『第9地区』では“エビ”と呼ばれたエイリアンが難民キャンプに押し込められていたが、今度は地球そのものが難民キャンプに。押し込められているのは貧困にあえぐ人間達。今度のマット・デイモンは丸刈り頭にムキムキ筋肉で奮闘する一人の男。ちょっとムキムキ過ぎてコワイ・・・
■エリジウム – Elysium -■
2013年/アメリカ/109分
監督:ニール・ブロムカンプ
脚本:ニール・ブロムカンプ
製作:サイモン・キンバーグ 他
製作総指揮:スー・ベイドン=パウエル 他
撮影:トレント・オパロック
音楽:ライアン・エイモン
2013年/アメリカ/109分
監督:ニール・ブロムカンプ
脚本:ニール・ブロムカンプ
製作:サイモン・キンバーグ 他
製作総指揮:スー・ベイドン=パウエル 他
撮影:トレント・オパロック
音楽:ライアン・エイモン
出演:
マット・デイモン(マックス・ダ・コスタ)
ジョディ・フォスター(デラコート防衛庁長官)
シャールト・コプリー(クルーガー)
アリシー・ブラガ(フレイ)
ディエゴ・ルナ(フリオ)
ワグネル・モウラ(スパイダー)
ウィリアム・フィクトナー(カーライル社長)
■解説:
「第9地区」のニール・ブロンカンプ監督が「ボーン・アルティメイタム」のマット・デイモンを主演に迎えて放つSFサスペンス・アクション大作。人類がスペース・コロニーに築かれた美しき理想郷“エリジウム”に暮らす少数の富裕層と、荒廃した地上で虐げられる大多数の貧困層に分断された近未来の地球を舞台に、ある目的のためにレジスタンス軍に参加し、強大なエリジウム政府に立ち向かう一人の男の運命を壮大なスケールで描き出す。(allcinema)
■あらすじ:
21世紀末には汚染が進み、不毛の大地となった地球。22世紀半ばには、選ばれた超富裕層が暮らすスペース・コロニー“エリジウム”と荒廃した地球に止まり貧困にあえぐ労働層に分かれていた。そんな地上で暮らす男マックスはドロイドの組み立て工場で働いていたが、ある日、事故により全身に照射線を浴び残り5日の命に。助かるためにはエリジウムに潜入し、どんな病気も一瞬で完治する医療ポッドに入る必要があった ―
監督は『第9地区』のニール・ブロムカンプ。
あの何とも殺伐とした、砂埃で口の中がざっらざらになりそうな鉄屑だらけの世界が今回は地球全域に。環境破壊がどんどん進んで緑が無くなってしまった地球。宇宙から眺めたら海は青いが大陸は茶色一色になってしまった2154年ロサンゼルスが舞台。
超富裕層はとっととこの地球に見切りを付けて、頭上400kmの上空に自分たちだけが住むための宇宙のオアシス“エリジウム”を建設、そちらに移り住んでいる。エリジウムと地球はきっちり区別され、エリジウムの人間達にとって地球に残った貧乏人は単なる労働力に過ぎないアリ程度の扱いだ。
地球にはドロイドによる警察機構や、地球人を装ったスパイを配置し、クーデターや密航なんかを厳しく監視。それでなくても人に埋め込まれたIDチップでエリジウムの監視モニターからどんな動きも見逃さない、完全に少数の上流層に支配された未来。
それらを纏めているのがデラコート防衛庁長官(何故か“防衛”)。監獄のような地球から脱走、勝手にエリジウムを目指す人々にも容赦せず、船ごと打ち落とし侵入を阻止する。この長官は「今すぐ打ち落とせ」「すぐに拘束しろ」と常に命令口調で血も涙も無い。ふくらはぎもムキムキ。
ここエリジウムには青い空に緑の木々、綺麗な水などが一杯だが、恩恵はそれだけでは無い。人類の叡智を結集して作られた特殊医療ポッドが各家庭に装備され、どんな怪我や病気も瞬時に治療する。砂を噛んで死んでいく地球人とは雲泥の差だった。
そんな悲惨な地球で生まれ、孤児院で育った男マックス。
幼い頃から喧嘩が絶えず、車両窃盗、武器による強盗などの犯罪で何度も刑務所に入れられていたが、今はドロイド製造工場で汗を流す労働者。子供の頃から「いつかはエリジウムへ」という夢も捨てていない。
だがある日、工場作業中の事故で全身に致死量の放射線を浴びて余命5日と宣告される。助かる道はエリジウムの医療ポッドに入ることのみ。
そこで彼は、貸しのある昔のワル仲間にエリジウムへ向かう船の密航手段を相談するが―
まず完璧な人工都市エリジウムが出来たからと荒廃した地球を捨て去る気満々の設定が面白い。エリジウム1つの収容人口はそう多くないみたいなのに。
現実にも月の土地が売りに出されたり、火星移住の権利(それも片道切符)に応募者殺到だったりしているが、それよりもかなーり近い地上400kmに浮かぶスペース・コロニーというところは、より現実味が感じられる。大金持ちじゃないと行けないというところにも・・。
