Netflix アン・ブーリン「血と愛と王位」 (TV/2022)

コスチューム物が割と好きな管理人が次に見つけたのがNetflixオリジナル「血と愛と王位」。中身は?と見てみると主人公はロンドン塔に幽霊となって出没していると噂のアン・ブーリン。全3話ドラマ仕立てのドキュメンタリーな仕上げとなってます。

■ 血と愛と王位  – Blood, Sex and Royalty – ■

Blood-Sex-and-Royalty

2022年/イギリス/全3話
監督:ジェームス・ブライス
脚本:Francesca Forristal他
製作:Steffan Boje他
音楽:Tom McLeod

出演:
エイミー・ジェームズ=ケリー(アン・ブーリン)
マックス・パーカー(ヘンリー8世)
アダム・アスティル(トーマス・ブーリン)
ロイス・ブレイビン=プラット(メアリー・ブーリン)
ジョン・ラムズデン(ジョージ・ブーリン)
ソフィー・ベトギ(ジェーン・ブーリン)

■解説:
歴史にその名を残す、危険でセクシーな英国王たち。彼らをめぐるイギリス王室の人間模様に現代的な解釈を加えた、官能的なドキュメンタリードラマシリーズ。

Netflix


Contents

あらすじ

フランスから帰国して王妃の侍女となったアン・ブーリンは国王ヘンリー8世の目に留まり求愛を受ける。だが愛人の立場には我慢できないプライド高き彼女は、結婚できないのならあなたの愛には応えられないと国王に迫るが ─

Blood-Sex-and-Royalty

感想

Netflix解説には“英国王たち”とあるものだから、どの王様だろうとあらすじを読むと“アン・ブーリン”の名前が。これが「血と愛と王位」第1シーズンとすれば、今回はヘンリー8世とアン・ブーリンのお話。ヘンリー8世を描いたドラマは過去にもあって「THE TUDORS〜背徳の王冠〜」が(脚色込みとしても)全4シーズンを使って王の最期までを描き切り、詳しくて非常に見応えがあった。

それに比べて本作「血と愛と王位」ではヘンリー8世というよりもアン・ブーリンが主人公となっていて、アン目線で物語は進んで行きアン処刑で終わりとなる。「THE TUDORS〜背徳の王冠〜」を先に観ているとちょっとというより、かなり物足らない。例え「THE TUDORS」を観る前だとしてもタイトルの「血と愛と王位」(英題:Blood, Sex and Royalty)はかなり大げさで、内容、官能、登場人物的にもかなーり物足らなくて、アン・ブーリンの半生をさらっと描いているに過ぎなかった。

これだけではアン・ブーリンの行動様式に共感が持てないまま。ヘンリー8世はただの女好き(一部は合ってる)にしか見えないまま。王妃キャサリン・オブ・アラゴンもただの嫌味なおばさんでしかない。それではあんまりなので彼らについて少し解説を。

アン・ブーリン

Portrait of Anne Boleyn
Portrait of Anne Boleyn

アン・ブーリン( Anne Boleyn,1501年頃 – 1536年5月19日)は、イングランド王ヘンリー8世の2番目の王妃(1533年結婚、1536年離婚)、エリザベス1世の生母である。ヘンリー8世の3番目の王妃ジェーン・シーモアは又従妹、5番目の王妃キャサリン・ハワードは従妹に当たる。
ヘンリー8世とキャサリンとの間には王女メアリー(後のメアリー1世)しか子がなく(早世した男子がいたともされる)、ヘンリー8世は男子の王位継承者を切望していたものの、当初はアンを愛人にする程度で満足するはずだった。しかし、アンから強硬に王妃の座を要求され、さもなければ肉体関係は拒否すると宣言されたため、ローマ教皇クレメンス7世にキャサリンとの「離婚許可」を求めることになった。

Wikipedia:アン・ブーリン

多くの愛人を持つ国王に詰め寄り、自分の価値とプライドを高く守り抜いたアン・ブーリン。ドラマの中でも初めて愛を告白してから1年が経つ…なんて王の手紙にあった通り、自分の思う結果を求めるのに決して急がない。結婚するまでに妊娠してしまってはその子は庶子となり正当な後継者として認められないことを理解して行動していた彼女はかなり計算高いとも言える。

これらはブーリン家が4代前までは平民(地方農民)に過ぎず、努力に努力を重ねて爵位や領地を増やすなどしてきた先祖たちの苦労を理解しており、上へ上へと切望する血筋が彼女にも脈々と流れている。ヘンリー8世の愛人の一人であったと言われている姉妹のメアリーは国王との恋に浮かれ、じきに(簡単に言うと)捨てられる。がその後、普通に結婚して子どもを持ち、おそらく普通の幸せな生涯を送ったのだとすれば、どちらの人生が良かったのか悩むところ…

