最近、こういうカタカナを使わない日本語邦題な作品が時々ありますね。珍しいのか目を惹くんだけど失敗も多かったり..(例えば「呪い襲い殺す」とか・・・) ところがコレ『残酷で異常』は久々のアタリ作品。生産地はカナダ。内容は妻への愛をつらぬく男の話でサスペンス・ミステリー・ホラー的で不思議系な良作。
■ 残酷で異常 - Cruel & Unusual – ■
2014年/カナダ/91分
監督・脚本: メルリン・デルヴィセヴィッチ
製作:マシュー・セルヴィ
撮影:アダム・スリウィンスキー
音楽:マーク・コーヴェン
2014年/カナダ/91分
監督・脚本: メルリン・デルヴィセヴィッチ
製作:マシュー・セルヴィ
撮影:アダム・スリウィンスキー
音楽:マーク・コーヴェン
出演:
デヴィッド・リッチモンド=ペック
バーナデット・サキバル
ミシェル・ハリソン
マイケル・エクランド
リチャード・ハーモン
デヴィッド・リッチモンド=ペック
バーナデット・サキバル
ミシェル・ハリソン
マイケル・エクランド
リチャード・ハーモン
■あらすじ:
自室のドアを開けたはずなのに次の瞬間、見知らぬ建物の中に入ってしまったエドガー。その上、妻殺害の罪を追求され閉じ込められた彼は、罪を認め罰を受けることを受け入れるまで延々と妻を殺すことになる1日を追体験する羽目に ―
妙な邦題付けずにそのままダイレクトなタイトルを冠した本作は、タイトルそのままな事柄がある日突然主人公にふりかかる。
南米(?)からお嫁さんをもらい連れ子と一緒に暮らしている、うだつの上がらなさそうな中年男の教師エドガー。弟には金で嫁を買ったと揶揄されてイヤな思いをしているものの、彼はとても妻メイロンを愛し大事にしている。が、連れ子のゴーガン13歳とはあまり折り合いがよくない。
そんなある日、食事の後に体調が悪くなったエドガーは、妻に救急車を呼ぶように頼むが、ひょんな事から妻と言い争いになり電話の取り合いになった拍子に倒れ込んでしまう。が、次の瞬間、気を失ったはずの彼は車を運転、助手席には妻が。妻はパーティを早めに抜けることになって不満を言っており、混乱するエドガー。トラブルを起こした息子の学校からの連絡も入りつつ自宅へ。
夕食後、またもや体調が悪くなったエドガーは自室に戻ろうとドアを開けた途端、見知らぬ建物の廊下に出ていた。そしてグループディスカッションに出るよう指示された上、妻殺しを認めるように強制されるのだった ―
さて、初っ端はトイレで倒れた妻に心臓マッサージを必死に行うエドガーと、結局彼自身も倒れ込んでしまう映像が。狭いトイレで何かがあったことはわかるものの、彼の妻への愛情表現の様子から、「妻殺し」とはどうも結びつかない。何か事故が起きたのだろうか?
そして彼が度々迷い込んでしまう見知らぬ建物には大勢の人々がいてグループディスカッションを受けている。彼らはエドガーと同じ殺人を犯したとされる人々でディスカッションが終わると浮いたような足取りで廊下を進み、それぞれが数字の付いているドアを開けて入っていくのだ。指示を出すのはテレビモニターに映る上から目線の偉そうな人で、何やら特別な力、超能力のようなものも持ち合わせているらしいのだが…
大人しく人の良さそうなエドガーは妻を殺したとされる日を、延々と何度も繰り返し体験させられる。これは罪を認めることが出来るまで行われ、その後、「罰」を受けることになるという。彼は絶対に罪を認めようとしなかったが、何度も繰り返しその日を反芻するうちに、事実と事実を繋ぎ合わせる事柄が浮き彫りになってくる。
事実と違った思い込みや、些細な言動、知らなかった妻の行動・・。これらが重なりその日の“真実”を知った時、その時こそがエドガーの妻子に対する本当の愛情が試される時でもあった。
このあたりの話の持って行き方、エドガーと妻の見せかけと真実の姿の現し方がとてもうまくて、最後まで一気に観ることが出来る。彼らの生き方の前には、テレビの中の人の正体が何なのか?なんて些細な事はどうでもよくなる(でもまぁ、ちょっと書いとくと“地獄の審判”とか、そういう系なのかなー、と・・・)。
ちょっと地味ではありますが、よく練れたお話で楽しめる。オススメデス(最後までこの人サム(ロード・オブ・ザ・リング)だー、って思ってたのはナイショ)。