『IN HER SKIN / イン・ハー・スキン』(2009) - In Her Skin –

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残虐な殺人行為が描写されるというのに、何故かとても美しい、独特な感じのする作品。お互いを尊重し愛し合う夫婦、恋人たち、仲のいい家族を丁寧に描くことで、犯人キャロラインの狂気と孤独が浮かび上がる。ただし、キャロラインの異常性は社会の中に埋没している。埋没させたまま取り繕おうとしていたのは誰か。その人こそが真の犯人である。
 

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■N HER SKIN / イン・ハー・スキン - In Her Skin -■
2009年/オーストラリア/108分
監督:シモーヌ・ノース
原案:エリザベス・サウスオール 他
脚本:シモーヌ・ノース
製作:トニー・カヴァナー
撮影:ジュールズ・オロフリン
音楽:ベン・フロスト

出演:
ガイ・ピアース(マイク・バーバー)
ミランダ・オットー(エリザベス・バーバー)
サム・ニール(キャロライン父)
ルース・ブラッドリー(キャロライン)
ケイト・ベル(レイチェル・バーバー)
カーン・チッテンデン
ジャスティン・クラーク
レベッカ・ギブニー


解説:
数多くのテレビドラマを製作してきたシモーヌ・ノースが監督と脚本を務めた、実際に起こった少女失踪事件を元にしたサイコサスペンス。出演は「L.A.コンフィデンシャル」「メメント」のガイ・ピアースと「ヒューマンネイチュア」「ロード・オブ・ザ・リング」のミランダ・オットー、そして「ジュラシック・パーク」のサム・ニール。
(allcinema)
 
あらすじ:
3月のある日、15歳の少女レイチェルがダンス教室の帰りに忽然と姿を消してしまう。両親は事件に巻き込まれたに違いないと警察に訴えるが、よくある家出だと取り合ってくれない。独自に探し出した両親は娘のボーイフレンドから「大金を稼げるバイトに行く」と言っていたことを聞かされるが ―


1999年、オーストラリアで実際に起きた「レイチェル・バーバー事件」がベース。
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悲惨な事件を扱いながら、オープニングの美しさと力強さに目が釘付けに。音楽に乗せてペアで創作ダンスを披露するのはレイチェルとマニー。息の合った調子から二人が親密であることが見て取れる。堂々と自信に満ちたダンスは、ダンスを愛し、自身を愛し、互いを愛し、家族を愛し、全てを愛し愛されて、満ち足りている上で互いを求めることを表現する。
 
In_Her_Skin_26キャロライン。
ピザ顔、デカ鼻でデブと虐められている。けれど彼女を苦しめるのはそれだけではない。父親は愛人を作り出て行った。母親は泣くばかりで、全ての元凶は娘だと叫ぶ。それぞれが自分の事で精一杯で互いを思いやる余裕が無い。
キャロラインの頭の中は欲しくても手に入れられない何かがいつも一杯。聞いて欲しくて仕方が無いのに、ぶつける対象の父親は目の前にいない。だからノートに殴り書く。やって欲しいことを感じたままに殴り書く。ノートだけでは足らずに部屋の壁には彼女の叫びが綴られている。でも最後には“私はパパの理想通りのいい娘”である一言を付け加えなくてはいられない。我儘と親の理想が共存できずに破綻している心を持つ彼女。父親はもちろんのこと、その彼女をそばで見ながら、扱いきれずにそのまま放置してしまった母親の罪は重い。
 
“その時”に向かってストーリーは進んでいく。それは随分前から、キャロラインが生まれた時から始まっていた。
 
In_Her_Skin_11路面電車の駅で、いくら待っても降りてこない娘を探す父親の顔。家出なんかあり得ないと、すぐに警察に電話する母親の声。
娘は15歳。子供でもなく、大人でも無い。親に秘密を持ち始める年頃だ。手がかりを探しに入った娘の部屋にある物は、勝手に触るのがためらわれるほどには大人びている。
サラサラした青いドレスで小鳥のように踊った娘。だがその娘を見つめていたのは自分たちだけでは無かった。

  

 
キャロラインは自分に無い全てを持っているレイチェルが憎くて殺したのだろうか。
実際は分からないが、この映画を観る限りではそうは思えなかった。レイチェルを殺してこの世からいなくなった時、自分がレイチェルとして生まれ変われるような錯覚を持っていたのではないだろうか。
レイチェルは、皆に愛されている少女は自分なのだから、存在していてはおかしいからと。
 
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勤め先から家に電話をかけて「ほら、私はいない」。だって私はレイチェルだから。
とうとう警察が家に来たとき、怯えた顔で鏡に映っていたのはレイチェルだった。彼女はレイチェルを手に入れた。決してこの世から消してしまったのでは無かった。
刑務所に入ったキャロラインは、それまでと違って穏やかになる。少女のレイチェルは成長した。その顔は、レイチェルの母エリザベスにそっくりだった。彼女は愛してくれる母親も手に入れたのだった。
 
 
 
 
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