『エスケイプ・フロム・トゥモロー』(2013) - Escape from Tomorrow –

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有名テーマパークの「舞台裏」みたいなお話かと思いきや!ごく平凡な父親が失業したことから陥っていく「暗黒の世界」の舞台裏なお話でした。ぃゃー、これ、、、観る人によっては身につまされて胸が苦しくなるのではないだろうか・・・?

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■ エスケイプ・フロム・トゥモロー - Escape from Tomorrow – ■
2013年/アメリカ/90分
監督・脚本:ランディ・ムーア
製作:スジン・チャン
撮影:ルーカス・リー・グラハム
音楽:アベル・コジェニオウスキ
 
出演:
ロイ・アブラムソン(ジム)
エレナ・シューバー(エミリー)
ジャック・ダルトン(エリオット)
ケイトリン・ロドリゲス(サラ)
ダニエル・サファディ(ソフィー)
アネット・マヘンドリュ(イザベル)
スタッス・クラッセン
エイミー・ルーカス

解説:
ディズニー・ワールドで無許可撮影を敢行したことでも話題となった新人監督ランディ・ムーアによる低予算ファンタジー・ホラー。失業した父親が、それを隠したまま家族と過ごす夢の国のテーマパークで不気味な幻想に苛まれていくさまを全編モノクロ映像で描き出す。
(allcinema)
 
あらすじ:
家族と一緒にテーマパークで休暇を過ごしていた日の朝、勤務先から電話でクビを言い渡されたジム。妻に打ち明ける事も出来ないまま子供たちと夢の世界を堪能しようとした彼だったが、あまりのストレスのためなのか、夢の世界が暗黒の世界へと変貌していく様を目の当たりにして、さらにストレスを抱えることになる ―


 
Escape_from_Tomorrow_29-2作品冒頭、パークのオフィシャルホテル。清々しい朝一に受けた電話が勤め先からの「クビきり電話」・・・。
その上、電話のために出ていたバルコニーの窓の鍵を中から長男エリオットが(分かっていながら)締めて、ママを独り占めに。愛する元恋人、今は愛する妻。息子にとっては世界で一人の“ママ”。日頃からママを巡る父子の攻防が見て取れるオープニング。
 
Escape_from_Tomorrow_28けれども、リストラも加えて今のアメリカじゃごく普通の(中年に向かいつつある)親父ジム。少し出てきたお腹をぶかぶか系の服で隠して、気持ち的にはまだ20代の若さをも併せ持つ。妻との恋人気分が抜けきらないうちに出来た子供は2人。妻が自然に母親に変貌していくのとは反対に、ジムには“家族”という責任が日に日に重くのしかかってくる、という現実。
それでもジムは持ち前の脳天気さで冗談交じりに毎日を過ごしていた。この日のリストラ通告も半ば忘れて、最後の休暇を楽しもうとしたパパ。でもその笑顔と軽口の裏には、とんでもないモノが入り込み成長していくことになる。
 
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そのとんでもないモノとは ―
失業のストレスによってジムの中から出てきた基本的人格とでも言いましょうか、いつもは理性で押さえ込んでいる人の欲望やら欺瞞やら疑念やら、、。まぁ、これが出てくる、出てくる。
 
Escape_from_Tomorrow_30まずはいったん目の前のモノ、夢の国の全てが“敵”に。
可愛い人形館の人形も、プーさんもティガーも全部“敵”。日頃から妻を巡って水面下でバトルを繰り広げていた相手“息子のエリオット”は敵どころか“悪魔”にさえ見えてくる。追い討ちをかけるように妻が囁く。「エリオットはあんたの子供じゃないわよ、フハハハッハハ・・・」

 
Escape_from_Tomorrow_18-2そんな中、目が釘付けになるのはフランス人の女の子2人組。もう人目も憚らずに目が、足が彼女らを追っていく。娘の手を離してしまったのも、車椅子の男性の息子にぶつかって娘が怪我をしたのも、全て相手の、誰かのせい。この世の中、恐ろしい誘拐犯が溢れているというのに、娘の手を離すなんて、、唯一自分の見方である可愛い娘の手を・・・
障害のある人への優しさも、娘への愛もそこそこに、フランス人女子を追い続けるジム。そんな状態でありながらも、行き来する女性の胸の谷間には目が吸い寄せられ、欲望の波に襲いかかられるジム。
 
でもこれは自分じゃない。本当の自分じゃない。全ては陰謀なんだ。ボクを陥れようとする誰かの陰謀が、このテーマパークに渦巻いている。なのに自分を助けようとしてくれた博士ロボットを殺してしまったジム。もう助からない。広島に原爆は落とされた。この陰謀から逃れることは出来ない。だってあの看護師が言っていたではないか。
「猫インフルエンザの感染に気をつけて」
 
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ジムのような世のお父さんは決して少なくない。
だって、ほら、、テーマパークから去るジムの後ろで、また同じような家族がやって来た。幸せそうなパパと一緒に。