『サイレント・ハウス』(2011) - Silent House –

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主人公サラが正体の分からない何者かから隠れて、逃げて、の緊張感で息も出来ないハラハラしたシーンが全編を覆うが、思ったよりも飽きずに一緒に逃げているつもりで最後まで観られる。リアルタイム進行型なんだ、なるほど。正体不明の何者かの“正体”はラストに分かる。これは結構新しい“ブツ”ではないだろうか?

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■ サイレント・ハウス - Silent House – ■
2011年/アメリカ/86分
監督:クリス・ケンティス、ローラ・ラウ
脚本:ローラ・ラウ
製作:アニエス・メントレ 他
製作総指揮:ミッキー・リデル 他
撮影:イゴール・マルティノヴィッチ
音楽:ネイサン・ラーソン

 
出演:
エリザベス・オルセン(サラ)
アダム・トレーズ(サラの父)
エリック・シェファー・スティーヴンズ(叔父ピーター)
ジュリア・テイラー・ロス(ソフィア)
ヘイリー・マーフィ(少女)

解説:
ウルグアイ製の秀作シチュエーションホラー「SHOT/ショット」を「オープン・ウォーター」のC・ケンティスとL・ラウの夫婦監督がリメイク。手持ちカメラによるワンカット撮影、本編時間と劇中時間が重なるリアルタイム進行という特徴はそのままにディテールを磨き上げた。オルセン姉妹を姉に持ち、自身も「マーサ、あるいはマーシー・メイ」など活躍著しいエリザベス・オルセンが《何か》におびえるヒロインを熱演する。
(WOWOW)
 
あらすじ:
修理して売却するため、荒れ果てた湖畔の別荘を訪れたサラと父親、叔父の3人。窓は全て割られ、他人が勝手に入り込んでいたその建物を3人は調べ始めたが、ある部屋で父親が暴漢に襲われ負傷する。まだ何者かが潜んでいるのかと怯えたサラは、叔父と共に父親を助け逃げようとするが、叔父までもが何者かに襲われて ―


SHOT/ショット』をレンタルリストに入れたまま、リメイクとは知らずにこっちを先に観ちまった(-_-)
お化け廃屋屋敷ものかと思ってたんだけど、違いますよ(いっつもコレ)。始まりはそんな感じなんだけど、時々現れる何者かがリアルな存在で、この建物に忍び込んでる不届き者なのか?とも思える展開だけど、ソレも違う。じゃあ、ナンなのか?というお話です。
 
 
Silent_House_20主人公達が訪れたのは、しばらくほったらかしにしていた以前の家。売却することになったから、修理のための調査に来たのだった。
メンバーは父親ション、叔父ピーター、娘のサラの3人。長い間ほっておいたものだから、見知らぬ他人が勝手に入り込んでいて警察の力を借りて追いだしたものの、中は荒れ放題、窓は全部割れている有様だった。
 
これが結構大きな家で、ライトを持ちつつ3人で家の中を見て回るんだけど、うんざりするほどヒドい状態。その内、父親と叔父さんが兄弟喧嘩を始めて叔父さんが怒って出て行っちゃうし。それでもプッと笑いながら、見て回るサラ。けれども窓という窓をイタで打ち付けたために中は暗いから、この状態でも薄気味悪いし、もしかしたらまだ誰かがどこかに潜んでいるんじゃないかとビクビク。
観ているこちら側は、いつ何が出てくるのかを楽しみにワクワクと待っている状態ですね。
 
で、少しずつ始まりまする。
最初は、子供の時によく遊んだんだよって来たソフィア。でもサラは子供の頃の記憶がごっそり抜けていて覚えてなかった。彼女はすぐに帰ったけれど、また玄関のノックが聞こえたような。でも誰もいない。続いて2階に足音がする。父親と2階を調べるが誰もいない。別々の部屋でゴミをまとめていると、何かが倒れるような大きな音がする。パパに呼びかけるが応答が無い。だがサラはとうとう目撃する。見知らぬ男が歩き回るのを・・・。その男に殴られたらしい、血を流し気絶している父親を・・・!
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【で、ここからは例によってネタバレが】
 
 
 
 
 
Silent_House_12打ち付けた窓や鍵だらけで脱出出来ない家、中からかける玄関の鍵、散らばるポラロイド写真、歩き回る2人の男と少女、謎の知り合いソフィア。一見、どれもが現実に見えるが実はそうじゃない。
サラは子供の頃、虐待を受けたためにもう1人の自分を作り、虐待の記憶をその子に封じ込めた。だからサラ自身には記憶が残っていない。その記憶が歩き回っている場所がこの古い家だったのだ。
 
ポラロイド写真には、その全てが写されている。当然、この趣味の悪いことをしたのは父親と叔父だ。歩き回っているのは父親とそばで見ていた叔父ピーター。少女はサラ自身だ。これらが分かって改めて見てみると、ベッドに血の染みが広がり、バスタブに浸かった少女が血にまみれ、壁のトイレから血が噴き出す様子は、とても見ていられなかった。少女サラは酷い虐待を受け、血に染まったのだろう。開かないドアの中で。
サラが生み出したソフィアはこれら全てを記憶している。いつか復讐する時をじっと待っていたのだ。
だが写真やガラスに映るサラの実態はソフィアに見える。サラが生み出したのがソフィアなのか、ソフィアが生み出したのがサラなのか ―
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サラは記憶の亡霊と現実を同時に見た。現実のサラは怯えたが復讐したのもサラ自身。それらが終わった時、ようやく全ては一つになり、彼女は放心状態で家を出る。辺りは既に暗いが、彼女は未来に歩いて行った。


 
サラ役のエリザベス・オルセンの怯え、泣き叫ぶ様子がずっと続くが、微妙に表現を変えてくるために飽きずに最後まで観られる(息が詰まりそうになるけれど)。ラストまで観て「サイレント・ハウス」の意味を知ると、二重、三重にゾッと出来ます。