『ボーン・スプレマシー』(2004) - The Bourne Supremacy –

ボーン・アイデンティティー』に続く本作『ボーン・スプレマシー』では、CIA内部の公金横領事件と、それにまつわる殺人をボーンにきせるための罠、そしてマリー銃撃。それらを暴いていくボーンの活躍のストーリーになっている。舞台はボーンとマリーが住むインドから始まり、横領事件調査のオフィスがあるベルリン、事件の核心があるモスクワへと、舞台はくるくる移動する。
そして全ての始まりは、まだボーンが思い出せずにいるベルリンで起きたある暗殺にあった。

The-Bourne-Supremacy

■ ボーン・スプレマシー  – The Bourne Supremacy – ■
2004年/アメリカ/108分
監督:ポール・グリーングラス
脚本:トニー・ギルロイ、ブライアン・ヘルゲランド
原作:ロバート・ラドラム「殺戮のオデッセイ」
製作:パトリック・クローリー他
製作総指揮:ダグ・リーマン他
撮影:オリヴァー・ウッド
音楽:ジョン・パウエル

出演:
マット・デイモン(ジェイソン・ボーン)
フランカ・ポテンテ(マリー・クルーツ)
ジョアン・アレン(パメラ・ランディ)
ブライアン・コックス(ウォード・アボット)
クリス・クーパー(デッド・コンクリン)
ガブリエル・マン(ダニー)
ジュリア・スタイルズ(ニッキー)
トーマス・アラナ(マーティン・マーシャル次官)
ミシェル・モナハン(キム)
マートン・チョーカシュ(ジャーダ)
カール・アーバン(キリル)
カレル・ローデン(グレツコフ)
オクサナ・アキンシナ(ネスキーの娘)

■解説:
記憶を失っていた男に再び脅威が襲いかかるサスペンス・アクションの続編。原作小説3部作の2作目『殺戮のオデッセイ』を映画化。元CIA諜報員が過去の記憶を辿ってそこに秘められた真実を追い求めていく。監督は「ヴァージン・フライト」のポール・グリーングラス。

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The-Bourne-Supremacy
Contents

■あらすじ

The-Bourne-Supremacy

あれから2年。ボーンとマリーはCIAの目から逃れるように、若者の多い町、インドのゴアで暮らしていた。ボーンの記憶は全て戻ったわけではなく、時折フラッシュバックのように戻る記憶のかけらに苦しめられていた。
一方、CIA内部で起きた公金横領事件を調査しているパメラ・ランディらのチームは、ベルリンで情報屋と接触。多額の金と引き替えにその関係資料を手に入れる取引を取り付けたが、その場を何者かが急襲しCIA諜報員と情報屋が殺され、資料、金ともに奪われてしまう。
そこに残されていた一つの指紋。それは「トレッド・ストーン」に関係する元諜報員ジェイソン・ボーンのものであった-

  

ボーンが記憶を失ってから2年。
今はマリーとインドの町ゴアで暮らしている。この地を選んだのは、あらゆる国の若者が多く住む町であり、追っ手の目から逃れるのにはちょうどいいと思われたからだ。CIAの元暗殺者である事は分かったものの、ボーンの記憶はまだほとんど戻っておらず、時折フラッシュバックのように目の前に現れる記憶の断片が彼を苦しめていた。
マリーの提案により、その数々の記憶の断片をノートに記していたが、内容はCIAの任務である「暗殺」に関するものが多く、資料を挟んだノートは分厚くなるばかりであった。

The-Bourne-Supremacy

そんなある日、追っ手の気配を察知したボーンは、マリーを連れて車で逃げ出すが、追っ手に追いつかれて銃撃を受ける。狙われたのはボーンだったが、代わりに弾を受けたのはマリーであった。
またもやCIAトレッド・ストーンに命を狙われたと考えた彼は、単身ナポリへ。空港で足止めされるも、力業で脱出、車を奪い指揮チームがいると思われるベルリンへ向かう-。

一方、こちらはベルリン

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公金横領事件捜査チームを率いるパメラ・ランディが究極の山場を迎えようとしていた。公金横領に関わる人物など詳細が記されている資料を受け取るために、情報屋との接触が今まさに行われていたのだ。
ビルの一室で情報料と引き替えに資料を受け取ったちょうどその時、電気系統を切られて真っ暗になったその部屋に響く銃声。パメラ達チームがモニタで監視しているその前で、殺戮は行われ金と資料が奪われた。そして残された指紋が一つ。
調べた結果出てきたのは、「トレッド・ストーン」に関わるジェイソン・ボーンという名前-。

ここでパメラは過去に行われていたトレッド・ストーン作戦と、トラブルを起こし行方が分からなくなっているジェイソン・ボーンの存在を知る。今回のベルリンの犯人はジェイソン・ボーンで、彼が横領事件についても関わっていると確信したパメラは、CIA、各国の警察、全ての力を使ってボーンを追い詰めていく。

  

■スプレマシーの見どころと感想

今回は、お互いを敵と誤解した形で互いを追い詰めていくことになる、ボーンとパメラが主軸となる。しかしこの2人が互いの敵では無いということは、陰に大きな悪が潜んでいるということだ。
ボーンを追う暗殺者と横領事件の真実。この2つはボーンにより密接に繋がっており、失われたボーンの記憶が鍵となる。

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前作に比べて、よりサスペンス性が強く、アクション、カーチェイスもますます磨きがかかっている。見所はたくさんあるが、DVDの解説にあったモスクワの16車線もある大通りに横から車が飛び出すシーン、トンネルでのチェイスシーンは圧巻。特別仕様の車にマット・デイモンを乗せて実際に撮影されているということだ。
またストーリーがきっちり練られ『ボーン・アイデンティティ』で描写されたターゲット等の「子供」に対するボーンの心情も説明されて、うまく繋がっている。

それにしても見事なのはカメラだ。
カメラがどんどんアクションの中に、車の中に入っていき、まるでボーン自身、またはもう1人の登場人物のような位置で観客に見せてくれる臨場感がすごい。跳ね返った拳がよく当たらないものだと感心した。
本作でもマット・デイモンはアクションをこなし、橋から飛び降りるシーンもケーブル付きではあるが本人がジャンプした。高さは60mあるらしい。

それと見逃せないのがこのシーン。

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ボーンが携帯でパメラとやり取りしている中で、女性諜報員について「君のすぐ近くにいるだろう」と指摘され、驚き皆が窓の外を振り返っている。しかし既にボーンの姿は無い 「…かっこいいー…」と誰もが思ったはず。
いつも監視している側が、いとも簡単に監視され、銃の照準器の中に身を置くことを許すという皮肉。

■主な登場人物


冷酷な殺し屋だったジェイソン・ボーン。
その彼が記憶を無くしたことを機に、本来の姿を取り戻そうと明るい出口を探してもがいている。1作目の終わりで出口に辿り着いたかと思われたが、それもかなわずまた闇の中に放り込まれてしまった。しかし本作最後には少し暖かみのある表情が戻り、ニューヨークの町を歩いていく彼の背中は力強い。

そして3作目『ボーン・アルティメイタム』に続く。もちろん「Extreme Ways」のリズムに乗せて-

ではまた

ボーン・シリーズ

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