資本主義ではない国の、表に出ない事の恐ろしさに改めて恐怖する。それは50人以上の罪も無い人々を次々と殺したチカチーロという悪魔なのか、それとも、もっとずっと大きいものなのか、、、。大きすぎてもはや視界にさえ入らないけれど・・・
■ チャイルド44 森に消えた子供たち - Child 44 – ■
2014年/アメリカ/137分
監督:ダニエル・エスピノーサ
脚本:リチャード・プライス
原作:トム・ロブ・スミス「チャイルド44」
製作:リドリー・スコット 他
製作総指揮:アダム・メリムズ 他
撮影:オリヴァー・ウッド
音楽:ヨン・エクストランド
出演:
トム・ハーディ(レオ・デミドフ)
ゲイリー・オールドマン(ネステロフ将軍)
ノオミ・ラパス(ライーサ・デミドワ)
ジョエル・キナマン(ワシーリー)
パディ・コンシダイン(ウラジミール)
ジェイソン・クラーク(ブロツキー)
ヴァンサン・カッセル(クズミン少佐)
グザヴィエ・アトキンズ
マーク・ルイス・ジョーンズ
ファレス・ファレス
アグニェシュカ・グロホフスカ
ペトゥル・ヴァネク
ウルシーナ・ラルディ
マイケル・ナードン
2014年/アメリカ/137分
監督:ダニエル・エスピノーサ
脚本:リチャード・プライス
原作:トム・ロブ・スミス「チャイルド44」
製作:リドリー・スコット 他
製作総指揮:アダム・メリムズ 他
撮影:オリヴァー・ウッド
音楽:ヨン・エクストランド
出演:
トム・ハーディ(レオ・デミドフ)
ゲイリー・オールドマン(ネステロフ将軍)
ノオミ・ラパス(ライーサ・デミドワ)
ジョエル・キナマン(ワシーリー)
パディ・コンシダイン(ウラジミール)
ジェイソン・クラーク(ブロツキー)
ヴァンサン・カッセル(クズミン少佐)
グザヴィエ・アトキンズ
マーク・ルイス・ジョーンズ
ファレス・ファレス
アグニェシュカ・グロホフスカ
ペトゥル・ヴァネク
ウルシーナ・ラルディ
マイケル・ナードン
■解説:
2009年版『このミステリーがすごい!』で1位に輝くなど日本でも話題を集めたトム・ロブ・スミスの『チャイルド44』を「インセプション」「ダークナイト ライジング」のトム・ハーディ主演で映画化したクライム・ミステリー。スターリン独裁政権下のソ連を舞台に、国家が揉み消した連続猟奇殺人事件を巡り、一人のエリート捜査官が全体主義国家の恐るべき不条理に立ち向かって真相究明に奔走するさまをスリリングに描く。共演はゲイリー・オールドマン、ノオミ・ラパス。監督は「デンジャラス・ラン」のダニエル・エスピノーサ。
■あらすじ:
1953年、スターリン政権下のソ連。ある夜、国家保安省(MGB)のエリート捜査官レオは、変死体となって発見された戦友の息子の亡骸と対面する。事件性は明白だったが、上司は“理想国家のソ連にこのような犯罪は存在しない”との理由で事故死として処理するよう命じる。疑念が拭えない中、今度は最愛の妻ライーサにあらぬスパイの容疑がかけられ、レオに妻を告発するよう圧力がかかる。これを拒否したため、レオは地方の警察署に飛ばされてしまう。するとそこで、再び少年が被害者の猟奇殺人事件に出くわす。犯人を野放しにするわけにはいかないと、署長のネステロフに協力を仰ぐレオだったが ―
(allcinema)
KGBは「ソ連国家保安委員会」。本作に登場するのはMGBで「ソ連国家保安省」。どう違うのかは調べることさえちょとコワイ・・・(-.-)
ま、とにかく主人公レオは第二次世界大戦従軍後、MGBに入省する。彼は当時のスターリンの政策により大量に生まれた孤児の一人。MGBに入るまでは相当な苦労があったと推察されるが、彼は運が良かった。彼の仕事はスパイの摘発とそれに付随する多種多様な任務だが、きっとあなたの想像通り、人を人とも思わない拷問の世界が繰り広げられていたはず。が、彼は無用な殺害は好まず、まだ人間性が残っている人だと言える。
そんなある日、線路脇で子供の死体が見つかる。刃物で切られた多数の傷跡、全裸で捨て去られた痛ましい少年の身体。10歳にもならないその少年がレオの戦友であり同僚の息子だと分かって彼は驚くが、上司はこうレオに通達した。
「この国は“楽園”である。楽園で殺人など起きえない。よってこの少年の死因は列車事故である。」
これがソ連なのだ。レオは上司にこれは事件だと意見するも、そこまで。それ以上は口をつぐむことがこの世界で生き残る術である。子供の父親も捜査して欲しいと抵抗するものの、最後はやはり沈黙するしか無かった。
だが、この事件は続く。鉄道の線路に沿って広範囲に点々と死体は捨てられ、これが連続殺人だとレオは確信するが、以前からレオを逆恨みする後輩に足下を掬われ、彼は田舎の警察に更迭の身となってしまう。
