『バンド・オブ・ブラザース』 第3話/カランタン攻略 -Carentan

■バンド・オブ・ブラザース -Band of Brothers-■
 第3話/カランタン攻略 -Carentan

BoB3

 監督:ミカエル・サロモン
 脚本:E・マックス・フライ

Contents

■あらすじ:

BoB3

ノルマンディ降下時にはぐれていた空挺隊員が少しずつ合流する中、E中隊はドイツの部隊が防衛する町を制圧するため、他の中隊と共に要所カランタンに向かう。
ドイツ軍による鉄壁の守りで固められたカランタンでは激しい市街戦が続き、多くの負傷者を出すが制圧に成功する。そして翌日休む間もなく、カランタンの高地に防御陣地を築くため、さらにE中隊は進撃する-


■内容詳細と感想

カランタンの町と続く高地を手に入れる作戦につくE中隊。
銃や爆撃による激しい戦闘が続く回で、使用した火薬類は映画『プライベート・ライアン』を上回ったと言われている。本物の火薬だけでは危険ということで、圧縮空気による爆破方法も用い工夫されている。

◇1944年6月8日 ノルマンディからカランタンへ

BoB3

ウィンターズ中隊長代行のもと、E中隊は他の部隊と一緒にカランタンへ出発。
この時、降下時にはぐれていたブライス二等兵も合流する。
道中には、ノルマンディ降下時に撃墜された輸送機などが散乱している場所もあるが、隊員達は無言だ。
カランタンまでの安全は確保されておらず、緊張が続く。

1944年6月/D-dayから6日 カランタン

bob3

カランタンの町が見えるや否や、ドイツ軍の激しい攻撃が始まった。
高い建物からどんどん狙い撃ちしてくる中、ウィンターズは前線の先頭に立ち、すくむ隊員達を鼓舞し突撃させていく。次々倒れる兵士達。それを踏み越え、統制のとれた動きでどんどん進むE中隊。
退却する部隊もある中、E中隊はカランタンの町を攻略した。

1944年6月/D-dayから7日 カランタン高地へ

bob3

さらに翌日、E中隊は防御陣地を築くため高地の確保を命ぜられる。
高地の手前でドイツ軍と鉢合わせ、またしても激しい戦闘が繰り広げられる。塹壕での膠着状態が続く中、敵はとうとう戦車を繰り出し、あわや全滅かという場面で、味方である第2機甲師団シャーマン戦車が到着。その場を鎮圧した。

■シャーマン戦車(M4中戦車)

M4中戦車とは、第二次世界大戦時にアメリカ合衆国で開発・製造された中戦車である。通称はシャーマン(Sherman)であるが、これはイギリス軍がつけた名称であり、南北戦争の時に北部の将軍だったウィリアム・シャーマンにちなむ。
アメリカ軍では非公式の呼び名であったが、兵士達の間では使われることも多かった。生産に参加した主要企業は11社にも及び、1945年までに全車種で49,234輌が生産された。

Sherman

優れた信頼性と量産性により、第二次世界大戦の連合国戦車の代名詞になった戦車。
アメリカの高い工業力を基盤にして大量生産され、北アフリカ及びヨーロッパでの米軍対ナチス・ドイツの戦いに加えて日本軍を敵とする太平洋戦争にも投入された。 Wikipedia「M4中戦車」


アルバート・ブライス二等兵

bob3

今回の主役アルバート・ブライス二等兵(マーク・ウォーレン)。
ノルマンディ降下のための長い訓練には耐えた彼だったが、戦場に立つ兵士となった時、戦争を知らない普通の若者と戻ってしまった。カランタンの激しい市街戦の中、大きなストレスのため急に視力を失った彼は、まるで怯える子供のようだ。

しかし誰が彼を責めることができようか?
例えば自分が同じ立場だったとすれば、身を隠した溝や塹壕から決して立ち上がることは出来ないだろうと思う。もしくは考えなしに突撃し、一番に撃たれるか..。
そんな彼を救護所で見つけたウィンターズが声をかけてやる。心配するな、と。すると視力が戻ったブライス。戦場では有能な上官や、信頼できる仲間がいかに大切かということがわかる場面だ。

