『アリス・クリードの失踪』(2009) - The Disappearance of Alice Creed –

ここには3人と、1発の銃弾、そして“嘘”が散らばっている。

Alice Creed_2009
■アリス・クリードの失踪 -The Disappearance of Alice Creed-■
2009年/イギリス/101分
監督:J・ブレイクソン
脚本:J・ブレイクソン
製作:エイドリアン・スタージェス
製作総指揮:スティーヴ・クリスチャン他
音楽:マーク・キャナム
撮影:フィリップ・ブローバック
出演:ジェマ・アータートン(アリス・クリード)
マーティン・コムストン(ダニー)
エディ・マーサン(ヴィック)

解説:
イギリスの新鋭J・ブレイクソンが自らの脚本で長編監督デビューを飾り、高い評価を受けた緊迫のクライム・サスペンス。誘拐された富豪の娘と誘拐犯の男2人というわずか3人だけの登場人物が繰り広げる二転三転の物語の行方を、緻密な脚本と緊張感みなぎる演出でスリリングに描き出していく。出演は「007/慰めの報酬」のジェマ・アータートン、「SWEET SIXTEEN」のマーティン・コムストン、「シャーロック・ホームズ」のエディ・マーサン。
 (allcinema)

あらすじ:
刑務所で一緒だったヴィックとダニー。手っ取り早く稼ぐため、2人は誘拐を計画する。大富豪の一人娘アリス・クリードに目を付け、決行。白昼堂々、自宅を出たところのアリスをまんまと誘拐。車に押し込め、用意しておいたアパートの1室に監禁する。冷静な2人だったか、若いダニーは次第に不安を隠せなくなる-


登場人物は3人。誘拐犯の男2人と誘拐されたアリス・クリード。
舞台のほとんどは監禁に使われたアパートの1室のみ。
男2人が無言で着々と誘拐の下準備をする様は、まるで生のないロボットの動きのようで、プロの仕事を思わせ、恐ろしい。そこに泣き叫ぶアリスが囚われてくる。両手、両足をベッドに縛り付けられ、頭には頭巾。服を切り裂かれ、写真を撮られる。冷静沈着な犯人はそれを心配する親に送りつけ、身代金誘拐が成立した。もう後戻りは出来ない。

年長の男ヴィックが時間をかけ、練りに練った誘拐犯罪。
だが、ここからピンと張り詰めた空気が徐々に緩んでくる。
泣き叫び、感情を露わにしていたのはアリスだけだったのが、次第に若いダニーが不安を隠せなくなってくる。
ヴィックは「大きなヤマだが、必ずうまくいく」と声をかけるが、ダニーの不安は果たしてそれだけなのか・・?

監督 J・ブレイクソン
脚本も勤めており、本作が監督デビュー作である。
他の作品として『ディセント2(2009)』の脚本も担当している。

信頼のおける仲間であったはずの人間が、突如敵に回る。そういった緊迫感のある人間関係を描くのがうまい。

ジェマ・アータートン(アリス・クリード)
Alice Creed_03出かけようと自宅を出たところで突然誘拐される。
誘拐された者の恐怖を演じたジェマ・アータートン。彼女の涙と汗が飛び散るような演技に、突如、見知らぬ男達に自由を奪われ、死と向き合うことになった恐怖が迫ってくる。
2007年、演劇学校在学中にテレビ映画『Capturing Mary』でデビュー。同年公開の『聖トリニアンズ女学院(2007)』に出演し映画デビューを果たした。その後、『007 慰めの報酬(2008)』ではボンドガールを、『プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂(2010)』ではヒロイン、『タイタンの戦い(2010)』ではイーオを演じている。

 
マーティン・コムストン(ダニー)
Alice Creed_02仲間ヴィックとアリスにはさまれて苦悩するが、いったいそのどちらの側に付くのか。観ているものには判断できず先が読めない。
優しいのか、ずるいのか、誠実なのか、嘘つきなのか。マーティン・コムストンは、この微妙な役どころを見事に演じている。
主な出演作に『SWEET SIXTEEN(2002)』があり、主演をつとめている。

 
エディ・マーサン(ヴィック)
Alice Creed_01綿密な計画を獄中でたて、出所後すぐにダニーと決行する。その計画、動きには無駄が無く、この身代金誘拐は完璧なはずだった。
一見、むさ苦しい親父のようだが、プロに徹した動きと、その合間に見せる人間らしさに、徐々に魅力的に見えてくるから不思議だ。イギリスの俳優でハリウッド作品の出演作も多い。

・『21グラム(2004)』
・『M:i:III(2006)』
・『マイアミ・バイス(2006)』
・『ハンコック(2008)』
・『シャーロック・ホームズ(2010)』
・『シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム(2012)』
・『戦火の馬(2012)』


普通の誘拐劇ならば、ヒロインが逃げ出し、犯人は射殺というところだが、この作品は違う。
感情の入りこむ余地のない完璧な犯罪だったはずが、3人の嘘と疑心暗鬼が交錯し、次第にエゴが剥き出しになっていく。3人の関係はとても複雑で、その結末は-、観てのお楽しみです。

ではまた