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表の顔(ヘッドハンター)でも、裏の顔(美術品泥棒)でもきちんとしたマイルールを作り成功している男が、今まで触れることの無かった銃と妻の浮気疑惑の世界に翻弄されるサスペンス・ミステリー・ちょっとコメディ作品。鼻持ちならないイヤな感じの主人公がどんどん追い詰められて愛すべき主人公へと変貌していく様が楽しい。

■ ヘッドハンター - Hodejegerne – ■

Hodejegerne

2011年/ノルウェー・ドイツ/100分
監督:モルテン・ティルドゥム
脚本::ウルフ・リューベリ 他
原作:ジョー・ネスボ「ヘッドハンターズ」
製作:マリアンヌ・グレイ
製作総指揮:アンニ・ファウルビー・フェルナンデス 他
撮影:ヨン・アンドレアス・アナスン
音楽:トロンド・ビャルクネス 他

出演:
アクセル・へニー(ロジャー)
ニコライ・コスター=ワルドー(クラス)
シヌーヴ・マコディ・ルンド(ダイアナ)
アイヴィン・サンデル(オヴェ)
ユーリー・ウルゴード(ロッテ)

解説:
ノルウェーの人気ミステリー作家J・ネスボのベストセラー小説をもとに、実は裏稼業で美術泥棒を営むビジネスエリートが、とんだ危難に陥って慌てふためくさまを、スリルとユーモア満点に活写。その予測不能の展開と、スタイリッシュで小気味の良いアクションが一躍評判を呼んで、ノルウェー映画史上最大の興収記録を樹立。世界の50カ国以上で公開され、ハリウッド・リメイクされることも決まるなど、大きな話題と注目を集めた。二つの顔を持つ主人公を愉快に好演するのは、「ナチスが最も恐れた男」のA・ヘニー。
(WOWOW)

あらすじ:
業界トップクラスで有能なヘッドハンター、ロジャー。だが彼はその表向きの顔と同時に、豪華な家や車、美しい妻との贅沢な暮らしのための美術品泥棒という裏の顔を持っていた。ある夜、妻の画廊オープンパーティーで知り合った元軍人の男クラスが有名な絵画を自宅に持っていると知り、早速盗みに入るロジャー。しかし彼はそこでクラスと妻の不倫の証拠を見つけてしまう。と同時に命を狙われ始め ―

英題:Headhunters


Hodejegerne

人よりちょっと背は低いけど、ヘッドハンターとしての腕前はピカ一だし、綺麗な妻ダイアナもいる。豪華な家にお高い車。これらを維持するには裏稼業にも精を出さなくては。
ロジャー・ブラウンはヘッドハントの仕事を通して、高価な美術品を持っている紳士の情報を得る。仕事ぶりはどうなのか、どんな家に住んでいるのか、何が趣味なのか、どんな物を蒐集しているのか、家族はいるのか、メイドはいるのか、犬はいるのか。

Hodejegerne

ロジャーの相棒はセキュリティ会社に勤めるオヴェ。彼が忍び込むと決めた紳士の住所を調べてもらい、忍び込む際にはセキュリティを切ってもらう。現金化したブツは関係者各位で山分けとなる。それでも足りない贅沢な暮らしのロジャーは、画廊をオープンした妻の知り合いに目を付けた。小さなGPS機器を開発、成功した外国人実業家のクラス・グリーヴ。彼は在籍していた企業を退職し、こちらに居を構えようとしていたのだった。ナチスが奪って行方不明となっているルーヴェンスの絵画を持って。

Hodejegerne

ヘッドハントを口実にクラスに近付いたロジャー。クラスも乗り気で、いつものように仕事に関する事や暮らしぶりを尋ねた彼は、まんまとクラスの家に侵入、絵画を手に入れた。だが、彼のベッドルームで妻のスマホを発見してしまう。脳裏にはやけに親しげな2人の様子が渦を巻き、半ば呆然となるロジャーには、いつもの自信に満ちた様子は消え失せていた。

しかし彼の災難はこれに止まらず、クラスのヘッドハンドをわざと失敗させたロジャーはクラスに命を狙われる羽目に。クラスは元軍人で生え抜きのエリートであり、追跡のプロだったのだ ―


ロジャーを筆頭に、エリート意識たっぷりで鼻持ちならない人間のオンパレードな、スタイリッシュでかっこ付けたサスペンス劇かと思いきや、後半は汗だくだくで逃げまくる悲壮な展開に。今思えば、ロジャーの相棒オヴェがとぼけたスケベ親父っていう点からして、ロジャーの実態がスタイリッシュなエリートとはちょっと違うことが分かる。
彼が大金を必要としたのは妻をつなぎ止めたい一心からだった。そこには、こんな自分に美しいダイアナは不釣り合いだというコンプレックスが見え隠れする。だから男前で背の釣り合いも取れているクラスとの不倫を疑いもしなかった。ホントならクラスにぎゃふんと言わせたいのはロジャー側なのに、何故か彼から逃げまくる事に。ヘッドハントを潰した事だけが理由じゃ無い。もしかしたら妻と共謀して自分を亡き者にしようと企んでいるのか?どんどん疑心暗鬼に陥っていくロジャー。
が、彼には天使が付いていた。色々な危機的状況をうまくかわしていく。

Hodejegerne

にしても、当初のおすましロジャーが血だらけ、泥だらけ、○○○だらけになって命からがらになっている様子に何故か笑えてしまう。微笑ましいのだ。それは背が低めというのも手伝っているのかもしれない。
何故こんな素人相手に元軍人クラスは執拗に彼を追うのか。けれど本作のテーマはそこじゃ無い。ロジャーが大きな困難を超えた先に手に入れた本物の自信にあるのだ。それと揺らぎの無い愛も。

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コメント

コメント一覧 (3件)

  • 全然違いますね!
    あの弟はしょぼくれて、やさぐれた感じでしたものね。
    (もしかして本作のあの金髪はカツラなのかな。)
     
    話は楽しかったですねー。
    ツンデレがドロドロになっていく様がとても軽快で、ラストではまたツンデレ仕様に戻るも、何故か愛くるしい主人公に。
    北欧映画は、今、見逃せません。

  • これとっても面白くて、レンタル開始されたときに見ましたが、
    お気に入りの作品になりました♪
    コンプレックスの身長の低さが幸いにして
    全て丸く収まるという展開に笑い転げました。
     
    でも、「パイオニア」をみて、「あれっアクセル・へニー(主人公)」凄いふけてる!老けメイクか?いや…なんかはげてるし…とびっくり。この作品以降で彼をみたのがパイオニアだったので、その変貌振りに驚きました~@@;

  • ヘッドハンター

    背が低い所を除けば、ロジャー・ブラウンは全てを手に入れた男だった。成功したヘッドハンターで、美人妻と高級住宅住まい。ただ彼には秘密があった。実はその暮らしを維持するために芸術品を盗んでいるのだった…。
    ノルウェー産のハリウッドリメイクが決定している作品です。これもスリリングな展開と独特のユーモラスさでぐいぐいと作品に引きこまれていきますよ。
     
    背が低いことがコンプレックスな主人公ロジャ…

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