さて、ここからは連続殺人鬼の捜査というミステリーものに移行していく。だが舞台がソ連なだけあって、殺人事件の捜査そのものも秘密裏に行わなければならない。その上、レオを憎む後輩の存在が絡み、文字通り、命がけの捜査となっていく。
で、犯人。
この連続殺人鬼のモデルは実在の殺人鬼アンドレイ・チカチーロだ。
アンドレイ・チカチーロ
ウクライナ生まれの連続殺人者。ロストフの殺し屋、赤い切り裂き魔などの呼び名で知られる。1978年から1990年にかけて、おもにロシア・ソビエト連邦社会主義共和国内で52人の女子供を殺害したとして殺人罪を言い渡された。一部の犠牲者は、当時のウクライナ・ソビエト社会主義共和国とウズベク・ソビエト社会主義共和国で殺されている。当時のソビエト連邦では、「連続殺人は資本主義の弊害によるものであり、この種の犯罪は存在しない」というのが公式の見解であった。チカチーロの犯罪については、民警(ロシア語版)(ソ連内務省管轄の文民警察組織)内部では連続殺人という認識が無く、組織立った捜査が行われなかった。チカチーロの犯行範囲は事実上ソ連全土に及んだこと、犠牲者が男女を問わなかったことで、同一犯の犯行とは考えられず、いたずらに犠牲者を増やす結果となった。最終的にはKGBの捜査介入が行なわれ、逮捕されるに至った。
(Wiki:アンドレイ・チカチーロ)
こんな怪物を見つけるために、背中から襲い来る“国家”という大きな怪物とも戦う事になったレオと妻。うまくやらなければ、たちまち自らが犠牲者となって土の上に転がるのは明白だった。
この映画、最初の犠牲者の話が出てきたところで、なんか観たことあるなー、なんだったろう?と考えながら観ていたんだけど、ようやく思い出した!原作を読んでいたのでした(-ω-)
恐らく「チカチーロ事件をモデルに!」とか「ミステリー1位!」とかにふらついて手に取ったんだと思う、自分のことだから。で、驚いたことに、当時本を読みながら頭に描き想像していた通りの光景、情景が今回映画として目の前に再現されたのだ。出演者たちの雰囲気や細かい年格好なんかは別にしても、寒々しいソ連の街並み、得体の知れない体制側の人々、人のいない寂しい小さな駅で幼い子どもに声をかける殺人鬼の様子、、、等々が思い描いていたとおりに広がった。読んだのはもう何年も前だというのに・・・
本作では色々な国の俳優たちが演じているが(本物のロシア人さんはいたのだろうか?)、なかでも最近ちょっと注目しているこの人を最後にご紹介
ジョエル・キナマン
スウェーデンのストックホルム出身の俳優。高い評価を受けたスウェーデン映画『イージーマネー』への主演と、グルドバッゲ賞(スウェーデン語版)助演男優賞へのノミネートをもたらした『Johna Falk』シリーズのフランク・ワグナー役で知られる。
キャリアの拡大を目指し、アメリカのユナイテッド・タレント・エージェンシーと契約した。2010年4月には『ダーケストアワー 消滅』で国際進出を果たすことが明らかになった。2011年4月からはAMCのテレビドラマ『THE KILLING 〜闇に眠る美少女』で刑事を演じている。2011年、『イージーマネー』の続編2本の撮影が開始された。キナマンは『マイティ・ソー』と『マッドマックス』シリーズの第4作の主演候補に挙げられていた。 2013年、アーサー王伝説を描く「アーサー&ランスロット」でキット・ハリントンと共演する。
主な出演作
・イージーマネー(2010)
・ドラゴン・タトゥーの女(2011)
・ダーケストアワー 消滅(2011)
・THE KILLING 〜闇に眠る美少女(2011-2013)
・デンジャラス・ラン(2012)
・29歳からの恋とセックス(2012)
・ロボコップ(2014)
・ラン・オールナイト(2015)
・チャイルド44 森に消えた子供たち(2015)
・スーサイド・スクワッド(2016)
(Wiki:ジョエル・キナマン)
特にテレビドラマ「The Killing」は以前に『ワールド・ウォーZ』でも紹介したけれど、とても見応えのある刑事ものミステリー。主演の2人や娘を殺された夫婦、犯人として疑われていく人々などの人間ドラマがとても重厚で全編通して飽きがこなく、最後まで一気に見ることが出来る。今ならNetflixとかで配信されてます。
それにしても『マッドマックス』4作目主演候補に挙がっていた?なんとまー、結局マックスを演じたトム・ハーディと本作で共演。それも敵対する役で。
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