すごく楽しみにしていた『ほんとうのピノッキオ』。皆が知っているピノキオとは違うもっとダークで大人向けファンタジー映画作品かと思っていたけれど、違ってた(‘A`)また…)。よりリアルなファンタジーの住人たちが今の技術で次々登場する普通のピノキオです。
■ ほんとうのピノッキオ – Pinocchio – ■
2019年/イタリア/124分
監督:マッテオ・ガローネ
脚本:マッテオ・ガローネ他
原作:カルロ・コッローディ「ピノッキオの冒険」
製作:マッテオ・ガローネ他
製作総指揮:アレッシオ・ラッツァレスキ他
撮影:ニコライ・ブリュエル
音楽:ダリオ・マリアネッリ
出演:
フェデリコ・エラピ(ピノッキオ)
ロベルト・ベニーニ(ジェペット)
ジジ・プロイエッティ(人形劇一座の親方)
ロッコ・パパレオ(ネコ)
マッシモ・チェッケリーニ(キツネ)
マリーヌ・ヴァクト(妖精)
アレッシオ・ディ・ドメニカントニオ(ルシーニョロ)
パオロ・グラジオッシ(さくらんぼ親方)
マッシミリアーノ・ガッロ(カラス医師)
ジャンフランコ・ガッロ(フクロウ医師)
マウリツィオ・ロンバルディ(マグロ)
マリア・ピア・ティモ(カタツムリ)
ダヴィデ・マロッタ(おしゃべりコオロギ)
テコ・セリオ(ゴリラ裁判官)
ニーノ・スカルディーナ(コーチマン)
■解説:
ディズニーの名作アニメ「ピノキオ」でも有名な児童文学「ピノッキオの冒険」を、「ゴモラ」「ドッグマン」などで知られるイタリアの鬼才マッテオ・ガローネ監督が、美しくも残酷に映画化したダークファンタジー。映画.com
Contents
あらすじ
あらすじは皆の知っている通り。不思議な丸太を材料に男の子の人形を作ったジェペットじいさんの思いが実り、人間の子どものように動き出したピノッキオ。子どもらしくジェペットのいいつけを聞かないまま、人形劇団に連れさられたり、狐と猫に騙されたり、またもや子どもさらいにさらわれたりして痛い目に遭いつつも、優しき妖精さんと無償の愛でピノッキオを世界の果てまで探してくれたジェペットのお陰で人間らしく成長したピノッキオが、本当の子どもになる物語。
見どころと感想
邦題が『ほんとうのピノッキオ』ってなってるから、きっと知っているピノキオ物語よりも、もっとダークでどろどろした恐ろしい物語が追加されていると(勝手に)想像していたんだけど、原題は普通に「Pinocchio」で、内容も普通に「Pinocchio」だった…(゚∀゚)
とは言え、さすが21世紀作品。トレーラーのこれ を観て本作を楽しみにしていたと言っても過言ではない素晴らしい映像技術。
お名前:カタツムリさん
妖精さんと一緒にお屋敷で暮らしているばあや的な存在の女性。その佇まいや所作から受ける印象は、優しく包容力がありながらも、高貴で気高く一本筋の通った厳しい面も持ち合わせ、子どもを育てるのに手伝ってもらうばあやにはうってつけの存在。
ただ一つの問題は、彼女が通った跡にはネバネバの粘液質の物質が床に残り滑りやすくなることだ。
本作の登場人物は、ジェペットさんの隣人を除けばその殆どが見た目は人ではない動物たちだ。それらは過去の「ピノキオ」作品も同じであろうが、こういったファンタジー作品の登場人物の造形は、新しい作品になればなるほど目を見張るものになり、それだけでも観る価値があるというのが正直なところ。
本作もお話はベースそのものだったので、始まってすぐに楽しみ方は忘れかけていた物語部分と登場人物たちの造形、表情、動きなどにシフトした。実はピノッキオそのものが、ちょっと目が寄り気味で苦手な感じだったのもあって、余計に他の登場人物に集中していったのもあるんだけど…
それにしても今回久しぶりに「ピノキオ」の物語に接して、自分が子ども時代に感じた胸の痛くなるような場面を再確認してしまった。それは何かというと、貧しいジェペットさんが一つしか無いコートや上着を売ってまでピノキオのために買った一冊の教科書。それを学校よりも楽しそうな人形劇を見たいがためにお金と交換したピノキオ。
ねぇ、それはジェペットさんが寒い思いをしてまでも手に入れた物なんだよ…。学校に行く言いつけを守らないどころか、勝手に売り払ってしまうとは(‘A`)。ジェペットさんの気持ちを思うと胸が痛い・・・
ま、だからきっちりとやったことへのバツはこれから経験していくんだけどね。でも大人になって見てみると、まだまだ甘いな、と思ってしまう。だってさ、なかなか妖精さんやカタツムリさんみたいな人には出会えないもん。というか、普通魔法は使えないしね。と言いながらも最後まで見てしまえるのが、こういった教訓を含んだ童話のいいところかな(映像技術も楽しいし)。
そう言えば一つ、ピノキオの物語で勘違いしていたところがあった。ジェペットさんとその後にピノキオまでが飲み込まれたのはクジラだとばかり思っていたけれど、本作では「サメ」となっていた。どうやら「The Terrible Dogfish」というのが正しいらしい(“Dogfish”はアブラツノザメのこと)。
「ピノキオ」関連作品
- アニメ映画
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- ピノキオ(1940) ディズニー製作
- ピノキオの宇宙大冒険(1965)
- ピノキオ 新しい冒険(1987)
- ピノキオ3000(2004)
- ギレルモ・デル・トロのピノッキオ(2022) 2022年12月Netflix配信予定
- 実写映画
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- ピノキオ(1996)
- ピノッキオ(2002)
- ピノキオ(2015)
- ほんとうのピノッキオ(2019)
- ピノキオ(2022) 主演トム・ハンクス(2022年9月Disney+配信予定)
皆が知っているのは、やはりディズニーの1940年「ピノキオ」。物語や描写は原作とは違っている部分もあるらしく、これではやはりクジラに飲み込まれている。原作はサメだったんだね。
今年のピノキオ作品2つ「ギレルモ・デル・トロのピノッキオ」とトム・ハンクス「ピノキオ」も今からとても楽しみにしている。なんだかんだで楽しみにしているというのも、子どもの頃観たディズニー作品の影響なのかもしれないなー