『渇き。』(2014)

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これ、正真正銘の日本映画なんですねー、ビックリです。
タランティーノと『シン・シティ』、『オールド・ボーイ(2003)』をミックスして、今時の日本の高校生と和製アニメを足して割ったような作品。よくこの雑多で個性豊か、迫力ある登場人物達をまとめたものだと感心した。結構、グロありのバイオレンス作品だから、そういうのが苦手な人はちとキツいかも。

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■ 渇き。 ■
2014年/日本/118分
監督:中島哲也
アニメーション監督:大平晋也
脚本:中島哲也 他
原作:深町秋生「果てしなき渇き」
製作:依田 巽 他
撮影:阿藤正一
音楽:GRAND FUNK ink.
 
出演:
役所広司(藤島昭和)
小松菜奈(加奈子)
妻夫木聡(浅井)
清水尋也(ボク)
二階堂ふみ(遠藤那美)
橋本 愛(森下)
森川 葵(長野)
高杉真宙(松永)
國村 隼(辻村医師)
黒沢あすか(桐子)
青木崇高(咲山)
オダギリジョー(愛川)
中谷美紀(東里恵)

解説:
「嫌われ松子の一生」「告白」の中島哲也監督が、深町秋生の第3回このミステリーがすごい!大賞受賞作『果てしなき渇き』を映画化した戦慄のバイオレンス・エンタテインメント。失踪した娘の行方を追う元刑事のロクデナシ親父が、次第に明らかとなる娘の裏の顔と闇の交友関係に翻弄され、狂気と怒りで大暴走していくさまを、スタイリッシュかつ過激な映像表現満載に描く。出演は父親役に役所広司、その娘役にモデル出身で本作が本格スクリーン・デビューとなる小松菜奈。

 
あらすじ:
妻・桐子の不倫相手に対して傷害沙汰を起こし警察を追われ、妻とも別れて自暴自棄になった男、藤島昭和。ある日、桐子から娘の加奈子が失踪したとの連絡が入る。成績優秀で容姿端麗な学園のカリスマだった高校3年生の加奈子。そんな彼女が、何日も帰っていないというのだ。自ら捜索に乗り出した藤島は、娘の交友関係を辿っていくうちに、優等生だとばかり思っていた加奈子の意外な一面が次々と暴かれていき、自分が娘のことを何一つ知らなかったことに愕然とする。おまけに行く先々で常軌を逸した狂った奴らに遭遇し、自身の暴走にも歯止めが掛からなくなっていく藤島だったが ―

(allcinema)


いえ、実は「父親と娘の話」くらいしか知らなくて、娘が実は吸血鬼(おそらく韓国映画『渇き』と間違えてる)だった!とかのオチなのかと思ってたんですよ。で、冒頭の殺戮シーンと車の中で「っくそっ!ふざけんなっ!」とか悪態付き続けている男を見て、これは只者ではないと感じた、その時からラストまで頭はフル回転、目は釘付けに。
 
渇き_17美少女映画とかいうよりも、ブチ切れ親父がどんどん汚くドロドロと無様になっていく様子がより記憶に残る。その上すごくパワーがある。登場人物は皆、足りない何かを探し求めるあまり人を傷つける、揃いも揃って人でなし。それらの中心にいるこの少女が、ある意味一番まともに見えるほど。何かを渇望するドロドロの渦巻きの中で一番乾いていてクールなのは彼女一人だ。
 
話は連絡が取れなくなったこの女子高生、加奈子を探す元警官の父親、藤島(現在)と、これより3年前に加奈子と友好のあった「ボク」の毎日(過去)が平行して進められる。
 
 
渇き_22この父親、藤島がパワー炸裂のキ○ガイ男で、彼が行くとこ行くとこ、殴る蹴るの暴力で血の雨が降る。もちろん、やられる事も多くて決してカッコいいタイプの元警官では無い。
妻の浮気現場に車で突っ込み、警察はクビ、妻子に捨てられ自暴自棄の自堕落な日々を送っている中年男。捨てるものも怖いものも無いから言動そのものが自暴自棄でやけっぱち。加奈子を探し、真相に近付くほどに、それは右肩上がりに。
この父親は何故、娘を探すのか?
普通なら愛する娘を心配するあまり、というのが理由だろうが、この理由こそがこの作品の一番のポイントになっている。だから普通の親の感情とは違うんですよ。これをどうとらえるかは、観た人それぞれ。この父親のラストの台詞は、「っくそっ!俺を舐めやがって。俺の頭をかき乱すヤツは許せないんだよっ。お前の存在が許せないッ!」って聞こえた。
 
渇き_25この男子が虐められっ子の“ボク”。
虐められている時には自分をアニメ化して現実逃避。そんな彼のただ一つの慰めは、ボクの目は彼女を見るためだけに、ボクの手は彼女に触れるだめだけに存在すると言わしめた「加奈子」。
その加奈子が優しく接してくれて、ボクの現実に降りてくる。そのうち、ボクは加奈子の現実世界に舞い込んでエライ目に遭ってしまうんですね。
 
父親、藤島とボクは全く違うタイプの人間に見えるけど、実は根底部分が一緒。
それはいつも「Give Me、Give Me」で欲しがってばかり。なのに他者には何も与えない。自己表現やコミュニケーションが下手とも取れるが、家族は彼らを理解しようと努力していた。大事なものはすぐ足下にあったのに夢の世界で生きている。
 
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自分の欲しい物と代わりに与えられる物をきちんと把握できていた加奈子。だから彼女の最後も自分で予測できる範疇だったのかもしれない。奪った物が大きければ、奪われる物も大きいと。
 
ぐるぐる回る罪と贖罪は加奈子のところでぷっつり途切れる。
今後、一番苦しむのは女教師なのでは?