『ドリーム・ホーム』(2010) - A Pang Ho-Cheung Film/ Dream Home –

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また見つけちゃったー。多分、何かのレンタルディスクの予告編に入ってたんだよね。香港産のスプラッターということで、なんか暗ーい、鬱々した感じなのかと思ったけれど、映像はっきり、キレイなスプラッターでこれでもかと殺しの場面を見せつける。殺し方は色々だけど、殺される側の苦悶の表情が最期の最後まで映されていて、苦手な人は厳しいかも。

■ドリーム・ホーム – Dream Home -■

2010年/香港/96分
監督:パン・ホーチョン
脚本:パン・ホーチョン 他
製作:パン・ホーチョン 他
製作総指揮:アンドリュー・オーイ
撮影:ユー・リクウァイ
音楽:ガブリエル・ロベルト

出演:
ジョシー・ホー(チェン)
イーソン・チャン(シウトウ)
デレク・ツァン(チュン)
ローレンス・チョウ(オン)
ジュノ・マック(警官ファッ)
ミシェル・イェ(妊婦)

解説:
住宅価格の高騰が社会問題となっている香港の世相を背景に、高級マンションで繰り広げられる惨劇をブラックユーモアとともに描く衝撃のスプラッター・ホラー。主演は「エグザイル/絆」のジョシー・ホー、共演に「エンター・ザ・フェニックス」のイーソン・チャン。監督は「イザベラ」のパン・ホーチョン。(allcinema)

あらすじ:
銀行に勤めるOLチェンは湾岸エリアにそびえる超高級マンションに住むことが子供の頃からの夢。だが不動産価格は高騰を続け、いつまでたっても手に入らない。そこで彼女はある計画を立てる ―

原題:維多利亜壹號


冒頭、「これは実話です」って入るから、ほぉー(-.-)y-~~っと思いながら観ていると、いきなり殺害シーンが始まる。場所は高層マンションの警備員室。ちょっと仕事をさぼってウツラウツラしている警備員の頭の上から何やら輪っか状のモノが。

この後、ビシーっと首を絞められてもがき苦しむ警備員。彼の苦悶の表情が延々と映り、その内、眉間にあるコブが爆発するのかと思ってしまった。その彼を少し離れたところから見ている犯人。楽しんでいる風では無い、その小柄な犯人は、それでもこの殺しを完遂させる。いったい、その目的は?

ある日の夜、起きたこの残忍な殺人事件。でも、これは始まりに過ぎなかった。
犯人が次に目指したのは上層階の金持ち夫婦の家。夫は留守だと知っていた犯人は、チャイムを鳴らして家に押し入り、家政婦さんや身重の妻を次々襲う。けれども、この殺し屋はどうみても素人くさい。だが抵抗に遭って時間がかかっても、必ず最後までやり通す執念深さ。
何やら明確な理由と目的があるようだ。

この映画は一晩で11人(プラス胎児)もの犠牲者が出た残虐な殺人事件の間に、犯人であるOLチェンの幼少時からの回想シーンが挟まる。両親と弟、祖父と暮らす下町のアパート。チェンは漁師だった祖父のために海が見える場所へ引っ越したかった。だがそんな下町のアパートにも地域開発のために政府から強制退去が通達され、地上げ屋が来るようになる。ヤクザな地上げ屋の酷い仕打ち、それに続くアパート取り壊し。チェンの素敵な思い出は地響きと共に崩れていく。

【ここからはネタバレがあるかも】

いつか大きな家で暮らしたいと言っていた母が亡くなり、父は長い間の建設作業で肺を病む。チェンは働けない父と弟の面倒を見つつ、掛け持ちで仕事をしながらも、いつか美しいビクトリア・ハーバーが見える湾岸エリアに住むことを夢見て貯金に励む。だが彼女の現実は、どんどん上がる不動産価格、妻のいる金払いの悪い男と不倫をしている、うんざりな毎日。

またこの不倫相手が最低。妻が妊娠中で見た目が残念な上にホテル代さえ出さない男で、チェンは完全に都合のいい女状態。それでも真面目に不倫する彼女。

何とか貯金が貯まり、憧れの高級マンション「ビクトリアNo.1」に頭金を入れるまでになったチェン。契約はそこまで来ていたのに、がめつい売り主がもっと高い値段で売れそうだから、この契約は無しにすると一方的に言ってきた。

夢が遠いところにある間はいいけれど、あと半歩で手に入る段になって失う場合のダメージはかなり強い。チェンも相当なショックを受けるが、下町育ちの彼女は、それでは収まらなかった。ここで完全に切れてしまい、誰も思いつかない行動に出ることに。

マンションに取り付けてあるカメラを監視する警備員を始めに殺す。これはとても良い計画だ。次に選んだのは偶然、夫がいつも留守と分かった家。女しかいない方がやりやすいと思ったのだろう。その次は、うるさい音楽に引かれたのかな。男も多く大変だったが、これもきっちりと仕事をこなす。騒音の苦情で訪れた警官もうまく捌いた。
とは言え、彼女は殺しの素人だから、返り討ちにもあうし、なかなか死なない場合もある。それでも彼女は根が真面目。きちんと最後まで何度も何度もとどめをさす。

同情できる犠牲者はたいして居ないものの、妊婦さんはちょっと見てられなかった。不倫相手の妻への恨みもここで一緒に晴らしたのだろうか?殺し方も一番非道かったように思う。あと警官。これは完全なとばっちり。良さそうな人だったし職務を遂行していただけなのに。
どちらにせよ、チェンが素人で殺し方が下手なだけに、犠牲者がより苦痛を味わったのは間違いない。
それと、見殺しにしたお父さん・・。確かに娘が一人で抱えるのは大変だろうけど、見殺しの理由がマンションだったとすれば、やはり彼女にはどこか“サイコ”な血が流れているのだろう。じゃないと、こんな事出来ないわ。

この夜の凶行の結果、どうなったのか。
マンションの価値は下がり、販売価格は大きく下落。と言っても、下落の原因は世界的な経済危機にあったのかもしれない。理由はどうあれ、チェンは憧れのマンションに住み始めることになった。
メデタシ メデタシ

ぁっ、冒頭にあった実話としているのは、「不動産価格が上がった後に下落した」という部分だそうです。

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コメント一覧 (1件)

  • ドリーム・ホーム

    DREAM HOME 維多利亜壹號/10年/香港/96分/ホラー/R18+/劇場公開(2011/05/28)
    −監督−
    パン・ホーチョン
    −製作−
    パン・ホーチョン
    −原案−
    パン・ホーチョン
    −脚本−
    パン・ホーチョン
     
    −出演−
    ◆ジョシー・ホー…チェン
    主な出演作:『コンテイジョン』
    ◆イーソン…

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