1997年のカルトホラー『キューブ』の正当公認リメイクと銘打った和製ホラー『CUBE 一度入ったら、最後』。タイトルからして最近流行の言い回しを使っていて、なんだかなっ(-.-)て思ってた。本作を観て感じたのは「リメイク」って本当に難しいんだなってこと。それだけ
■ CUBE 一度入ったら、最後 – Cube – ■
2021年/日本/108分
監督:清水康彦
脚本:徳尾浩司
原案:ヴィンチェンゾ・ナタリ『CUBE』
製作:石田聡子 他
制作総指揮:吉田繁暁
撮影:栗田豊通
音楽:やまだ豊
主題歌:星野源「Cube」
出演:
菅田将暉(後藤裕一/エンジニア)
杏(甲斐麻子/団体職員)
岡田将生(越智真司/フリーター)
田代 輝(宇野千陽/中学生)
斎藤 工(井手 寛/整備士)
吉田鋼太郎(安東和正/会社役員)
柄本時生(最初の男)
山時聡真(後藤博人/後藤の弟)
■解説:
1997年に公開されたカナダ映画『CUBE』のリメイク作品。オリジナル版の監督であるヴィンチェンゾ・ナタリがクリエイティブ協力として参加した初の公認リメイク作品だが、結末は日本版独自のものとなる。Wikipedia
Contents
あらすじ
目が覚めると何故か見たこともない謎の四角い部屋(=CUBE)に閉じ込められていた6人の人間。ここはどこなのか、理由は?原因は?これからは?何も分からないまま脱出するために部屋の壁6面全てに設置されているハッチ式扉を一つ選び開けては移動していくが、その先もその先も全く同じ部屋が続くばかり。そのうえ移動先には死に直結するトラップが仕掛けられている部屋があることが分かり、皆パニックに陥る ─
見どころと感想
感想を一言で言うならば、
『ソウ』で始まり『ソウ』で終わった ─
こんな感じのCUBEホラー。
「CUBE」と言えば、あぁ、アレでしょ?ってなるほど一つのジャンルを作り上げたカルトホラー作品。それのリメイクに挑んだ邦画としては、「邦画」としては面白かったと言える。けれどそれぞれの見どころトラップと全体の流れとラスト、オチはどうだろう?
例えば、初っ端の「最初の男」。
最初の男がずっと登場する人物じゃないことは、『CUBE』を観ていなくてもホラー好きならだいたい分かっている。そしてその見どころは“どうやって殺されるの!?どんな仕掛けがっ!?”に尽きる。『CUBE』がそうであったように、立方体がただの部屋じゃなく、非常に危険だという事を観ている側にここで一気にビンタを食らわすようにバンッと知らしめるのだ。
確かに、おぉ~っとなった。邦画では珍しいなってなった。けれど、もっとすごいものを20年も前に既に見ている。
これは馬だけど、身体の中を切り取った場合、どのように見えるかは既にこれで想像がついている。こっちは人間。
対して本作はどうだった?
確かに壁の中から大小さまざまな何本もの柱が突き出てくる感じは良かったが、どれだけ勢いを付けようが、あの太さで人体が切り取れるか…(・・?っていうのがまず感じた疑問点。
そしてその後、期待を裏切らないドサッと落ちる肉片(四角い)。私の目はもちろんその断面に移動するが、どうよ… 赤いだけ… 美味しそうなレバーの塊に見えただけ…
その肉片にリアルさは無かった ─
その驚きは、リアルさの無い『ソウ』を思い出しただけだったのだ。
そして参加者たち
『CUBE』には主人公はいらない。
皆等しく、訳も分からず集められ、次第に分かってくるそれぞれの知識を駆使して、脱出に向け行動あるのみ。個人を悩ませる過去の記憶も出来事も必然では無い。そこに尺を取り過ぎないでって言いたいの。なのに、やっちゃった。分かるけど、これでもかというほど、しつこくやっちゃった…
そんなことなら、売れっ子有名俳優は正直いらんかった。
だから元祖『CUBE』では最初の男入れて7人の登場人物だったのに、こちらは8人。8人になることで「ここはどこだ?誰が?何故?いつまで?どうなるのか?誰にもわからない」っていうミステリーさが1/8減った(ざっくり)。
登場人物のそれぞれが、何かを背負っているのは分かる。ほとんどが大人なのだから。小学生と思ってた千陽君が中学生なんだと知ってちょっと驚いたけれど、彼がいじめを受けているのに周囲の大人は誰も助けてくれない、大人不信に陥っている子どもだというのも分かる。
けれど今回のこの非常事態の状況(CUBE事態)に必要な設定か?
その設定ありきの中での彼ら6人の関わりが描かれるものの、どうもグッと心に入ってこない。
- 後藤の見た目がどうにもエンジニアに見えない(あくまで私見)。どちらかというとフリーター。弟との話は謎を持たせるほど時間を割くべきではない。
- 井手がなぜ不機嫌なのかわからない。後半機嫌はよくなっていくものの、それもなんで?
- 越智の設定(権力者や年長者を嫌う)に共感できない。だってもう31歳設定だよ?その後の狂気への変貌もちょっと無理がある。いきなりすぎる。
- 千陽君が段々と後藤に心を開く様子が描かれるものの、開くの早すぎない?この時間勝負のミステリー仕立ての中で協力は必要だろうけど、心を開いてどうのこうの、、までやってたら餓死するわ、と思った(-.-)
- 安藤が詐欺師まがいの悪人だといきなり自分のことをぶちまけるが、え?唐突過ぎやしませんか。いきなり何があったのよ、って思っちゃった(-.-) 自分をさらけ出したのは安東だけで結局他の皆は何も言わなかったし…
- 謎の女(のような)甲斐。彼女はいつも皆の背後に一人立ってる印象。あまりしゃべらないし、特にラスト近く、肝心なところでなかなか皆が着いてこないのに、どうしてハッチから覗くことすらしない?すごい違和感を感じた。・・・→からのラストですけどね
そんなことに時間を使いながらも、靴を投げながら部屋を進み、謎の数字の羅列にも気が付いてラストへと収束するんだけど、ここでも(・・?ってなる私。どうしてそこで「何故あなたは来ないの?」って尋ねないか?全て理解したからなのか?そうなのか?
で、ラストのラストがくる。
オチらしいものとラストだ。どちらもはっきりしない。まるで次作ありきのようだ。
閉じ込められる系ホラー
「CUBE」がタイトルに付く作品
- キューブ(1997)
- キューブ2(2002)
- キューブ ゼロ(2004)
- キューブ:ホワイト(2019)
他にもある閉じ込められる系
- パニック・ルーム(2002)
- ソウ(2004)
- リミット(2010)
- デビル(2011)
- 247F゜(2011)
- ブレーキ(2012)
- ATM(2012)
- ヘッドハント(2012)
- ヒドゥン・フェイス(2012)
- ルーム(2015)
こうしてまとめてみると、何でしょう。ほとんど感想書いてないわ、観ていないものさえある(-“-) 狭いところ苦手なんだな…
『ヒドゥン・フェイス』(2011) - La Cara Oculta –
ある男の浮気癖が巻き起こす『ホワット・ライズ・ビニース(2000)』のリメイク?と勘違いした管理人は後半になってからの驚愕の展開にぐいぐいと引き込まれることに。前…