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王妃の椅子は一つであることから、アンに追い落とされるように文字通りお払い箱になった不幸な王妃キャサリン。アンは彼女の娘メアリーの王女の身分剥奪も忘れず、もはや王妃ではない母の娘は庶子となり、アンとヘンリー8世の娘エリザベスの侍女になることまで強要。徹底的に今後の心配の種を潰したが、その後の歴史を見るに、まだまだ甘かったと言わざるを得ない(-“-)ものの、最後にはアン・ブーリンの娘エリザベス1世がイングランドとアイルランドを長く統治することになる。

Elizabeth1
Elizabeth1

ここでぜひ一言付け加えなくちゃならないことがある。
それは、ヘンリー8世と最初の王妃キャサリンは国を背負った人であったこと。それも元を正せば自分の家族(ここでは王族)を守るということになるのだが、統治する国家(ヘンリー8世にはイングランド)と政略結婚により国を守る使命(キャサリン・オブ・アラゴンの母国スペイン)が彼らにはあった。

そのことからどうしてもアン・ブーリンが自尊心のためだけに動く女性のように軽く見えてしまうのは仕方がない。が、いつ何が起こって今持っているものを取り上げられ処刑され、殺されるかわからない時代であるからこそ、彼女も家と将来の子孫を守りたかったのは間違いない。ただ多くを望みすぎ、加えて相手が悪かったとしか…(-ω-)

ロンドン塔のアン・ブーリン

Tower_of_London
Tower of London

ところで、歴史ある建物が多く残るヨーロッパ。そんな古い城や建物には何やら曰くがあることも多いが、アン・ブーリンが処刑されたロンドン塔にも彼女の首なし幽霊の目撃談がある。
自分の首を抱いた彼女はロンドン塔だけではなくゆかりのあるウィンザー城やヒーヴァー城にも出没。最後まで成し遂げられなかったことや娘のことが心配なのもあるだろう。けれど色々あったにせよ、たった1000日の在位で、あらぬ疑いをかけられ愛する夫に処刑された女性。人々のそんな女性に対する同情心は強く、幽霊を目撃させるのだろうかと想像してしまう。

ヘンリー8世

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Portrait of Henry VIII

ヘンリー8世(Henry VIII, 1491年6月28日 – 1547年1月28日)は、テューダー朝第2代のイングランド王(在位:1509年4月22日(戴冠は6月24日) – 1547年1月28日)、アイルランド卿、後にアイルランド王(在位:1541年 – 1547年)。イングランド王ヘンリー7世の次男。百年戦争以来の慣例に従い、フランス王位の要求も継続した。
6度の結婚に加えて、カトリック教会からのイングランド国教会の分離によって知られる。ローマ教皇庁と対立し、修道院を解散し、自ら国教会の首長となった。

Wikipedia:ヘンリー8世

彼もまた自分の欲しいものをよく知っており、それに対しては貪欲に何があっても必ず手に入れる人である。けれど彼の一番欲していたものは自身の跡取り、後継ぎ、後継者。自身の血を受け継ぐ王子、それもよりたくさんの。彼が欲しかったのはそれだけだったのかもしれない。

ヘンリー8世の結婚 ( )内は結婚期間

  1. キャサリン・オブ・アラゴン(1509~1533):娘メアリー
  2. アン・ブーリン(1533~1536):娘エリザベス
  3. ジェーン・シーモア(1536~1537):息子エドワード
  4. アン・オブ・クレーヴズ(1540)
  5. キャサリン・ハワード(1540~1542)
  6. キャサリン・パー(1543~)

アンとキャサリン・ハワードを死刑にした彼には他に非嫡出子が数名いるようだが、正妻には3名のみ…。
無用なものはどんどん切り捨てる無慈悲な行いに“因果応報”という言葉が自然と浮かんでくる。けれどこの強さこそが国を守ることにもなる。
後の女王エリザベス1世は強さのみを求め正式には結婚しない道を選んだ。メアリー1世、エドワード6世ともに子がいないため、チューダー朝は断絶する。
ヘンリー8世、あの世で見てたかな…(-.-)

Elizabeth_1999
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生身のヘンリー8世を見たいならぜひおすすめする「THE TUDORS〜背徳の王冠〜」。彼の6人の王妃たちも詳しく描かれ、どっぷりとチューダーの世界に浸かることができる。ヘンリー8世とアン・ブーリンに興味を持ったのならぜひ。

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他にもある歴史もの作品

Blood-Sex-and-Royalty

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