『スタンド・バイ・ミー』 (1986) - Stand by Me

タイトルを見るだけでバックミュージックが聞こえて、自分の思い出でもないのに、少年たちを思って、ふと哀しくなり立ち止まりたくなる、そんな作品。これも定期的に観てはノスタルジーに浸って昭和を思い出してる・・・

Stand_by_Me

■ スタンド・バイ・ミー - Stand by Me – ■
1986年/アメリカ/89分
監督:ロブ・ライナー
脚本:ブルース・A・エヴァンス他
原作:スティーヴン・キング
  「スタンド・バイ・ミー」
製作: ブルース・A・エヴァンス他
撮影:トーマス・デル・ルース
音楽:ジャック・ニッチェ
主題歌:ベン・E・キング
  「スタンド・バイ・ミー」

出演:
ウィル・ウィートン(ゴーディ)
リチャード・ドレイファス( 大人ゴーディ・ナレーション )
リヴァー・フェニックス(クリス)
コリー・フェルドマン(テディ)
ジェリー・オコンネル(バーン)
キーファー・サザーランド(エース)
ケイシー・シーマツコ(バーン兄)
ジョン・キューザック(ゴーディ兄)
ゲイリー・ライリー
ブラッドリー・グレッグ(クリス兄)
ジェイソン・オリヴァー

■解説:
スティーブン・キングの短編小説「死体」をロブ・ライナー監督が映画化したノスタルジックな青春ドラマ。出演はリバー・フェニックス、ウィル・ウィートン、コリー・フェルドマン、ジェリー・オコンネル。

■あらすじ:
オレゴン州の小さな田舎町キャッスルロック。それぞれに家庭の問題を抱える4人の少年たちが、町から30キロばかり離れたところに列車の轢死体が放置されているという噂を聞き、死体探しの旅に出る ─

映画.com


Contents

出発

子どもの頃の知り合いクリスが刺殺されたというニュースを聞いて、当時を思い出した作家ゴードン。彼は本音で話せる唯一の親友だった。

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1959年夏、オレゴンの小さな田舎町。
12歳の僕は、いつも親友クリス、テディ、バーンと一緒に時を過ごしていた。小学校を卒業したばかりの夏休み。今日も木の上に作った秘密基地に集まり、馬鹿なことを言い合いながらトランプなどをやっている。そこに少し遅れてバーンがやって来た。すごい話を聞いたという。

─ それは、
数日前から行方不明の少年ブラワーの死体が、30キロ以上離れたハーロウ・ロードの線路脇に転がっているという噂だ。どうやら列車に轢かれたらしい。バーンは、ぜひ見つけに行って警察に通報し、ニュースで自分たちを取り上げてもらおうと言う。他の二人もすぐに賛成した。
僕は、、僕は、、最近、兄の死を経験したばかりだ。だから「死」をわざわざ見つけに行くなど気が進まなかった。が、皆に言われて一緒に行くことに。

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友達の庭でキャンプをすると嘘を言ってすぐに出発した僕ら。くだらないことを言いながら、線路沿いにどんどん進んでいく。水や寝袋を持っていくのは思いついたのに、食べ物は誰も持っていないとか、今思えば、本当に子どもの思い付きだったと思う。けれど、当時の自分たちにしてみれば、30キロ以上も離れた場所に子どもたちだけで行くなんて、一種の肝試しだったんだ。それも死体探し付きの。

小学校を卒業し、秋になれば中学生。まだ皆同じ学校に行くけれど、すぐに進路を考えなくてはならなくなる。オレゴンの小さな町キャッスルロックなんて何にもない。高校出て、結婚して、工場で働いて子どもを育て、酒を飲んで年取っていくのが関の山。町を出るつもりで準備していかなければ何者にもなれない。この話ができるのはクリスだけだった。

冒険

くず鉄置場で飼われている犬チョッパーには気を付けなくてはいけない。侵入者には容赦なく襲ってくる。それも侵入者が男なら、男の大事なところを噛みに行くように教えられてる。
父親が戦争に行った経験のあるテディは、父親は戦争の英雄だと思い込んでいる。そして自分も軍人かぶれになっていて、何かと言えば軍人のようにふるまうが、実際は違う…。戦争から帰っては来たが、神経をやられたのか、テディの父親はまともではなくなった。子どもたちにも平気で暴力をふるう。
だが、子どもたちに暴力をふるうのはテディの父親だけに限ったことではない。クリスのところも、バーンのところも同じだ。だから一緒にやられている彼らの兄は、弟には容赦ない。実の兄たちだけではない。町の高校生たちは自分より年下の者には口ではなく拳で話す。そんなことしなかったのは、僕の兄デニーだけだった。

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ずっと線路を歩いていると、いろんな事が思い出されてくる。冒険に出たつもりだったけれど、心がどんどん重くなっていくのはどうしてなんだ。事故で死んでしまった大好きな兄デニー。兄はアメフトで大活躍しており将来も嘱望されていた。父親のお気に入りの兄だった。

対して、自分はどうだった?兄の話しかしない父親。自分には話しかけもしてくれない。興味がないんだ。兄が死んだとき、兄の葬儀で僕を見る父親の目は言っていた。
「お前だったらよかったのに ─」

兄の代わりをしてくれるのはクリスだけ。クリスは僕の文章を書く才能を無駄にしてはいけないと言う。キャッスルロックで人生を終えるようなことをしてはならないと。でも、それはクリスも同じだ。悪い噂は絶えないが、実は頭のいい優しい親友だ。クリスこそ、進学コースに進むべきなんだ。

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森を進んだ先に、その死体はあった。
藪の中に上を向いて、一週間近くもそこに一人でいた。僕たちはまだ12歳だ。けれど「死」というのは、年齢に関係なく急に誰かに訪れることがある。兄もそうだったじゃないか。さっきまで元気に話していたのに、その日突然いなくなってしまった。
棺桶に入れられて墓穴に降りていく兄…。でもその中は見ていない。本当に兄の身体はあの中にあったのか?どうしても信じられない。信じられないから涙も出ない。なのにどうして父親はこっちを責めるように見てくるんだ?僕があの中に入っていた方がよかったの?兄ではなく僕が?

馬鹿なことを言いながら、苦しいことを考えながら、クリスと話しながら、泥まみれになって沼に落ちて、たくさん歩いてここまで来た。後から車でやって来たエースたちもクリスの銃で撃退した。
こんなこと、死んでたら出来ないよ。ブラワーのように上を向いて倒れているしかできない。確かに僕は生きている。死んだのはブラワーであり、兄だ。僕は生きているんだ。誰がどんな目で見てこようとも ─

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最後に

気乗りのしない冒険だったけれど、この旅は12歳のゴーディを強くした。確かに自分は生きており、自分の人生を自分の足で歩んでいけるんだという事が分かった経験となった。それに気が付く助けをしてくれたクリスとは次第に離れてしまったが、彼も自分と同じように力強く進んでいった。見知らぬ他人の喧嘩の仲裁に入って死んでしまったクリスは残念だったが、いかにも優しく正義感の強いクリスらしい。

作家となった今では、僕にも妻と子どもが二人いる。僕は彼らへの愛情を惜しみなく表現し与える。自分の両親は反面教師にしている。 今日ラジオでクリスの事件を聞いて、あの冒険の時にクリスが言っていたことを思い出した。

小説の話のネタが無くなった時には、僕たちのことを書けばいいじゃないか。

今から書こうと思う。

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