これもレンタルを楽しみにしていた一品、SF喰われ系ウェスタン・ホラー映画『NOPE/ノープ』。タイトルの「NOPE」とは“ムリムリムリムリ!(;O;)”とか“ウソウソウソウソ!(;’∀’)”みたいな意味で、非常に由々しき状態のありえない現実に直面している様を指す。それはまさしく本作『NOPE/ノープ』の状態。縮めてNOPE状態( 縮まってない)
■ NOPE/ノープ – Nope – ■
2022年/アメリカ/130分
監督:ジョーダン・ピール
脚本:ジョーダン・ピール
製作:ジョーダン・ピール他
撮影:ホイテ・ヴァン・ホイテマ
音楽:マイケル・エイブルズ
出演:
ダニエル・カルーヤ(OJ・ヘイウッド)
キキ・パーマー(エメラルド・ヘイウッド)
スティーヴン・ユァン(リッキー・“ジュープ”・パーク)
ブランドン・ペレア(エンジェル)
マイケル・ウィンコット(ホルスト)
レン・シュミット(アンバー・パーク)
キース・デイヴィッド(オーティス・ヘイウッド・Sr.)
ドナ・ミルズ(女優ボニー)
■解説:
「ゲット・アウト」「アス」で高い評価を受けるジョーダン・ピールの長編監督第3作。広大な田舎町の空に突如現れた不気味な飛行物体をめぐり、謎の解明のため動画撮影を試みる兄妹がたどる運命を描いた。映画.com
Contents
あらすじ
半年前、飛行機からの落下物と思われるコインに当たって亡くなった父の牧場を受け継いだ兄OJと妹エム。牧場では馬を調教し映画作品などに出演させていたが、父が亡くなってから経営がうまくいかず財政状態が苦しくなってきた。牧場を売却した方がいいのかという話が出始めた頃、父の事故の日にOJが目撃した空を舞う飛行物体が再び現れ、彼らに接近。近所にある西部劇テーマパークの職員や客を襲い始める ─
見どころと感想
前半、ソレはほとんど姿を現さない。
だが、とうとう出てきたかと思った瞬間、それは吸い上げた。地上にあるモノ全てを。人間を含めて ─
というのは、少し大げさだけど吸引機のようなもので大勢の人を吸い上げるソレ。
そして忘れてはならないのが吸い上げ次点トム・クルーズ『宇宙戦争』。本作『NOPE/ノープ』の吸い上げ場面で一番に思い浮かべた人も多いはず。『宇宙戦争』では、次々に人を吸い上げては貯め置き、自分(宇宙人)たちのための食糧庫に放り込んでいた。吸い込まれた大事な人を助けるためにわざと吸い込まれたりして物語は進んで行ってたな。
『宇宙戦争』(2005) - War of the Worlds
久し振りにこのお気に入りSF映画を観たけれど、やっぱり面白い!唐突な始まり。目を見張る事が次々に巻き起こり、家族それぞれが成長しながら絆を深め、惨劇は唐突に終…
だから本作で吸い込まれ場面を目撃した時に思わず“食料として備蓄されるんだな”って思ったとしてもしょうがない。でもその吸引管は柔らかそうであるけれど、とても快適とは言えないほどに狭いな(・・?まるで喉みたい?っとこちらが考えている中、何度も主人公OJはつぶやく。
あれは船じゃない
トム・クルーズのせいで最初はこの意味がわからない。
船じゃなければ、何よ、飛行機?みたいなとぼけたことを考えつつも物語はテンポよくどんどん進み、とうとうその姿が大写しになる時が来た。
ソレはまるで前と後ろ半分に切り分けた目玉のよう。黒目の小さい空飛ぶ瞳。だがソレはものすごいスピードで縦横無尽に飛び回り、目を合わせたが最後、吸い上げるために襲ってくる。なぜソレがOJの牧場のすぐ近くで潜んでいたのか。牧場と荒野が広がるこの辺りはソレにとって自由に飛び回るのにうってつけだったのだ。
ぉゃ?そういえば前にもあったな。決して見てはならない大きな目が。
そしてソレのえげつないのは、人を吸い上げ食らうだけではない。自分の栄養に不要な固形物はあとから吐き戻すのだ、盛大に高い上空から(-“-)。それも生ものの栄養は身体に吸収されたあとなのか、必要以上に水分を摂りすぎたからなのかは知らないが、金属などの消化できない固形物と一緒に血液も盛大に降って来る、高い上空から。
ぃゃ、OJシニアがコインに当たって亡くなった時は血液は無かったぞ。ということは、あの血液の大雨は嫌がらせか。それも震えながら隠れている彼らの自宅の真上から固形物交じりの血液を降り注ぐという。
気の毒にこの赤い汚れは最後まで付着したままだった。まるでお化け屋敷のようになっていた、宇宙人の嫌がらせで
さて、本作『NOPE/ノープ』の見どころは、空飛ぶ宇宙人の恐ろしさだけではない。それなら既に『宇宙戦争』でやっている。
本作はそれに馬と共に生活する西部劇の味付けと、黒人目線の描写も付け加えた(ついでに言うと妹エムの恋人は女性)。なのでところどころ西部劇風の例の「荒野に舞う1ドル紙幣」みたいな音楽が挿入される。もちろん、主人公はOJであり、後に仲間となる男たちと妹ら。お約束通り最初は頼りない感じのOJの成長物語にもなっている。
その上ね、エムはバイクも乗れるんだけど気が付きました?大きなバイクに乗ってアイツを西部劇テーマパークまでおびき寄せた時のスピン・ブレーキの様を。もうあれは、あのシーンは私の大好きなこれじゃないかっ。思わず叫んでしまったわっ。もうバイクの動きからエムの動きからアングルからそのままだったもの!
『AKIRA』(1988/劇場アニメ版) - AKIRA
MAD MAX、スター・ウォーズときて、今年最後の作品は、、とうとう『AKIRA』。アニメより原作の方が好きなんだけど久し振りにアニメ版視聴。動きと音で表現されるこの世…
ただの目玉で登場したアイツは最後になって美しく変身し、その流動的な動きに目が奪われる。そういう一つ所に留まらない自由な発想や、上に書いた細かい描写の色んな要素を吸い込み系SFにくっ付けた辺り、観終わった後の気分の高揚が単なる勧善懲悪SFアクションだけにとどまらない爽快感を感じる。特に西部劇(とAKIRA)好きな管理人にとっては砂塵に口笛が流れるようなラストシーンが分かっちゃいるけどお気に入り。きっとあれは見たままのラストだよ(‘◇’)ゞ
西部劇はそうじゃないと
さいごに
というわけで、楽しみにしていた甲斐があった『NOPE/ノープ』。映画館に行こうかと迷っていた映画だったんだけど、行っときゃよかったな~。後になって後悔することばかりだわ
監督:ジョーダン・ピール
アメリカ合衆国の俳優、脚本家、映画監督、コメディアン。主にコメディアン、俳優として活動を継続させていたが、2017年に白人家庭に招かれた黒人青年が体験する恐怖を描いたホラー映画『ゲット・アウト』の脚本を執筆。同作品ではイギリス出身のアフリカ系俳優ダニエル・カルーヤを主演に迎え、ピール自身は監督も担当した。低予算で制作したにもかかわらず口コミでその評判が広がり、興行成績的にも成功を収め、最終的にはピール自身にアカデミー脚本賞をもたらした。
Wikipedia:ジョーダン・ピール