「フジコ」(2015/TVドラマ)

フジコ?峰?って思ってた人もいるはず(-ω-) そんな勘違いをある日、いきなり払拭。探して観てみたらば、どっぷりはまる、という日常・・・。貴重な休みを一気見で費やしたが、それほどに面白く感じた日本のドラマも久しぶり。

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■ フジコ ■
2015年/Huluオリジナルドラマ
監督:村上正典、岩田和行
原作:真梨幸子「殺人鬼フジコの衝動」
脚本:髙橋泉
プロデューサー:戸石紀子、川西琢
 
出演:
尾野真千子(フジコ)
谷村美月(高峰美智子)
丸山智己(若村春)
リリー・フランキー(水谷編集長)
浅田美代子(小坂初代)
真野響子(下田茂子)
高橋努(上原英樹)

解説:
過激すぎて映像化は不可能といわれた真梨幸子のベストセラー小説、「イヤミス」の代表作として名高い「殺人鬼フジコの衝動」を、完全オリジナル連続ドラマとして映像化。
あらすじ:
11歳でクラスメートを殺害し、生涯で10数人もの人間を殺害した稀代の殺人鬼フジコ(尾野真千子)。彼女の壮絶な人生に迫るべく、ジャーナリスト高峰美智子(谷村美月)は、拘置所にいるフジコへインタビューを始める。だが取材のもう一つの狙いは、38年前の未解決事件「中津区一家惨殺事件」の真実を暴きだすことだった ―
(J:COM)
イヤミスとは― 後味が悪い、イヤな気分になる―、そんな不快な読後感から生まれたミステリーの新たなジャンル。今、この「イヤミス」から多くの話題作やベストセラーが誕生している。


連続殺人事件の被疑者として逮捕、死刑判決が下された殺人鬼フジコ。現在上告中で拘置所に収監されている彼女の元に、ジャーナリスト高峰美智子がインタビューに訪れる。この取材のきっかけは、美智子宛てに上原早季子と名乗る女性から、フジコの半生が克明に描かれた私小説とも呼べるべき原稿が届けられたからだった。上原早季子はフジコの実の娘であった。

その分厚い原稿を読み、調査しつつ、フジコにインタビューを行う。フジコの全てを知り、理解するためにはフジコの生の声が必要であるが、フジコは元より社会性の欠如した自分勝手な人間で、美智子は彼女の暴言に振り回されてなかなか取材が進まない。フジコを理解できずとも、何か一点でも彼女の犯した罪に共感できる点はないのかと美智子は奔走する。そしてフジコの現人生の起点ともいえる未解決事件「中津区一家惨殺事件」の究明に行き当たる。フジコはその事件の唯一の生き残りであったのだ ―
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リリー・フランキー出演と殺人鬼インタビューということで以前に観た『凶悪』をイメージしつつ視聴していったのだが、あちらは実話ベースであり、とても2時間では犯罪者どもに共感できるはずも無かった。だが本作のフジコについては最初こそ、そもそものインタビューする側の設定に「そんなのある?」と考えながらみていたものの、徐々に彼女たちの秘密と背景と生き様に引き寄せられ、6話約7時間を一挙に観てしまった。

お話は彼女たち、特にフジコの子ども時代にこんな事があったからこうなった、というような単純なものではなく、フジコの子ども時代からを丹念に描きながら、4世代に渡る女性たちの人生 ― いくつもいくつもある様々な人生の中から何故これを選んだか?というような悲劇的な人生をリアルに見せつける。
そこには、育児放棄、虐待、虐めなどによる被害を受ける子どもたちの実像と、その子どもが受けたストレスを成長とともにどういう風に発散させ生きていったのか、というサンプルや、闇の力を持つ巨大な教団の存在など、あなたの住む街、あなたの隣の家で起きているかもしれない事柄が描かれている。
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フジコの悲劇は虐待するような親の元に産まれてしまったということから始まってはいるが、小学生の時に起きた「一家惨殺事件」で生き残った事による体験を、“リセットできる”と捉えてしまった事にある。
イヤなこと、ジャマなもの、うっとうしいあいつは全て不要なゴミ・・
必要なモノを手に入れた後は全部壊して、殺して、バラバラにして、目の前から無くすことで“リセットできる”という考え。

そんな彼女に半生をしゃべらせるのは容易でなかっただろう。全て消し去り気に入ったものだけに囲まれて、整形をして自分の見てくれさえも造り替え金を稼ぐ。だがそこに辿り着くまでフジコは苦労したのだ。その苦労さえ消し去る生き方。
それは目の前で家族を殺されたことにより引き起こされた解離性障害という病気のせいなのかもしれない。もっと単純にフジコの心はこの時、徹底的に壊れてしまったのかもしれない。
だがジャーナリスト美智子は未解決「中津区一家惨殺事件」の犯人さえも当時小学生のフジコではないのかと疑う。

解離性障害とは 自分が自分であるという感覚が失われている状態、まるでカプセルの中にいるような感覚で現実感がなかったり、ある時期の記憶が全く無かったり、いつの間にか自分の知らない場所にいるなどが日常的に起こり、生活面での様々な支障をきたしている状態をさす。(Wiki:解離性障害)

負のスパイラル
書いてしまうのは簡単だが、この言葉は何年も何十年もの前から続いてきたものが現在に、そして途切れなく未来へと続いていく、永遠の螺旋階段のような悪循環を表している。その形状はDNAにもそっくりなのだ。
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美智子はラストでフジコを形容する言葉を何度も何度も書き直す。
殺人鬼、狂女、整形狂い、少女、鬼畜・・・
だが、どれもぴったりとそぐわない。人は元来一言で言い表せるような単純な生き物ではない。それでもなお、フジコを形容する言葉はどれも合っているようで違っている。
美と金に執着し、「夢見るシャンソン人形」を口ずさみ、最後の殺人は子どもの給食費を奪うためだったフジコ。あなたはどういった形容詞を彼女につけますか ―

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作品中、「夢見るシャンソン人形」の歌詞の違いが出てくるけれど、元歌と日本でのカバーで歌詞が違っているためで、どちらも正解のようです。元歌の訳を見てみると、なんか「NHKみんなのうた」に出てくるコワイ系の歌みたい・(-.-)


フジコ DVD-BOX 殺人鬼フジコの衝動 (徳間文庫)