高地での戦闘時に怖じ気づき塹壕から出ることが出来ないブライスに、またウィンターズが声をかける。

bob3

  撃て、ブライス
  兵士なら立って撃て
  憎い敵をやっつけろ
  撃て、ブライス 撃ち続けろ


響き渡る爆撃音ともうもうたる煙の中で、もはや何も見えず、何も聞こえない、というより何も見たくない、何も聞きたくない極度の緊張と恐怖の中でただ一つ聞こえてきたもの。
神の啓示のようなこの声に、ブライス二等兵はやっと兵士として機能し始める。

この一連のシーンは戦場での暴力的シーンでありながら、さまよえるブライス二等兵が神のようなウィンターズの声に促され、兵士として立ち上がり、敵に向かって銃を撃つまでを美しく感動的に描く。
しかし本作の製作者は、この戦いに参加した2人の兵士に敬意を払いながらも、決して是とはしておらず、このシーンには戦争に対する痛烈な批判が込められている。
10話を通した中でも、素晴らしいシーンの一つだ。

この後、志願して敵の有無を偵察しに出たブライスはドイツ軍に狙撃される。
彼はこの時の傷が元で1948年に若くして亡くなった。


前線から退き、休暇をもらったはずのE中隊は、すぐに呼び戻され、休暇を返上しフランスに戻ることになる。
6月29日までにE中隊は65名の隊員を失った。

■各話あらすじとブログ内記事リンク

ノルマンディ上陸作戦概要
1.翼のために -Currahee
1944年6月4日、ノルマンディ上陸作戦決行直前。E中隊のウィンターズ中尉は2年前の夏、ジョージア州トコア基地での訓練の日々を思い返していた。
2.ノルマンディ降下作戦 -Day of Days
1944年6月5日、ノルマンディ上陸作戦決行前夜。激しい対空砲火の中、E中隊はパラシュートでドイツ軍占領下のノルマンディに降り立つ。だが部隊は散り散りになり、目的地に向かうにも困難が立ちはだかる。
3.カランタン攻略 -Carentan
上陸作戦決行日から6日後、E中隊はカランタンの町に入る。ドイツ軍の精鋭部隊が防衛するカランタンでは激しい市街戦が行われる。
4.補充兵 -Replacements
1944年9月、E中隊に新参の補充兵たちが配属され、オランダにパラシュートで降下する「マーケット・ガーデン作戦」が展開される。
5.岐路 -Crossroads
1944 年10月、ウィンターズ中尉は膠着状態となっていたオランダの運河で危険な任務を遂行した後、第2連隊の幕僚に昇進する。休暇をとりパリを訪れたウィンターズだったが-。
6.衛生兵 -Bastogne
1944年12月、ベルギーの町・バストーニュで第101空挺師団がドイツ軍に完全包囲される一方で、E中隊は町の近郊にある森で塹壕を掘って布陣を張った。しかし深い雪と厳寒に苦しめられ、食料や弾薬、冬装備、医療品が不足する-。
7.捕虜を捉えろ -The Breaking Point
1945年1月2日、ベルギーのバストーニュでドイツ軍の度重なる攻撃に耐えたE中隊はついに反撃を開始し、フォイ村の攻略を命じられる。フォイ村までの雪原を進攻し始めたE中隊だったが-。
8.雪原の死闘 -The Patrol
1945年2月、E中隊はドイツ国境に近いアルザス地方の町・ハーゲナウに入った。負傷して前線を離れていたウェブスターが隊に復帰したが、仲間の反応は冷ややか。そんな中、ライン川を渡りドイツ軍の捕虜を捕らえるよう命令を受ける。
9.なぜ戦うのか -Why We Fight
1945年4月、E中隊は国境を越えてついにドイツ領内に侵攻した。ドイツ軍の抵抗はほとんどなく、さらにルーズベルト大統領死去の報せが連隊に届く。そんな中、パトロール中の兵士が強制収容所を発見する。
10.戦いの後で -Points
1945年7月、E中隊はドイツのバイエルン地方にあるヒトラーの山荘「イーグルズ・ネスト」を占拠することに成功。ウィンターズはドイツ軍が降伏したことを知らされる。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

Contents