『華麗なる晩餐』(2008) - Next Floor –

その晩餐どこまで続くの

 
Next Floor_2008
 
■華麗なる晩餐 -Next Floor-■
2008年/カナダ/12分
監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
脚本:ジャック・ダヴィッツ
出演:
デニス・セント・ジョン(ゲストのひとり)
エマニュエル・シュワルツ(ウェイターのひとり)
 
解説:
一見豪華絢爛な晩餐会で次々と異常事態が……。「灼熱の魂」のD・ヴィルヌーヴ監督が同作品に先がけ、第61回カンヌ国際映画祭でカナルプリュス賞を受賞した衝撃の短編。
(WOWOW)
 
あらすじ:
Next Floor_02上流階級の豪華絢爛な晩餐会。美食家のホストとゲスト達がその食事に舌鼓を打っていた。もくもくと料理を運ぶウェイター達。談笑もせず、次々と平らげていく人々。
そこに地鳴りと共に異常事態が発生する!-

 


↓ネタバレしてます

 
 
12分の短編。
早く回るオープニングロールの後、給仕長のアップで始まる。
Next Floor_0112分しかないのに大丈夫?というほど給仕長の表情をアップで捉えている。
その表情がなんとも意地悪だ。見ているものを完全に小馬鹿にしており、蔑んでいる。軽蔑の眼差しだ。
で、その視線の先はというと、雇い主で自称美食家の上流階級の人々だ。
観ているこちらもその人々に目をやると、、

Next Floor_03がっついている。。
上品さのかけらも無い。ガチャガチャとフォークを鳴らし、肉ばっかり次から次へと口へ運びほおばる。まるで豚だ。
ウェイターが続々と運ぶ料理も間に合わないほどだ。
豚、鶏、小さな鶏?、中身が脳みそのような貝?、臓物だらけのソースかけ?アルマジロ?鹿の丸焼きにサイの丸焼き?
普通であればとても食べられそうも無いものが混じっている。が、当の本人達は気にもしない。そして料理は、次々と運ばれてくる。

すると足下でおかしな揺れが始まった。最初はカタカタと鳴っていたが、突如地響きとなり、轟音と共に
Next Floor_04テーブルと美食家達を乗せ床が抜けた!
と、階下の床に着地。すかさず給仕長が指示を出す。
Next Floor
あわてて階下へ移動するウェイター達と楽団。ゲスト達がかぶった埃を払い、床を掃き、そして給仕する。
上流階級達は何事も無かったかのようにまた食べ始める-

 
Next Floor_10この作品は上の3番目、床が抜け、ウェイター達が階段を降り、また給仕を続けるという一連のシーンが12分の内10分くらい続く。それでも食べ続ける人々は異常で、ウェイター達も戸惑いを隠せない。
BGMとしてずっと低い太鼓のような音が鳴り、階段を降りるウェイター達は狩猟時の鬨の声のようなものを出している。一見贅沢な料理を出され、食べているのはホストとゲスト達だが、このBGMと鬨の声のせいで段々と、太らされ狩られて食べられようとしているのはこの人たちではないのかと錯覚してくる。
それを冷静に、薄ら笑いを隠しながら眺めている給仕長。
これは日頃のうっぷんを晴らしたい給仕長の白日夢なのか。

この短編の結末は、
一階、一階、落ちていたテーブルと人々が、ずーっと下の階まで一気に落ちていってしまう、というもの。着地した様子も聞こえない。驚いて大きく開いた穴を上から見下ろすウェイター達。そして給仕長の訳知り顔のアップで締めくくられる。
 
なんとも奇妙なお話だが、テンポ良く進んで(落ちて)いくので、まるで何かのCMのようだ。
贅沢な料理は丁寧に作られグロテスク。落ちては着地するシーンも見事で目を見張る。
台詞は給仕長の「Next Floor」のみ。しかし全ての登場人物は表情で語りかけ、考えていることが手に取るようだ。
..が、給仕長の考えていることだけがわからない。
解釈は観る人まかせ、全てが観客にゆだねられている。
 


 
自分の頭に浮かんだ言葉は 「狩猟民族の呪い
いくらなんでも食べ過ぎじゃ、というほど骨付き油付の肉を手で掴んで、がつがつ食べ続ける人々。
あれだけの量が胃に収まったとすれば、その分だけテーブルまわりが異常に重くなり、で床が抜けたのか?それも床が抜ける前、階下からその部分を見上げると油染みがじわぁーっと染み出していて、なんとも不潔。これはきっと必要以上に狩られ食べられ、捨てられて死んでいった動物たちの呪いに違いない。
 
 
ではまた
 

この作品はWOWOW「カンヌ国際映画祭2012」特集として2012年に放送された中の一作品です。
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