日が落ちたところへ、いつの間にやら食料や生活品が入れられた段ボールが一つ届けられた。我慢できなくなったトムは9番の家に火をつけ助けが来るのを待ったものの、、、翌朝目が覚めると家は元の通り、そしてもう一つの箱が。
その箱には「育てれば解放される」の一文とともに赤子が入れられていた -


さーて、ここからこの若い二人がこの事態をどうやって打開していくのか?仲良くやっていけるのか?赤子はいったいどうなるのか?なんかから目が離せなくなっていく。赤子はご想像通り、あっという間に成長し3か月がたつ頃には小学生くらいになっているんだけど、まぁ、この子が全くかわいくない(-.-)
思い通りになるまで「キャァァァーーーーーーーーーー!!!」って叫ぶし(赤ちゃんの泣き声のつもりか?)、話し声はおやじくさいし、いつも二人を監視するように見ているし、話の内容を覚えて真似してくるし、どう見ても「ヒト」の感じがしない。

icon-arrow-up これはだいぶマシ

ここまできたら、あぁこれはミステリーとかじゃなくて、アレか?例のSF関係のエで始まる系か?ってニヤリとしてくる。何よりタイトルが「ビバリウム」。ほとんど「飼育箱」と考えていただければ間違いないかと。中の生き物に合わせてそれらしい環境を整えて、「どう?いい感じでしょう?これなかなか手に入らなくて高かったんだよ~」って大きな顔が近づいてくる・・・(*_*;
怖いよね?知らないところに急に放り込まれて、「いいでしょう?」って違うから。大体、自分は南米生まれなのに横にいるやつアフリカ産だよね?ぼんぼんぼんぼん水草植えて植えすぎよ、だから枯れるっちゅうの……あっ、とても個人的な例えになっていました(-.-)

ともあれ、慣れない場所に強制的に入れられた生物はやがて弱って、下手したら命がなくなってしまうんです。まず精神的に弱ってきたトム。ジェマは自分を守るために可愛くない少年に母性で対応しようとするけれど、理性がそれを許さない。家の壁はグリーン、部屋の壁をブルー系で揃え、いくら「人間よ、落ち着け。冷静に毎日を送れ」と言われても、こんな機械みたいな町や家で人間らしくいれるはずがない。ないから、子育てなど到底無理なのだ。
人は雑多でばらばらな物の中から自分の個性で選びとり、選ぶ機会があるからこそ思考する。思考するからこそ、相手のことも考え関係を育んでいく。血のつながりなど関係なくやっていけるものだけど、機械のようなモノ相手には神経がすり減るばかり。

この気の毒なトムとジェマのお話は二人の人間性や関係性を問うものではなくて、やっぱり「生き物を飼育する時はよく考えてよ」っていうことじゃないかなー。なんでもかんでも一緒にしたって、思うような結果には繋がらない。いくらたくさんいるからって、一つ一つの命はお大事にってね。

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