『パッション・プレイ』(2010) - Passion Play –

いつから「普通」が偉くなった?
 

Passion Play_08

 
■パッション・プレイ - Passion Play -■
2010年/アメリカ/94分
監督:ミッチ・グレイザー
脚本:ミッチ・グレイザー
製作:ミーガン・エリソン他
製作総指揮:タイラー・クォン他
音楽:ディコン・ハインクリフェ
出演
ミッキー・ローク(ネイト・プール)
ミーガン・フォックス(リリー・ルスター)
ビル・マーレイ(ハッピー・シャノン)
ケリー・リンチ(ハリエット)
リス・エヴァンス(サム・アダモ)
ロリー・コクレーン(リッキー)
ロバート・ウィスダム(マルコム)
 
解説:
『レスラー』のミッキー・ローク主演、究極の美女をめぐるハードボイルドムービー。『トランスフォーマー』のミーガン・フォックスとビル・マーレイが共演。『リクルート』の脚本家、ミッチ・グレイザーが監督を務める。
(キネマ旬報社)
あらすじ:
Passion Play_05トランペット奏者ネイトはそれなりに知られた音楽家だったが、薬と酒に溺れ、今ではさびれた場末のクラブで演奏する身。そんな彼の一夜限りの相手がマフィアのボス‘ハッピー’の妻だったことから、砂漠に連れて行かれ殺されそうになる。
通りがかった先住民に助けられ、命からがらたどり着いたのは、砂漠の真ん中に設営されたサーカス団。彼はその中にある見世物小屋で、「鳥女」としてガラスケースに立つリリーを見つける-


 
世渡り下手なトランペット奏者ネイトは、自分の信じる音楽性を追求するあまり、人生の階段を踏み間違え、今では街の片隅にあるさびれたクラブでトランペットを吹いている。
そんなネイトが主役の物語。
ネイトには『レスラー -The Wrestler(2008)』の後のミッキー・ローク。また悲しみを背負う人生の敗者役だが、『レスラー』に比べて、ナイーブで大人しめ。暴力もふるわない。『ロシアン・ルーレット -13(2010)』に比べても、優しげで頼りなげな人物だ。
 
Passion Play_03薬物からはなんとか立ち直り、トランペットでその日暮らしをしているネイトだったが、ある夜のお相手がマフィアのボス‘ハッピー’の妻だったことから、殺し屋に砂漠に拉致され、頭に銃を突きつけられる。もう終わりだと観念したネイトが空を見上げ目にした物は、悠々と飛ぶ鷲の姿だった。
そこへ追いはぎのような先住民の一団が通りがかり、ネイトは危うく命が助かる。砂漠をさまよい、ようやく見つけたものはうら悲しいサーカス団。そして電話を借りようと見世物小屋に入った彼が見たもの。それは、天使のような羽根を持つ美しい女性リリーだった。
ガラスケースの中で悲しそうに佇む彼女に心を奪われ、一緒に逃げようと話しかけるが、リリーはその姿のせいで外の世界を知らず、無理だと言う。その様子を見ていたサーカス団長がリリーを奪われると思い、ネイトを捕まえ殺そうとする。そこに車を突っ込み、助けに入ったのはリリーだった。2人はサーカス団を後にし、ネイトの地元をめざし車を走らせる-。
 
ここで観ている者は思うはず。
何故にマフィアの待つ地元に戻る?そのまま2人で遠くに逃げればいいのに、と。
ガラスケースに入れられて、生まれてずっとサーカス団という狭い世界の中にいたリリー。ネイトは自由なはずなのに、殺し屋の待つ生活していた街に戻る。ネイトの生きる世界もまた、ごく限られている。
 
Passion Play_112人は徐々に心を通わせ、「君は僕が守る」とネイトはリリーに約束する。
幸せな時がずっと続くはずだったが、‘ハッピー’にネイトの命と引き替えに連れて行かれるリリー。結局はリリーに守られたネイトだった。
‘ハッピー’は宝物のようにリリーを大事にするが、このマフィアのボスは気まぐれだ。リリーを見ても幸せな気分でなくなったと、結局はリリーをガラスケースに入れ見世物に。それを知ったネイトは居ても立っても居られず、助けに行くことを決意する-。


 
キネマ旬報社の解説にはハードボイルドムービーとあるが、どちらかというと、刹那的に生きる悲しい男のラブロマンスといった趣だ。リリーの羽根についても解釈は様々に出来て、ファンタジーといった作品でもある。
本作は、日本だけでなくアメリカでも劇場公開されず、そのままDVDになった。
レビューなんかも見ると辛口評価が多くて、DVDスルーとあわせて自分としてはちょっと意外。
今時流行の次々作られるPOVホラーよりも劣っているとは、とても思えないが..。
最後は、ありがちと言えばそうかもしれないが、それまでの閉塞感漂う世界から、ネイトとリリーの笑顔と一緒に一気に解放される様子がすがすがしい。例えるなら『ブレードランナー』最後シーンの、小さい版かなぁ。
 
ではまた