『ザ・ヘル ネクストステージ』(2008) - No moriré sola –

entry-image_420
ずっとボグリアーノ監督作品を追っているスパニッシュ・ホラーシリーズ(といってもこの作品はシリーズには入ってないんですけど)。今回のこの作品は他3作品とは違ってスプラッターホラーではなく、もっと現実的なレイプリベンジもの。か弱き女性がやられっぱなしでは無いところも違ってた。
 
■ザ・ヘル ネクストステージ - No moriré sola -■

No_moriré_sola_02
2008年/アルゼンチン/83分
監督・脚本:アドリアン・ガルシア・ボグリアーノ
撮影:ファブリシオ・バシロッタ
音楽:エルナン・ペンネル

出演:
マリソル・トゥル
ヒメナ・ブレサ
アンドレア・ドゥアルテ
マグダレーナ・デ・サント

 

解説:
暴漢魔に襲われる4人の女子大生たちの恐怖を描いたアルゼンチン発のパニックサスペンス。
(キネマ旬報社)
あらすじ:
姉妹を含む女子大生4人が実家を目指し長いドライブをしていた。ある辺鄙な場所で道に倒れる女性を発見、車を停めて近寄ると、彼女は大怪我をしており付近には銃を持つ男達がたむろ。慌てて女性を車に乗せて走り去る。警察に事の次第を説明し再び車を出したが、すぐに先ほどの銃を持つ男達が追いかけてきて ―

英題:I’ll Never Die Alone


内容は『アイ・スピット・オン・ユア・グレイヴ』と同じで、話の運びも同様。観終わった後、何故今(といっても2008年製作)これを?といった印象だった。
けれどもよくよく考えると、この監督は若い女の子、それも複数を同時にいたぶり、酷い目に遭わせるのがお好き(それによく見ると本作の方が『アイ・スピット・オン・ユア・グレイヴ』より先に作られている)。なんだけど、今回の題材はヒドイもので、ホラー要素は無く映画を観て現実逃避するのには不向きであります。
 

アイ・スピット・オン・ユア・グレイヴ(2010)

ヒロインが残忍なレイプ犯たちに壮絶な復讐を繰り広げるバイオレンス・サスペンスのカルト作「発情アニマル」をリメイク。小説家のジェニファーは、新作執筆のため、静かな森の奥の別荘にたった一人でやって来る。しかしそれは、野卑な地元の男たちの注目を集めずにはおかなかった。案の定、男たちは欲望のままに野獣と化して、無力なジェニファーに集団で襲いかかり、次々と凄惨なレイプを繰り返す。その後、命からがら逃げ出したジェニファー。やがて絶望の淵から立ち上がり、自分が味わった以上の痛みと恐怖の限りを味わわせるべく、復讐の鬼と化して憎き男たちのもとへと舞い戻ってくるのだった。
(allcinema)



 
No_moriré_sola_14今回の監督の被害者は2人の姉妹を含む友人4人組女子大生。遠い故郷を目指して車を走らせている。干上がるようなアルゼンチンの暑さの中、エアコンの無い車の中で移動する彼女らの顔には髪がへばりつく。それでも若い彼女らは元気で明るい。その若さをカメラは大写しに撮っていく。健康的な若さ、美しさ、無邪気さを。
 
そして彼女達は無邪気なだけじゃ無く、正義感も併せ持っていた。道端に倒れている女の子を見つけた彼女達は助けるために車を停車させた。自転車と一緒に倒れていたその娘はさっき寄ったコンビニで見かけた娘だ。元気に買い物袋を持って走って行ったはずなのに、今の状態は下着は剥ぎ取られ、頭部には大怪我、意識が無い。唖然としているところに銃を持つ男達が近くにいるのを発見。犯人はあいつらだとピンときた彼女達は慌てて倒れている娘を車に運び込み、急発進させた。
No_moriré_sola_20
近くの村の警察に付く頃には、その娘は亡くなっていた。警察の聴取が終わる頃、さっきの男達の車が警察署の前に停まるのを目撃。なんと犯人の一人は警官で、彼女達4人は慌てて逃げるように出発。だが、ホッとしたのも束の間。男達の車が追ってきて銃を向けられ止められてしまった。そして森の奥深くへと連れて行かれるのだった ―


この後、鬼畜な男達は彼女達の美しさや無邪気さを木っ端微塵に粉砕、蹂躙する。けれども、その代わり彼女達に芽生えたある意識。それは生き残るための知恵と、決してこの暴力を赦さない固い決意だった。ある一人の娘が一人の男の首を鉄条網で締め上げるシーンがあるが、アドレナリンと復讐の鬼となった彼女の顔はそのまんま鬼の形相だ。
先に紹介した『アイ・スピット・オン・ユア・グレイヴ』のショーのような計画的な復讐劇とはかなり違っていて、爽快感を感じるのは一緒だとしても、そこにはとても現実味がある。
 
No_moriré_sola_17その後、その男を穴に埋めるシーンがかなり長く続く。その穴は男が彼女達の死んだ仲間を埋めるために掘ったものだった。だが今は自分の掘った穴に横たわり、その穴を彼女達が手を使って周りの土で埋めていく。ことさら丁寧に。これは全てを無かった事にしたい彼女達の心の叫びのように思えた。
穴は埋まった。だが、彼女達が失ったものは、あまりにも大きく、深かった。