『スリー・モンキーズ/Three Monkeys ~愚かなる連鎖~』(2008) - Üç maymun –

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慎ましくも勤勉であったはずのある一家が、少しずつ人の道から外れていく様子を描いた静かな作品。そこに横たわるものは金と快楽である点が人類普遍の問題であり、宿命であると言える。今の時代、「見ざる、聞かざる、言わざる」に徹する事が出来た者だけが生き残る権利を得られるのかも ―

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■ スリー・モンキーズ/Three Monkeys ~愚かなる連鎖~ - Üç maymun – ■
2008年/トルコ・フランス・イタリア/109分
監督:ヌリ・ビルゲ・ジェイラン
脚本:ヌリ・ビルゲ・ジェイラン 他
 
出演:
ヤヴーズ・ビンゴル
ハティジェ・アスラン
アルジャン・ケサル

解説:
2014年のカンヌ映画祭で、ついにパルム・ドール獲得! (『ウインター・スリープ』) 2度のグランプリ(『冬の街』『昔々、アナトリアで』)、本作での監督賞受賞と、今や21世紀の映画界を代表する名匠ジェイラン監督の第5作。トルコ初のアカデミー賞外国語映画賞出品となった記念すべき傑作。

 
あらすじ:
街の有力者セルヴェットは車で人をはねて死なせてしまうが、選挙に出馬中という理由から大金と引き替えに運転手のエユップを身代わりに立てる。エユップの服役中、妻のハジェルは金の前払いを頼みにセルヴェットの元を訪れ、彼に誘惑されて関係をもってしまう ―

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ある夜、小さな港町の政治家が居眠り運転で事故を起こし、人を死なせてしまう。その場はうまく逃げおおせたものの、今は大事な選挙中。警察に捕まることを恐れた彼は、いつもその車を運転している自分の運転手に金を与えて罪を肩代わりしてもらうことを思いつく。
その運転手エユップは家族の了解を得た上で、出頭、収監される。
物語はここから始まるが、既にこの段階で登場人物達の運命は決まっていたのかもしれない。
 
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冒頭、車を運転する政治家セルヴェットは、真っ暗な闇の中、森の道を走っていく。テールランプがどんどん遠ざかり、闇に飲まれたようにカメラから見えなくなってしまった彼の車。爆発でも起こるのかととても不安にさせる。そしてこれはラストに結びつき、この不安は的中するのだ。
 
このセルヴェットにうまく言いくるめられて罪を肩代わりしたエユップ。けれど単に弱い立場でいいようにされたのでは無い。報酬と引き替えに、得るものと失うものを計算した上で受けたのだ。それは妻のハジェルにしても同じだった。彼らには大学受験に失敗した息子が一人いる。今は浪人中だが息子はどうしても大学に入れたい。その方がその後の彼の人生にプラスになると考えているから。
だが彼ら夫婦はこの時、道を誤った。犯罪者の片棒を担ぐという事は自らも犯罪者になるという事であり、その後に続く人生にも大きく影響を与える。
 
Three_Monkeys_13真面目な妻ハジェルは、家族のために工場で働き忙しい毎日を送る。
小ずるい政治家の話を受けたのは決して贅沢な暮らしをしたいからでは無かった。だが、その理由の一つである息子がアルバイトをするために車が必要だと言い出した。車を買うためにセルヴェットに報酬のうちから前借りしようと。
美しいハジェルはセルヴェットの事務所を訪ねた。その帰り、何度も断りはしたものの乗り込んでしまったセルヴェットの車。甘い言葉を次々に繰り出され、真面目な彼女がそれを受け入れた時、彼女は大きな穴に嵌まってしまう。
 
刑期を終え出所してきたエユップは妻に起きた何かを感じ取るが、妻の携帯電話に出たことで、それが何かを知ってしまう。そして最終的に最悪な決断をしてしまった。
 
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両親の動きや秘密を逐次、見て知っていた息子。彼は母の秘密を父親に漏らさなかった。が、彼にも大きな秘密があった。それは時々、幻になって彼の目の前に現れる。その幻の瞳はとても悲しそうでもあるが、とても恨めしそうにも見える。そこで手を差し伸べた彼の動きは止まるのだ。すると幻は消えてしまう。
彼はこの秘密をきっと誰にも漏らさないだろう。きっと死ぬまで
 

監督ヌリ・ビルゲ・ジェイラン
Nuri_Bilge_Ceylanトルコの映画監督・脚本家。
1995年に初作品となる短編『Koza』を製作。第48回カンヌ国際映画祭の短編部門で上映された。その2年後の1997年に『カサバ – 町』で長編デビュー。翌1998年の第11回東京国際映画祭のコンペティション部門に出品され、東京シルバー賞を受賞した。フォーラム部門に出品された第48回ベルリン国際映画祭ではカリガリ映画賞を受賞している。1999年の『5月の雲』は翌2000年の第50回ベルリン国際映画祭のコンペティション部門に出品された。
 
2002年の『冬の街』と2011年の『昔々、アナトリアで』でカンヌ国際映画祭グランプリを、2008年の『スリー・モンキーズ』でカンヌ国際映画祭監督賞を受賞。2014年には5度目の出品となった第67回カンヌ国際映画祭で『Kis Uykusu』がパルム・ドールを受賞した。
■主な作品
・カサバ – 町 Kasaba (1997年)
・5月の雲 Mayıs Sıkıntısı (1999年)
・冬の街 Uzak (2002年)
・うつろいの季節 İklimler (2006年)
・スリー・モンキーズ Üç Maymun (2008年)
・昔々、アナトリアで  Bir Zamanlar Anadolu’da (2011年)
・ Kis Uykusu (2014年)
(Wiki:ヌリ・ビルゲ・ジェイラン)