『オキュラス/怨霊鏡』(2013) - Oculus

インパクトのある表紙絵に、去年くらいから観るのを楽しみにしていたホラー。ポスター類がゴシック、オカルトな感じを煽っているのに比べて、内容は結構現代的でスピード感のある演出。過去と未来が交差しながらテンポよく進んでいくから、この作品を楽しめるかは、そのスピードに乗れるかどうかがカギ。

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■ オキュラス/怨霊鏡 - Oculus – ■
2013年/アメリカ/103分
監督・ 脚本:マイク・フラナガン
製作:トレヴァー・メイシー 他
製作総指揮:デイル・ジョンソン 他
撮影:マイケル・フィモナリ
音楽:ザ・ニュートン・ブラザーズ

出演:
カレン・ギラン(ケイリー・ラッセル)
ブレントン・スウェイツ(ティム・ラッセル)
ケイティー・サッコフ(マリー・ラッセル)
ロリー・コクレイン(アラン・ラッセル)
アナリース・バッソ(ケイリー少女時代)
ギャレット・ライアン(ティム少年時代)

解説:
「人喰いトンネル」で注目を集めたホラー映画界の新鋭マイク・フラナガン監督が、呪われた鏡に人生を狂わされた姉弟の運命を描いた心理スリラー。姉ケイリー役は「ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー」のカレン・ギラン、弟ティム役は「ガンズ&ゴールド」のブレントン・スウェイツ。2015年1~2月、東京・ヒューマントラストシネマ渋谷で開催の「未体験ゾーンの映画たち 2015」上映作品。

あらすじ:
引っ越してきたばかりの新居で両親と幸せな毎日を送っていた姉ケイリーと弟ティム。ところがある日、父親が母親を殺害し、自らも拳銃に撃たれて死亡してしまう。ケイリーとティムは救出されたものの、ティムは父親を殺した容疑で精神病院に送られる。11年後、退院したティムは人生の再出発を図ろうとしていたが、ケイリーは自宅にあった鏡が事件を引き起こしたと信じて疑わず、鏡の正体を見破って父親と弟の罪を晴らそうと奔走する ―
(映画.com)

幸せに暮らすごく普通の一家が一枚のクラシックな鏡を購入したことからエライ目に遭ってしまった、というお話。娘のケイリーが母親を殺した父親と、父親を殺すことになってしまった弟の汚名濯ぎに翻弄します。
「Oculus」とはラテン語で「眼」の意味。本作では「眼」というより「まやかし」みたいに感じたかな。

Oculus_movie2013_23-2c本作で人間をたぶらかし、まやかしては恐怖のどん底に陥れていくのが「呪われた鏡」という存在・・・。なんだけど、この鏡の由来や過去についてはほとんど説明が無く、事の発端が「鏡」である意味があまり無いように思う。ただし、この鏡を手に入れた人々はことごとく不幸な事に見舞われている。

植物が枯れ、室温が上がり、飼い犬がいなくなり、家族の誰かが錯乱状態になり、殺し合うことに ―。この鏡の力はそれだけには止まらず、時間と空間、電子機器まで自由に操り人々を混乱させる。
そして持ち主がいなくなった鏡はオークションなどに出され、違う人の手に渡る。その先でも同じ事が繰り返され、鏡は手下の怨霊を引き連れて次の獲物を探しながら地球上を旅することになるのである。どうしてこうなったのか、いつからこうなのかは不明であります…

Oculus_movie2013_14-2cそしてある時、“もしかしたら、あんたが全部悪いんじゃないの!?”と鏡の本性に気が付いた一人の少女が。その時には既に母親が錯乱、父親がその母を虐待しており、優しい両親が恐ろしい化け物になってしまっていた後。この少女ケイリーの味方はもはや仲のいい弟ティムだけ。恐ろしい形相で2人を追いかけてくる父親の手を逃れ、鏡を破壊しようとするもどうしても壊れない呪われた鏡。母を殺し、姉をも殺そうとしている父親の手から姉を助けるために父を撃ったティム。2人は警察の手で引き離されたが、その寸前、誓い合った。「きっと両親に起きた事を解明する」と。

Oculus_movie2013_25姉ケイリーは弟ティムが精神科病院に入った後もこつこつと鏡の歴史を調べ上げる。何度も繰り返された不幸な事件、類似点の多すぎる事象。そして11年後、ケイリーはティムの退院を待って、当時住んでいた家と例の鏡を手に入れ再現実験を行うことに。起きるだろう出来事をただただ見ているだけでは無く、記録と対策も忘れなかった。

Oculus_movie2013_24が、弟ティムは懐疑的。あの一連の事件にはきちんとした理由があったのでは?記憶が恐ろしいモノに塗り替えられているだけなのでは?

この弟が理路整然と「幽霊の正体は柳の木では?」と話す様子がうまく出来ていて、もしかしたら姉ケイリーはただのおかしなお嬢さん?のようにも見えてくる。けれどもここからの展開は早く、この家の中で暮らす仲のいい姉弟と両親、「鏡」、怨霊、現在の姉弟が交互に、もしくは同時に次々と登場してはこちらを混乱させようとしてくる。
特に「鏡」は過去も現在もまやかしの力を持っており、姉弟と本作を観ている者を迷路のような落とし穴に突き落とそうとするが、案外底は浅い(-.-)

これは良かった

これは良かった

姉弟、特に幼い頃の姉弟が可愛くてとても同情させるものの両親はいまいち。その上、起きる事象は面白いけど肝心の「鏡」そのものが全然怖くなくて、出てくる各種怨霊達の意味も不明。今まで鏡に殺された人達なのか?(そう言えば両親も混じっていたな..)
交錯する過去と未来の見せ方はとても良かったが、もっとオカルトな雰囲気のお話かと思っていたので、何台も並ぶマックと明るすぎる部屋に少しがっかりしたのでした。

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