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『Swallow/スワロウ』 (2019) - Swallow

06/05/2021サスペンス,ドラマ2010年代,○○とは?,スリラー,ミステリー

異物飲み込み系は、それが例えお笑い系であっても苦手で、この作品もしばらく横目で眺めていたものの結局は我慢できずに借りてしまった。前半異物で、後半の後半まともになっていくあたり、本作もちょっと「思てたんと違うシリーズ」と言えよう('ω’)ノ

■ Swallow/スワロウ - Swallow – ■
2019年/アメリカ・フランス/95分
監督:カーロ・ミラベラ=デイヴィス
脚本:カーロ・ミラベラ=デイヴィス
製作:モリー・アッシャー他
製作総指揮:ヘイリー・ベネット他
撮影:ケイトリン・アリスメンディ
音楽:ネイサン・ハルパーン
出演:
ヘイリー・ベネット(ハンター・コンラッド)
オースティン・ストウェル(リッチー・コンラッド)
エリザベス・マーヴェル(キャサリン・コンラッド)
デヴィッド・ラッシュ(マイケル・コンラッド)
デニス・オヘア(ウィリアム・アーウィン)
ライト・ナクリ(ルエイ)

■解説:
「ガール・オン・ザ・トレイン」「ヒルビリー・エレジー 郷愁の哀歌」のヘイリー・ベネットが異物を飲み込むことで自分を取り戻していく主婦を演じるスリラー。

映画.com

■あらすじ:
ニューヨーク郊外の邸宅に夫と暮らすハンターは何不自由のない暮らしに満足していた。だが仕事に忙しくゆっくり話も出来ない夫、蔑んだ視線を向けられているように感じる義両親の態度に次第に孤独を感じるようになっていた。そんな中、妊娠がわかり幸せをかみしめようとする彼女だったが、ある日、ふと目に留まった綺麗なビー玉を飲み込んだことから、異物を飲み込みたい衝動に駆られるようになり -

Swallow:飲み込む、見えなくする、忍ぶ、抑える


異例の速さで父の会社の取締役に抜擢されたエリートの夫。義両親が用意したニューヨーク郊外の高台に建つ邸宅。広い家にただ一人。きちんと整った家の中では大してやることもなく、掃除機をかけ終われば夕食の準備をしながら夫の帰りを待つ。プールの横に花壇を作り花を植え、世話をする仕事を増やしてみた。少しでも会話が弾むようにといつもよりおめかしもした。夫は十分自分を愛してくれている。作った夕食も美味しいと言ってくれる。だが二人の会話を邪魔する携帯の呼び出し音。時々集まる義両親との食事会もすぐに仕事の話になり、自分の出番は無い。

要するに退屈で孤独なのだ。
ここまで登場人物は夫とその家族、夫の仕事関係の人間しか出てこない。主役ハンターの実家は?両親や姉妹は?どういう風に育ったのか?やっと始めた昔話で何かわかるのかと思いきや、それさえ義父に遮られる始末。子供時代も結婚前の生活も何もわからず、夫や義両親の人となりがそれなりに分かってきても、彼女の人間性が見えてこない。いったいどんな人なのか?何を考えているのか?

そこで始まるビー玉事件 -

事の始まりは片づけをしていてふと目に留まった綺麗な赤いビー玉。少し前に義両親との食事で思わず口に頬張ったグラスの中の綺麗な氷のようだ。その冷たく、硬い感触。中に何かを隠し、かたくなに誰にも見せようとしない少女のような赤いガラス玉。それをつい口に入れた。氷のように入れて飲み込んだ。飲み込むことで、この密やかな楽しみが発覚しないとでもいうように。
喉を通っていくビー玉を感じるたび、心の底から湧き上がる満足感。日頃の不満や不安を忘れることができる充足感。自分がすべてをコントロールできていると思える達成感。そしてあろうことか体外に出てきたビー玉をトイレからすくい、大事なコレクションとして一つ飾った。そしてそれは見る間に増えていったのだった -


この後、妊娠の発覚があるのだが、ハンターは妊娠よりも異物飲み込みにのめりこんでいる。何不自由のない暮らし、エリートの夫、もうすぐ家族も増える。だがそれでもやめられない異食症。妊娠の定期診断でばれてしまった身体の中のもう一つの異物。夫や義母の監視が始まってさえ、止められない異物依存症。

異食症とは:
栄養価の無いものを無性に食べたくなる症候。食する対象は土・紙・粘土・毛・氷・木炭・チョークなどが挙げられる。小児と大人の妊婦に多い。

原因の一部:
・若い女性で、妊娠時に軽い病態がみられることがある。鉄欠乏性貧血が強くなることが原因。氷食症が多いが、火を通していないジャガイモや小麦粉を食べるなどの異常行動も多い。脳への酸素供給量の不足により、満腹中枢障害や体温調節障害が起こるためと考えられている。
・極度の精神的ストレスが原因のことがある。食毛症・抜毛症からの移行もある。ストレスによりセロトニン不足が生じ、感情や欲求が抑制できなくなるのが一因と言われている。

Wikipedia:異食症

この頃には前半のファンタジーめいた色調は無くなり、ハンターにかなりの問題があることが分かってくる。それら過去のストレスを失くしてしまおうとする、この行動。彼女は精神科医に語っていた。異物を飲み込んだ後、自分に自信が持てる、と。
到底、口に入れられないだろうモノでも口に含み、全てを飲み込む。全てを飲み込み、受け入れる。全てを許し、飲み下す。

だが、それは、「全てを隠し、消し去り、無かったことにしてしまう」とも同じ意味なのだ。それでは何も解決しない。彼女がそれに気が付いた時。自分が生まれてきた意義を見つけ、過去の出来事を許し、過去の出来事から許しを与えられた時、ようやくハンターはハンターとなった。
もう誰の助けも、異物の助けも不要なハンターに。