『ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館』(2012) - The Woman in Black –

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イギリス。幽霊屋敷。一人乗り込む弁護士。ダニエル・ラドクリフ ―
ということで、とっても楽しみにしていたけれど、普通に普通だった.. どんなおどろおどろしい雰囲気で怖がらせてくれるのかワクワクしていたが、あまり怖くない、というより全然..。公式サイトによると名作中の名作というこの原作は、やはり映画より舞台劇の方が向いているように思われる。
 

■ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館 – The Woman in Black -■
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2012年/イギリス・カナダ・スウェーデン/95分
監督:ジェームズ・ワトキンス
脚本:ジェーン・ゴールドマン
原作:スーザン・ヒル「黒衣の女 ある亡霊の物語」
製作:リチャード・ジャクソン 他
製作総指揮:ガイ・イースト、ニール・ダン 他
撮影:ティム・モーリス=ジョーンズ
音楽:マルコ・ベルトラミ
出演:
ダニエル・ラドクリフ(アーサー・キップス)
キーラン・ハインズ(サム・デイリー)
ジャネット・マクティア(エリザベート・デイリー)
リズ・ホワイト(ジェネット・ハンフリー)
ロジャー・アラム(ミスター・ベントレー)
ティム・マクマラン(ジェローム)
ダニエル・セルクェイラ(ケックウィック)

解説:
英国の女流作家スーザン・ヒルのベストセラー『黒衣の女 ある亡霊の物語』を「ハリー・ポッター」シリーズのダニエル・ラドクリフ主演で映画化したゴシック・ホラー。遺産整理の仕事で片田舎の古い館を訪れた若い弁護士が、おそろしい怪現象に見舞われていくさまを、新旧のタッチを織り交ぜた恐怖演出で描き出す。監督は「バイオレンス・レイク」のジェームズ・ワトキンス。 (allcinema)

あらすじ:
妻を出産で亡くし一人で息子を育てているロンドンの若き弁護士アーサー・キップス。妻を亡くしてからは仕事に身が入らず、とうとうクビをかけた仕事を上司から命じられる。それは他界したアリス・ドラブロウ夫人の持つ館での遺品整理だった-
 


アリス・ドラブロウという婦人がひっそりと亡くなった。彼女が残した物の中に、満潮になると小さな島になる場所に建つ屋敷があったが、これを売るためには書かれていたかもしれない「遺書」があるのか無いのかをはっきりさせることが必要。
ということで、妻を亡くしてからすっかり抜け殻になり使えなくなった弁護士アーサーが上司から調査を命じられる。この仕事の成果如何によってはクビになると脅されて。仕事の具体的な内容は、田舎町クライシン・ギフォードにある夫人の屋敷、通称“イールマーシュの館”に出向き、文書という文書に目を通して、遺書の有無を調査すること。請求書が貯まる一方のアーサーは、一人息子のために命をかけるつもりで、この仕事を引き受けた、というより引き受けざるを得なかった。  

The Woman in Black_2012

汽車を乗り継ぎ、この地の果てのような場所にある町(というより村)にようやくたどり着いたアーサー。いかにも閉鎖的なこの村の村人たちは、よそ者を見る冷たい目つきで彼を見ようともしない。1軒だけある宿屋に予約を入れておいたが、ぶっきらぼうに入っていないと宿の主人に断られ、それでもなんとか屋根裏部屋に泊まることが出来た彼。その屋根裏部屋は、どうやら今では使われていない子供部屋のようだった。

The Woman in Black_2012この村の端から“イールマーシュの館”へと通じる道は満潮になると消えて無くなる。この道の両側は砂浜というより「沼」になっていて、足を取られるとズブズブと埋まっていきとても危険だ。嫌がる村人に頼んで何とか館まで送ってもらい、館に足を踏み入れたアーサー。長い間、放っておかれたこの古い館は「お前んち、お化け屋~敷ぃ~」を地でいったような建物だ。村人たちが嫌がるのも頷ける。

荒れ果てた外観に負けずとも劣らず、内部も蜘蛛の巣がはり、古い装飾物もあいまって不気味なことこの上なし。アーサーはここで一人、書類や手紙などを探してきては、遺書にまつわるものが無いか調査し始めた。遺書らしき物はなかなか見つからなかったが、残されていた手紙などから、ドラブロウ夫妻には息子がいたが7歳の時に沼で溺死したことが分かった。そして遺体が見つからなかったことも。また夫人の妹もこの地で亡くなったことが分かる。
そうしているうちに、建物内で奇妙な音がし始める。最初は気にしていなかったアーサーだったが、音は確実に聞こえ、誰かに見つめられているような感覚もする。が、振り返っても誰もいない。音のする部屋は鍵がかかっており入ることが出来ない。
奇妙な出来事はなおも続き、ついには館の庭に佇む黒衣の女と、沼に沈んでいこうとしている少年を彼は目撃する。

The Woman in Black_2012こうして幽霊屋敷に足を踏み込んでしまったアーサー。事情を知っている村人たちはアーサーに冷たい。度々目撃される黒衣の女は、恨めしそうに彼を見つめ、彼を恐怖の淵に突き落とす。この村では子供たちが次々命を落とすという事実があった。村で唯一アーサーに協力してくれるサムも同じく数十年前に息子を亡くしている。
村人たちは言う。あの黒衣の女の呪いだ。だからあの館には近付くな、と。
そうしている間にも、村の子供たちが一人、また一人と命を落としていき、アーサーは自分の見たもの、聴いたもの、調査した結果から、この悲劇には原因があると知り、なんとか解決できないかと奔走するが-。


本作の登場人物たちの多くは近親の誰かを亡くした人々という、なんとも不幸な設定だ。それでなくとも陰鬱な表情の村人たちの住む場所は、晴れることなく海霧が漂いずっと雨が降っている。荒れ果てた館を埋めるがごとくに広がる沼。その沼に突き刺さっている1本の十字架がなんとも不気味だ。そして館の中は時代がかった装飾物に蜘蛛の巣がたれ、当時のおもちゃとその動きが恐怖を盛り立てる。
これら状況設定はとても怖くて「呪」という一文字がとてもよく似合う。

The Woman in Black_2012しかし・・! 幽霊が出てきすぎなんです。次から次へと姿を現しすぎ..。それも音びっくり系で。ここにクラシックなホラー作品を目指したのかな? (あ、一つだけ揺り椅子が揺れている理由が分かった時が一番怖かった。)
この物語としては「黒衣の女」にも同情心を持てる方が、より悲しく「呪」が生きてくると思われるが、なんかただのストーカーのようにしか見えない。だって村人は全然関係ないものね。原作ありきの映画なので原作を読んでいない自分には、どんな雰囲気の作品なのかが分かりませんが..。

それにしても最後まで「絶対、許さない」と叫ぶこの幽霊は、違う意味で恐怖を感じる。そんなストーカー幽霊の唯一よかった点は、エンディングでしょうか。なかなか粋な計らいだと自分は思ったけれど、違う?違うのかな..
ちなみに本作は日本のホラー作品も参考にして作られたそうです。

ではまた

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