『メイド 冥土』(2005) - The Maid –

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中国人の家にメイドとして雇われたフィリピンの少女が数々の恐ろしい目にあう、珍しいシンガポール産ホラー。舞台が多民族国家シンガポールの中国人街ということだけで、もう異国情緒感がたっぷり。ぱっと見、作りは古い映画のようだが、丁寧な幽霊描写と物語が日本の幽霊作品に通じるものがあり、ゾクッと背筋が寒くなる。
 
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■メイド 冥土 – The Maid -■
2005年/シンガポール/90分
監督・脚本:ケルヴィン・トン
製作:タイタス・ホー 他
製作総指揮:ダニエル・ユン
撮影:ルーカス・ジャドゥジン
音楽:アレックス・オー、ジョー・ン
出演:
アレッサンドラ・デ・ロッシ(ローサ)
チェン・シュウチェン(テオ)
ホン・フイファン(テオ夫人)
ベニー・ソウ(アスーン)
 

解説:
本国シンガポールで大ヒットしたサスペンス・ホラー。シンガポールに出稼ぎにやってきたフィリピンの少女が、地元の宗教的因習を知らずに禁忌を犯してしまい、次第に恐ろしい現象に巻き込まれていく。監督はシンガポールの新鋭ケルヴィン・トン。

あらすじ:
メイドの職を得てフィリピンの小さな村からシンガポールにやって来た少女ローサ。雇い主の中国人一家ともすぐに親しくなるが、ちょうどその頃、季節は太陰暦の7月を迎えていた。この時期、道教信者の間では、地獄の門が開き死者の霊が人間界に降り立ち様々な悪事を働くと信じられ、人々は被害に遭わぬための数々の因習を守っていた。しかし、そのことを知らないローサは知らず知らずのうちにいくつものタブーを犯してしまい、やがて彼女の周囲で不可解な現象が起こり始めるのだった-
  (allcinema)


あれ?古い中国映画を借りちゃったかな?と勘違いしてしまった冒頭。
フィリピンの女の子がメイドに雇われた、という設定にそう言えばシンガポールでは多いんだ、と思い直す。
ここから観ている側はシンガポールの中国人の家に、フィリピンの少女ローサと一緒に迷い込むことになる。
門のような玄関扉、迷路のような家の造り、影の多い家の中。コンクリート製の家は無機質で冷たく感じるが、置いてある調度品などは赤く、または金色が使われた古く見える物だったりして、何か落ち着かない。どの扉も立て付けが悪く、塗装もはげており、開けるたびにギィーっと音がする。トイレも和式(?)だし、水も大きなカメに貯めてある。いつの時代なのか、というような古びた物もの達。
 
The Maid_12そして行われる太陰暦の儀式。
「地獄の門が開き死者の霊が人間界で悪事を働く」と信じられている7月は、街のいたるところで人間界に降り立った霊を弔う為に模造紙幣を燃やす儀式が執り行われる。各家の玄関先でも行われるこの儀式に、興味深く見入るローサ。主人のテオ夫人にこの時期にやってはいけないことを教えられるが、全ては頭に残らない。そして玄関先に残った灰を掃除してしまったローサ。これも禁忌事項の一つだった。
 
ここから禁忌を破ったローサの身に数々の恐怖が襲いかかる。
それは奇妙な物音や、不意に現れる人影に始まり、徐々にはっきり見えるようになる苦悩する少女の顔、鴨居にぶら下がる人..。優しく大事にしてもらっていると思っていた主人一家の態度も、次第に冷たく突き放されるように。
そして同じメイド仲間に、以前テオ一家にいた一人のメイド少女が行方不明になっていることを聞く―
 
 
The Maid_13ローサに起こったことは禁忌事項を破ったからなのか、それとも他に理由があるからなのか。
ホラーでありながら、きちんとストーリーが練られてラストまで目が離せない。テオ夫婦の一人息子アスーンは障害があるのだが、その障害により「無垢」なのか、それともそうじゃないのか、、。
幽霊描写は大きな音と共に頻繁にあるので、段々飽きてくるが、このアスーンの話は結構破壊力が..
 
「提灯」ってなんか怖いんですよね。やっぱりホラーはアジアものですわ。

 

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