『ダーク・ブラッド』(2012) - Dark Blood

その砂漠は一人の青年の支配下にあった ―
ネイティブの血を引く何も持たない青年と、週末旅行でこの砂漠に足止めをくらった落ち目のハリウッド俳優夫婦。この時点で支配する者と支配される者は既に決まっていたのだ。

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■ ダーク・ブラッド - Dark Blood – ■
2012年/アメリカ・イギリス・オランダ/86分
監督:ジョルジュ・シュルイツァー
脚本:ジム・バートン
製作:ジョアン・セラー
製作総指揮:スティーヴン・ウーリー
撮影:エドワード・ラックマン
音楽:フロレンシア・ディ・コンシリオ
 
出演:
リヴァー・フェニックス(ボーイ)
ジョナサン・プライス(ハリー)
ジュディ・デイヴィス(バフィー)
カレン・ブラック(モーテルの女)

解説:
「スタンド・バイ・ミー」「旅立ちの時」などで一躍人気を得、将来を嘱望されながらも、1993年、わずか23歳で惜しくもこの世を去った永遠の青春スター、フェニックス。突然の死により、まだ撮影の途中だった彼の最後の主演作たる本作は、やむなくお蔵入りする運命に。長い空白期間を経て、監督のG・シュルイツァーは多くの障壁を乗り越え、適宜ナレーションを折り込みながら、本作を執念で完成。この世に再びよみがえったフェニックスの存在感に、ファンは惜しみない拍手を送った。共演はJ・デイヴィス。

あらすじ:
アメリカ西部の荒涼とした砂漠地帯をドライブしている途中、車が故障して立ち往生するはめとなった俳優夫婦のハリーとバフィー。すっかり途方に暮れた2人は、夜の闇の中、小さな光に導かれて荒野の中の一軒家にたどり着く。そこにはネイティブ・アメリカンの血を引いた青年ボーイが、妻を病で亡くして以来、社会との関係を断ってひとりで暮らしていた。そんな彼にバフィーは心惹かれる一方、ハリーは嫉妬心を燃やすようになり ―

(wowow)


ネイティブ・アメリカンの血を引く青年は、愛する妻を白血病で亡くしてから、荒野の小屋で隠遁生活を送っている。相棒は忠誠心の強い犬一匹。砂漠で捕まえた蛇やネズミを食料にする彼。だが血の結束は強く、仲間は辺りに点在してはいる。
この土地は何度もの核実験を行った場所。元はネイティブの神聖な土地だった。

そこへ車の故障で立ち往生を余儀なくされたハリウッドの俳優夫婦ハリーとバフィーが助けを求めてくる。助けを求めているというのに、早く町へ送れと上から目線な都会の中年優男ハリー。それには理由があったのだが、荒野の青年ボーイには知ったこっちゃない。実はボーイがこの夫婦をなるべく足止めしたいと思う事にも理由があった。
この2人の理由が時間を追って激突。ハリーとボーイは徐々に険悪になっていく。
その真ん中に挟まれる形の紅一点バフィー。彼女の元々持っている男性への態度が、事態をますます複雑に、危険にしていく。だがこれらは全てボーイの筋書き通りであったのだ。

彼は亡くした妻を愛し続ける隠遁者であったのだから、こうなることを自ら望んでいたのだろう。

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8割方撮り終えた製作途中で主演が亡くなり、後に監督が執念で完成させ公開した本作。「完成」といっても絵が足りない部分は監督がナレーションで補っている形で、監督自ら説明するように“4本目の足が永遠に失われた椅子”であり、未完の作品であるのだ。もちろん失われたのはリヴァー・フェニックスである。

 icon-film リヴァー・フェニックス
River-Jude-Phoenixカトリック教徒で大工の父とハンガリー系=ロシア系正統派ユダヤ教徒の母との間に、5人の子のうちの長男として、アメリカ合衆国オレゴン州に産まれる。
両親が宗教団体「神の子供たち」(現在のファミリー・インターナショナル)の活動家だったことで、幼少の頃は南アメリカの各地を転々とする生活で、5歳のときにはベネズエラのカラカスで妹とともに舞台に立って歌うなどということもあった。

母がNBCの職に就いたことで10歳にして初めてテレビに出演。CMやテレビシリーズの仕事を経て、1985年、『エクスプロラーズ』で映画俳優としてのデビューを飾った。翌1986年には青春映画・『スタンド・バイ・ミー』への出演で注目を集める。1991年配給の『マイ・プライベート・アイダホ』ではヴェネツィア国際映画祭の男優賞を受賞。
1993年、当時ジョニー・デップが共同所有者のひとりであったウェスト・ハリウッドのナイトクラブ、ザ・ヴァイパー・ルームの入口付近で、ヘロインとコカインの過剰摂取を原因とする心不全で死亡。その最期は親友であるレッド・ホット・チリ・ペッパーズのベーシスト、フリーに看取られた。23歳だった。

■主な出演作品
・エクスプロラーズ(1985)
・モスキート・コースト(1986)
・スタンド・バイ・ミー(1986)
・ジミー さよならのキスもしてくれない(1987)
・リトル・ニキータ(1988)
・旅立ちの時(1988)
・インディ・ジョーンズ/最後の聖戦(1989)
・殺したいほどアイ・ラブ・ユー(1990)
・恋のドッグファイト(1991)
マイ・プライベート・アイダホ(1991)
・スニーカーズ(1992)
・愛と呼ばれるもの(1992)
・アメリカン・レガシー(1993)
・ダーク・ブラッド(1993) ※公開は2013年
(Wiki:リヴァー・フェニックス)

 
彼がハリウッドの誰に似た人生を歩んだのか?若くで亡くなったからどうの、なんて事は今更な話である。ただ彼の人生の一部は弟ホアキンによって少しだけ分かるかもしれない。
特にこの作品で icon-arrow-right 容疑者、ホアキン・フェニックス

 

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