あわせて一般人の目から遠く離れた超富裕層は、ここぞとばかりに自分たちだけが生き残るべき権利のある「人間」であるかのような横暴な振る舞いに出るのにも説得力が。
地球人を管理し面倒をみているのは全て高性能ドロイドで、エリジウムの支配者層が直接、地球人とやり取りせずに済むようなずるいやり方も徹底している。エリジウムには大統領のような存在のトップがいるけど、きっと地球人には投票権は無いんだろうね。
そんなエリジウムの家庭には普通に常備されている医療ポッド目指して、マックスが行動する。ここからがこの映画、マット・デイモンの真骨頂。展開もSFならではのものに。
人体に融合させる強化スーツとか、脳の情報をダウンロードして別の人間の脳に保存するとかもだが、この映画、『マッドマックス』にオマージュが捧げられているのかな。荒廃した地球、役名もマックスだし、何よりマックス達が運転する車のエンジン音が懐かしい「インターセプター」みたいにゥィイイイィーーンと鳴り響く。
今回のマット・デイモンは最初から超人ではなくて、元々ワルの設定で喧嘩が強く、強化スーツでさらにパワーアップしている男。エリジウムを目指すのはあくまでも自分の命を救うため。なんだけど、やっぱり彼らしいラストに繋がっていく。好きな彼女のためだけの行動では無いところに説得力を持たせつつ。長官と直接対決して臭い台詞が無いのもよかった。
代わりに敵として戦う事になるのが、『第9地区』の主役でもあったシャールト・コプリー演じるクルーガー。刀や手裏剣を使って襲ってくる、とっても強いヤツ。
ありがちな話なのかなーって思いながら観始めたけれど、こんな事を楽しんでいたらあっという間に観終わってました。それにしてもマット、、ちょっとゴツすぎるよ・・・
コメント
コメント一覧 (8件)
エリジウム
「第9地区」は独創性に溢れた面白い作品だったけれど、これはごくふつーのSFだった。
なんで大リーグ養成ギブスがでてくんの。箱庭感満載で、地球規模のSFに感じられない。富裕層のコロニーと、地球のスラム、それしかでてこない。スペースコロニーの設定はガンダムのほうがまだ上。
それと主人公の自己犠牲による弱者救済ラスト。「エリジウム」というスペースコロニーがタイトルになっているのに、その肝心のエ…
「エリジウム」 持つ者と持たざる者
「第9地区」で長編映画デビューを飾り、高い評価を受けたニール・ブロムカンプ監督の
あの車のシーンは良かったですねー
仰る通り、悪役も良かったです。クルーガーもそうですが、ほとんど何の説明も無く、そのまま最期を迎えた長官も良かった。
『第9地区』に通じる雰囲気は、やはりありましたね。
ヒロ之さんが書いておられた通り、『第9地区』は定期的に観たくなりますねー。確かに本作はラストを知ってしまった後では、魅力は薄れてしまうかも。
確かにマッドマックスっぽい雰囲気はありましたね。
私もあの車はインターセプターを思い出して、ちょっとテンション上がりました。
今作は悪役皆に魅力があったように思えます。
その為かかなり展開的には盛り上がりが生まれていました。
第9地区ほどのインパクトはなかったですが、そこそこに楽しめました。
エリジウム
ELYSIUM
2013年
アメリカ
109分
SF/ドラマ/アクション
PG12
劇場公開(2013/09/20)
監督:
ニール・ブロムカンプ
『第9地区』
製作:
ニール・ブロムカンプ
脚本:
ニール・ブロムカンプ
出演:
マット・デイモン:マックス・ダ・コスタ
ジョディ・フォス…
『エリジウム』
照射事故で余命5日間を
宣告された男が、不治の病が
一瞬で完治する理想郷を目指す…
【個人評価:★★★ (3.0P)】 (劇場鑑賞)
原題:Elysium
こんにちはー
私にとってマット・デイモンは『ボーン・アイデンティティー』なんですよねー。でもふにゃりとしていて気弱で優しげな『リプリー』とか『ふたりにくぎづけ』も好きです。
この映画ではボーンみたいに強いところもあるけど、普通のお兄ちゃん役です。
SFと見てもなかなか面白かったですよ。
こんにちは~
『エリジウム』、わたしもGEOの新作コーナーで見ました!
ちょうど、GEOをうろついていたら、
『エリジウム』のガンダム風ナレーションのPRが始まって、
えらくカッコよかったです。
でもマット・デイモン。
私の中では、『ふたりにくぎづけ』と『オーシャンズ11』シリーズの
イメージが強くて、マッチョに違和感ある~