これの前に観た『残穢』が割と良くて、流れで観た同じ原作者映画化の本作。まさか10作品も入っているとは知らなかった、とってもお得な和製オムニバス・ホラー。オススメ(・∀・)
■解説:
人気作家の小野不由美が手がけた怪談集「鬼談百景」から、選りすぐった10話を映像化。同じく小野原作の「残穢(ざんえ) 住んではいけない部屋」の映画化を手がけた中村義洋監督がメガホンをとったエピソード「追い越し」のほか、「戦慄怪奇ファイル コワすぎ!」の白石晃士、「劇場版 零 ゼロ」の安里麻里、「ほんとにあった!呪いのビデオ」の岩澤宏樹、「劇場版 稲川怪談 かたりべ」の大畑創、「パズル」の内藤瑛亮というホラーやサスペンスを得意とする監督たちにより、合計10話の物語が描かれる。ネット配信のほか、「鬼談百景」の姉妹編とも言われている「残穢」の映画公開を記念し、2016年1月23日に一夜限定のイベントで上映。
(映画.com)
『残穢』と同じく、読者からの投稿怪談を映像化した体をとったオムニバス。例によって一つずつ順にあらすじと感想をざっくりと。
Contents
一 追い越し
監督:中村義洋
脚本:鈴木謙一
出演:岡山天音、藤本泉、森崎ウィン、吉倉あおい、長井短
あらすじ:深夜、車で肝試しに出かけた4人の男女が寂しい田舎道を一人で歩く女を発見。あまりの不気味さに声を掛けるのをやめて、そのまま車で追い越したが ―
よくある肝試しに出かけた若者がエライ目に遭うというものだが、少し変わっているのが彼らは雰囲気を楽しんでいるだけのお化けなんか信じちゃいない若者だということ。冷めているのに、わーわー、キャーキャーとその場をそれなりに楽しむという、なんとも時間の無駄というか、今時の横の繋がりの大変さというか、そんな空気が感じられてくる。
で、肝心のオチは非常に怖く(._.)、初っ端の作品として存在感がある。
二 影男
監督・脚本:安里麻里
出演:根岸季衣、山田キヌヲ、ほか
あらすじ:預かった孫を昼寝させていた祖母。一緒になってうつらうつらしていると、突然家の中から大きな音が響いてくる ―
縁側のあるような広い伝統的な日本家屋で、突然鳴り響く銃声のような大きな音。1回、2回、5回、、、と鳴り止まないその音を出しているモノこそは“影男”。名前から受ける感じから、薄っぺらーい(それなら隙間男か、、)、おとなしいモノを想像していたものの、コレは違う。非常に自分の存在感をアピールする力の強い、だが正体不明の・・・魔物?
三 尾けてくる
監督・脚本:安里麻里
出演:久保田紗友、田村泰二郎、眼鏡太郎、ほか
あらすじ:雨の降る日、学校帰りに公園で傘もささずに佇む気味の悪い男を見かけた女子高生。通りがかった男性に助けを求めたが ―
佇む男の風情を見て、あ、これのオチはアレだな、って分かってしまった(._.) ま、それでも気を取り直して見ていったが、面白さは半減。残念なことをした…
そう言えば、もうすぐレンタル開始の『イット・フォローズ』。楽しみにしてるんだー
四 一緒に見ていた
監督・脚本:大畑創
出演:淵上泰史、屋敷紘子、重松隆志、中原和宏、緒沢あかり、ほか
あらすじ:学校の女事務員が教室で首を吊って自殺。教頭らが警察に連絡する間、遺体の番をすることになった男性教師はいたたまれず隣の部屋で校庭を眺めていたが ―
うーーん・・ これも薄幸そうな事務員さんと態度の悪い男性教師のやり取りから、だいたいの流れが読めてしまうお話だった。怖がらせ方も使い古された感じで残念。
五 赤い女
監督・脚本:大畑創
出演:高田里穂、加弥乃、比嘉梨乃、石川絢子、和地つかさ、ほか
あらすじ:転校してきた子の歓迎会を催したっぷり楽しんだ女子グループ。だがパーティの最後に怪談を聞かされた彼女らは一人ずつ命を狙われていく ―
都市伝説と呪いのビデオをあわせたような感じ。タイトルの赤い女はどこにでも現れ、アクティブで力強く勝てる気がしないパワー系。例によって原因も理由も分からないことから今後も延々と続いていくであろう惨劇に、、、乾杯(・∀・)
