『ホーリー・マウンテン』(1973) - The Holy Mountain

時代、国、大陸さえも瞬間移動するような世界観。それでもベースとしては西洋文明に侵略された過去の南米を描いており、現実を見ろ、早く前に進もう!と観る者に訴えかける。前半の超弩級カルトをくぐり抜けると、案外普通な後半が待っている。

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■ ホーリー・マウンテン - The Holy Mountain – ■
1973年/メキシコ・アメリカ/117分
監督・ 脚本:アレハンドロ・ホドロフスキー
製作:アレン・クライン
撮影:ラファエル・コルキディ
音楽:アレハンドロ・ホドロフスキー 他
 
出演:
アレハンドロ・ホドロフスキー
ホラシオ・サリナス
ラモナ・サンダース
アリエル・ドンバール
ホアン・フェラーラ
アドリアナ・ペイジ

 

解説:
ジョン・レノンが惚れ込んで独占配給権を買い取ったという作品のHDリマスター版。神の住む山、ホーリー・マウンテンを目指す人々の旅路を描く。賢者の石、無数のキリスト像、フリークスなど、神秘主義に彩られた壮大なカルト・オペラ。
(TSUTAYA)

あらすじ:
砂漠で磔にされようとしていた盗賊の男。まんまと逃げ出した彼は町に辿り着き、高い塔の頂上に入り込む。そこで錬金術師と出会った彼は金だけに止まらず、不老不死の力を得るため8人の仲間達と「聖なる山」を目指すことに ―


ずっと気になってはいるものの未だ観ていない『エル・トポ』。大概のホラーなら顔を歪めながらも観ていられる自分だが、下ネタ気持ち悪い系はダメなもので…。で、ちょっと前に観た『ホドロフスキーのサイコマジック・ストーリー』(2013)が案外普通(個人的感想)だったので、じゃあそれならと勢いで借りたのが本作『ホーリー・マウンテン』(やっぱりエル・トポは避けている)

・・・もうね、何度途中で止めようと思ったことか(-.-)
でもせっかくGWのために借りたんだから、と、頑張っていると、途中から作風ががらりと(感じる)変わり、案外分かりやすい普通の進行に。まぁ、それでもなんでここにこんなに力を入れるのか?と、ちょくちょく思わせてくれはするんですが。

で、そのオープニング
The-Holy-Mountain_movie1973_13-2c・・・え?山登るんとちゃいますのん?(←感想第一声)

それでもカルトと名高い本作においては、それなりに想定内。この後、真ん中の錬金術師(演:監督)が女性の化粧を落として服をひんむき、髪を剃り上げ、最終的に妙な姿勢でキメルのも、らしい作り。
しかし、これはホンの序の口。次の場面からは、時代も場所もすぐには分からない奇妙奇天烈な世界にぶち込まれることになる。

公開処刑されそうになっていたキリスト似の男。手足の不自由な男と一緒に町に逃げ込むが、町は軍が制圧し住民の殺戮が行われている。それを楽しげにビデオ撮影するなどして見ている西洋人観光客。そんな中、広場ではカメレオンとヒキガエルのサーカス団が「メキシコ征服」の出し物をやっている。ここでようやくこの地がメキシコであるらしいことが分かってくる。侵略者は十字軍だ。

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この後、拉致された男は等身大キリスト像の型どりに使われ、その後、娼婦達と逃走。町の中心に建つ高い塔(実際に撮影のため建築した模様)を登り、てっぺんから中へ。中にはオープニングで出てきた錬金術師と仲間達が彼を待っていた。
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男は黄金が欲しかっただけだが、この錬金術師が曲者で、魂の作り方を教えよう、不老不死になろうよ、手伝うよ、っと男をマインドコントロール。結果、男は8人の旅の仲間達と「聖なる山」を目指して旅立つことになる。
旅の仲間達は実業家や政治家などの金持ち達で、実社会の裏を支える者達だ。彼らについてもそれぞれ詳しく、また面白おかしく紹介される。が、この頃には、テクノカラーと見たことも無いような映像で観客を驚かせていた場面作りも大人しくなり、不死になるための(訳の分からない)修行に付く男女を微笑ましく見守ることが出来るようにはなっている。

・・・なのだが、この旅の目的が4万年もの昔からこの世を支配していると言われる「ホーリーマウンテンの不死の賢者9人」を抹殺し入れ替わるというもの^^; なので、こちらの心に少々の引っかかりは残ったままだ。
とは言え、旅の仲間どもは賢者になるための修行を積みつつ、とうとう「聖なる山」に到着するのであった ―
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ということで残るはラスト5分ほど。とてもすっきりとした分かりやすい結末だ。
曰く、「個を捨て大義を目指すことで、過去に持っていた物欲や性欲、独占欲などの貧しく汚い感情が無くなり、不死は得られなかったが以前より人間らしくなったではないか。そのまま現実社会に戻れ。」

監督は違う結末も用意していたようだが、私としてはこのレンタル版DVDの結末で本当に救われた気がする。このまま又、前半のような意味不明展開のまま終わられたんじゃ、この監督の他作品は今後一切観ないことになったかもしれない。

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とまぁ、こんな感じの作品ですが、気になられた方はとりあえず鑑賞を。これがエロ・グロ・ナンセンスだ!みたいな作品ではあるけれど、一部を除いてほとんどはそれほど汚くないしイヤらしくもない。
ちなみにカメレオンの次に私の一番のお気に入りは上 icon-arrow-up のカップル。慣れってコワイなー・・・

 

ホーリー・マウンテン HDリマスター版 [DVD] アレハンドロ・ホドロフスキー DVD-BOX