このふてぶてしく、有無を言わさない風体から、マフィアのボスとか殺し屋とか。かと思えば同僚を思いやる気のいい刑事の相棒とか。大きな身体を使って多彩な役柄を演じ分けたジェームズ・ガンドルフィーニ。
James Joseph Gandolfini Jr.
Contents
トゥルー・ロマンス
初めて観たのは確か『トゥルー・ロマンス(1993)』だったと思う。
何しろ主演の女優パトリシア・アークエットをぼこぼこにするというマフィアの殺し屋役。ぼこぼこになって血を流しながら笑っているパトリシア・アークエットもすごかったが、これでもかと女性を痛めつける非道な殺し屋を忘れることは出来なかった。まだ若いね。
『トゥルー・ロマンス』(1993) - True Romance –
出会うべくして出会った男女。二人には計算も駆け引きもなく、お互いを命をかけて守りあう。それは自然に出る当たり前の行動で、そこには謝罪も要求も存在しない。自然…
ザ・メキシカン
同じ殺し屋役でもう一つ『ザ・メキシカン(2001)』。
ブラッド・ピットとジュリア・ロバーツ主演のこの作品も実はお気に入り。お馬鹿なカップルを追ってきた殺し屋リロイは実はゲイで優しい心の持ち主という複雑な役どころ。上のトゥルー・ロマンスとは全然違う、つぶらな瞳のガンドルフィーニを見ることが出来る。
ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア
そして忘れてはならない、というより彼の代表作ともいえる作品が「ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア(TV/1999~2007)」。
言わずと知れたHBO制作のアメリカドラマ。ニュージャージーを拠点にしたマフィアのボスでありながら、全然言うことをきかない子分達や、家族からのストレスにさらされて倒れて以来、カウンセリングに通っているという役どころ。全6シーズンあって、全てを楽しみに毎週欠かさず見ていたのは「ザ・シールド ルール無用の警察バッジ」とこれくらいか。(あ、「X-ファイル」もあった。あ、「GALACTICA/ギャラクティカ」も..。)
ずっと池田勝氏の吹き替えで観ていたんだけども、間の抜けたようでありながら、あの“人を食った”しゃべり方とうさんくさそうな上目遣いでぎろりと睨むところが最高に好きだった。
「くそ、本当にわかってんのか・・?」と言わんばかりの。
「人の物はとっちゃいけない」「友達は大事にしろ」と娘・息子に教えながら、マフィアの稼業で人から奪い、時には殺しも。そりゃ、胃も痛くなるだろーなー。何度言っても問題を起こす家族、やりたい放題の子分達。
しかし悩むボスだけを描いているのでは無く、マフィアの真実を過激に生々しく描写。それは、その筋の本物マフィアに「リアルで素晴らしい」と絶賛されたほどで、全米では子供の視聴を禁じる成人指定になったという。
最終回は賛否両論だったらしい。確かに初めて観た時は「・・ぇ、ぇええーー!?」となったけど、あれでよかったんだと今は思う。
ジェームズ・ガンドルフィーニの実の息子マイケルが若い日のトニー・ソプラノを演じて話題になった「ソプラノズ」の前日譚↓。
至福『ソプラノズ ニューアークに舞い降りたマフィアたち』(2021)
『ソプラノズ ニューアークに舞い降りたマフィアたち』はクリスの語りで進められていきます。たっぷりとトニーへの恨みを合間合間に挟みながらね(‘ω’)
亡くなってもまだ、うんちくと屁理屈が好きなの、クリスは。
ロンリーハート
次は頼りになる相棒役のガンドルフィーニ。『ロンリーハート(2006)』
この作品は実在の殺人カップルを追う刑事の役。主演はトラヴォルタ。問題を抱え、刑事仲間の間で孤立するトラヴォルタを、相棒として、友として支える時に厳しく頼もしい刑事役。こんな親友がいればなぁ、と誰もが思うはず。
あれほど長い間、マフィアのボスとして見てきたのに、本作では全くそれを感じさせない素晴らしさ。全く相反する役どころとはいえ、はまり役を引きずらない役者さんも珍しいのでは。
同じような刑事役で『悪魔を憐れむ歌(1998)』というのもあったな。
『ロンリーハート』(2006) - Lonely Hearts –
1940年代、全米中を震撼させた実在の凶悪犯カップル、レイ&マーサ。けちな泥棒であり、結婚詐欺師だったレイがマーサと出会うことで目覚めてしまった人の残忍性。自分…
『ジャッキー・コーガン』(2012) - Killing Them Softly –
アメリカ大統領選をバックに、ある事件にまつわるマフィアの日常をバイオレンスかつクールに描く。顔を見せないマフィアの幹部、実際に動く中層部、連絡員、殺し屋、チ…
他にも『かいじゅうたちのいるところ(2009)』ではかいじゅうキャロルの声を、最近では『ジャッキー・コーガン』『ゼロ・ダーク・サーティ』(共に2012)に出演。これからも色々な作品でその顔を見られると思っていたのに、思っていたのに・・。実は今朝、訃報を知ったのです。・・非常に残念です。
ジェームズ・ガンドルフィーニ
ニュージャージー州出身。身長185センチ、体重120キロと大柄。ラトガース大学を卒業後、ニューヨークの舞台でキャリアを積む。
Wikipedia
ブロードウェイ・デビューは1992年のジェシカ・ラング主演『欲望という名の電車』。また同年、『刑事エデン/追跡者』で殺人の容疑者になるイタリア系のチンピラ役で映画デビュー(彼自身もイタリア系である)。
『トゥルー・ロマンス』で注目されて以降、多数の作品に主に悪役で出演する。『ザ・メキシカン』への出演は共演のジュリア・ロバーツからの推薦によるもの。
1999年から放送されたテレビドラマ『ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア』の主人公トニー役が絶賛され、エミー賞(3回)、ゴールデングローブ賞、俳優組合賞などで主演男優賞を受賞。
2013年6月19日、イタリア・シチリアのタオルミーナで開催される第59回タオルミーナ映画祭に出席するため滞在していたローマで心臓発作のため急死した。51歳。
■主な出演作 *()内は公開年
- 刑事エデン/追跡者(1992)
- ビッグマネーブルース(1993)
- トゥルーロマンス(1993)
- ターミナルベロシティ(1994)
- クリムゾンタイド(1995)
- ゲットショーティ(1996)
- 陪審員(1996)
- NY検事局(1996)
- シーズソーラヴリー(1997)
- 悪魔を憐れむ歌(1998)
- シビルアクション(1998)
- 8mm(1999)
- ザソプラノズ 哀愁のマフィア(1999-2007)
- ザメキシカン(2001)
- バーバー(2001)
- ラストキャッスル(2002)
- オールザキングスメン(2006)
- ロストストーリー(2006)
- ロンリーハート(2007)
- サブウェイ123 激突(2009)
- かいじゅうたちのいるところ(2009)
- ロストガール(2009)
- ジャッキーコーガン(2012)
- ゼロダークサーティ(2012)
- 俺たちスーパーマジシャン(2013)
- Nicky Deuce(2013)
- おとなの恋には嘘がある(2013)
- クライム・ヒート(2014)
ニコラス・ケイジ『8mm』(1999) - 8mm –
本作『8mm』は初めて観た時に衝撃を受けた作品で、「スナッフ・フィルム」なる物の存在を初めて知った作品でもある。公平で清く正しく生きてきた私立探偵ニコラス・ケイ…