六 空きチャンネル
監督・脚本:岩澤宏樹
出演:高尾勇次、石賀和輝、谷井優貴、佐々木幸子、ほか
あらすじ:夜中、テスト勉強中にたまたま入ったラジオのチャンネルで、フラれた男の悪口を延々と話す女の話を聞くことになった男子高校生。最初は気持ち悪かったものの、あまりの生々しい話に病みつきになった彼は毎晩チャンネルを合わせ続ける ―
オチとか何とかはよくある系なんだけど、この女の話し方(話の内容ではなく)が真に迫っていて、いかにもこんな事をしゃべる人っぽく、そのリアルな感じに聞き入ってしまって確かに離れられなくなるヘンな魅力がある。と言っても、彼みたいにヘヘヘって笑いながら聞くようなもんじゃ無いですけどね(-ω-)
七 どこの子
監督・脚本:岩澤宏樹
出演:小野孝弘、野村修一、江森咲輝
あらすじ:夜遅くまで残業していた2人の教師。先輩に当たる教師が“夜、1人はやめた方がいい”なんて言葉を残し先に帰宅。残された後輩教師はそれでも仕事を続けていたが、子どもの笑い声がどこからともなく聞こえ始め ―
これもオチはごく普通。ただただ鈍くさくって魔物の存在に気が付かず、夜中に遊び歩いている小学生と思い込んでいる後輩教師が面白い。どう考えてもおかしいやん。今時赤い肩紐付きスカートを着ている女子小学生がいるか?
っていうか、↑これ、すごく苦手なビジュアルでして、ご尊顔が出てくるまで結構どきどき、わくわくして見てました。このトラウマに関してはこちら をご覧ください。
●世にも怪奇な物語 第3話:悪魔の首飾り
八 続きをしよう
監督・脚本:内藤瑛亮
出演:石井蓮、酒井天満、安藤千織、北原十希明、三澤和歩、正垣那々花、矢口凜華
大藤瑛史、江口湊太
あらすじ:墓地で鬼ごっこをして遊んでいた8人の小学生たち。だがそのうち一人ずつ転んでは怪我をして抜けていき ―
これの何がコワイって、墓地で思いっきり追いかけっこをしている子どもたち。墓石も花も関係なく飛び回って走り回る。そりゃ、バチが当たります(-.-) 結構な怪我をして一人ずつ帰って行くんだけど、それでもやめない、やめることが出来ない墓場の鬼ごっこ。最後は誰が鬼なのかなー?なー?
九 どろぼう
監督・脚本:内藤瑛亮
出演:萩原みのり、小橋めぐみ、西田薫、忠海蓉子、ほか
あらすじ:近所の子だくさんの母親に、生んだ子どもを殺しているという噂が立つ。そんなバカなと思っていた女子高校生はある日、その家の少年から不気味な話を聞かされて ―
こちらも子どもたちが主役のちょい怖ホラー。上の「続きをしよう」よりも生々しく不気味で、真実が分からないままなだけに想像力がより働く。舞台が田舎の家というのも、なんだろうなー、アメリカホラーでいうところの田舎の秘密一杯殺人一家みたいな感じで、あぁー、アレです。やっぱり私の好きな気味悪い一家物語を彷彿とさせるのかなー。
詳しくは以下 を
・悪魔のいけにえ レザーフェイス一家の逆襲
十 密閉
監督・脚本:白石晃士
出演:三浦透子、細川佳央、西山真来
あらすじ:最近、浮気をした彼を部屋から追い出したKさん。それは良かったのだが、きちんと閉めたはずのクローゼットのドアが何度も開くなど、この部屋に気持ち悪いものを感じていた ―
押し入れものかと思いきや、もう一歩踏み込んで、押し入れに残してあった彼の置き土産が原因の怖いお話。
“密閉”と言えばアレですよ、“みっしり”と詰まっている様を想像するのがなんとも怖い京極夏彦氏の「魍魎の匣」。ま、これと比べたらかなーり軽いですけどね、本作は。
ということで10作品。
お話は割とありがちで使い古されている感じもするけれど、設定や舞台、見せ方なんかが良くて、決して派手ではないんだけど雰囲気や演出でどこかゾッとさせる、いい感じのオカルト作品になっている。10作品も入っていてお得感もあって、決して途中で見るのやめよう、っとはならない。
『残穢』もそうだったけど、派手な驚かし系ではない、前にどこかで聞いたことある「日本の怖い話」みたいなところがいいですよねぇ。夏の夜にオススメって感じです。