『ペーパーボーイ 真夏の引力』(2012) - The Paperboy –

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冤罪疑惑のある警官殺し死刑囚、それを暴こうとする記者と死刑囚の獄中婚約者。これを手伝っていた青年は、答えの無い大人の世界を垣間見る― この映画で一番驚いたのは一見、娼婦まがいのやさぐれた女を演じたニコール・キッドマンと、すっごく気持ち悪い中年男を演じたジョン・キューザック。最近、彼はこっち方面に行ってるな・・・

■ペーパーボーイ 真夏の引力 – The Paperboy -■

The Paperboy

2012年/アメリカ/101分
監督:リー・ダニエルズ
脚本:ピート・デクスター、リー・ダニエルズ
原作:ピート・デクスター「ペーパーボーイ」
製作:リー・ダニエルズ 他
製作総指揮:マイケル・ベナローヤ
撮影:ロベルト・シェイファー
音楽:マリオ・グリゴロフ

出演:
ザック・エフロン(ジャック)
マシュー・マコノヒー(ウォード)
ニコール・キッドマン(シャーロット)
ジョン・キューザック(ヒラリー)
デヴィッド・オイェロウォ(ヤードリー)
スコット・グレン(W.W)
メイシー・グレイ(アニタ)

解説:
ザック・エフロン、ニコール・キッドマン、マシュー・マコノヒー、ジョン・キューザックら豪華俳優陣による鬼気迫る怪演が話題を集めた異色ミステリー。ピート・デクスターの同名ベストセラーを「プレシャス」のリー・ダニエルズ監督が映画化。1960年代末期のアメリカ南部を舞台に、ひとつの冤罪疑惑を巡って、社会の闇と関係者たちの心に潜む狂気が露わとなっていくさまを、鬱屈した青春を送る青年の目を通して描き出す。 (allcinema)

あらすじ:
1969年、真夏のフロリダ州モート郡。父親が発行するローカル新聞を配達する青年ジャック。ある日、大手新聞社に勤める兄ウォードが、4年前に地元で起きた保安官殺害事件の再調査をするため同僚を伴って帰省する。既に犯人のヒラリーは死刑が確定しているが冤罪の可能性があると言う。ヒラリーと獄中婚約をした美女シャーロットも訪れ、早速関係者への取材が始まるが ―


The Paperboy

4年前のある夜、暴力や殺しを厭わない悪徳保安官コールが殺された。犯人はすぐに捕まり死刑が言い渡される。
この故郷で起きた事件に疑問を感じた新聞記者ウォードは、久し振りにフロリダの田舎町に同僚ヤードリーを伴って帰省する。実家には地元でローカル新聞を発行する父親と配達を手伝う弟ジャックが。母親は随分前に家を出て行ったきりだ。家事は黒人メイドのアニタに任せていた。

The Paperboy

この映画は、この1969年夏に起きた一連の事件を回想するアニタの語りで進められる。中心人物は20歳の青年ジャック。
彼は水泳部で活躍していたが、ちょっとしたトラブルから大学を中退することになり、将来の展望も無いまま父親の新聞を配達している「ペーパーボーイ」。彼にとってアニタは母親代わりであり、友人でもある。

そんな退屈な毎日だったから兄が主導する死刑囚の冤罪調査を手伝うことに異論は無かった。特に死刑囚ヒラリーの婚約者シャーロットを見てからは。
大人の嫌らしさを全く持たない純粋な青年ジャックは一目でシャーロットに恋してしまう。

The Paperboy

シャーロットは死刑囚追っかけのウェイトレス。多くの死刑囚と文通して、手紙の中身がこましだった警官殺しヒラリーと婚約する。

たまに聞くこの獄中婚約とか結婚。凡人には全く理解できないけれど、彼を理解できるのは、彼が必要としているのは“私だけ”っていう状態が快感なのかな

そんな彼女だから、冤罪の可能性ありとなれば必死になるのも分かる気が。で、フェロモンをぷんぷん振りまきながらフロリダの片田舎まで資料を持参してやって来た。そんなフェロモンに免役の無いジャックは一発で虜に。

早速、4人はヒラリーの面会に赴くが、、、
ビックリした・・ 冤罪かもしれんと言われている死刑囚。なんていうか、もっと真面目で疑いを晴らしたい気持ちが一杯の、それなりに素敵な人が出てくるかと思いきや

The Paperboy

ジョン・キューザック史上、一番ブサイクで臭そうで怪しさ一杯の死刑囚。それになんでかニコラス・ケイジに似ている
一同も少し驚いたようだが気を取り直してウォードが事件について質問しようとすると、、ヒラリーの目にはシャーロットしか映っていない。そしてこの後、残る3人にとっては天国のような地獄のような光景が繰り広げられる(ここでは書けません)。
※もうちょっとコメディタッチにしてくれれば..。でもそれじゃ台無しなんですね、このシーン。

これで分かったのはヒラリーの異常性であり、もう冤罪とかどうでもいいんじゃないの?とも(自分には)思われたが、そうもいかないんでウォードは何度も面会し、ヒラリーから事件当時の話を聞き出す事に成功する。その話を元に、事件当時一緒にいたというヒラリーの叔父を訪ねるが―


ヒラリー登場以降、兄の調査に付き添ったジャックは答えの無い人間の裏側を垣間見ることになっていく。ジャックのいいところは、そうなってもその人に対する気持ちを変えず、差別したり嫌悪感を抱かないところ(ヒラリーを気にくわないのは単純に恋敵だから)。
そんな彼にホッとさせられるが、心の汚れた大人であるこちらは見たくない物を見せられた感で一杯に

The Paperboy

例を挙げるとヒラリー初登場シーン(思いっきり見た目で判断)や例のシーン(他人のそんなの見たくない)、沼に住む家族(ゾッとした)、おしっこ、兄の姿(他人のそんなの見たくない)…。

結構な内容でありながら全体に地味な作品ではあるけれど、1960年代の南部アメリカや“差別”について少し感じるものが残った映画ではありました。

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コメント

コメント一覧 (3件)

  • ホントに「熱に浮かされた」人々の話でしたね。
    兄が大怪我したところでそれが溶け始め、シャーロットがかつらを外しウェイトレス姿で出てきたシーンで、ずるい(いい意味で)って思いました。
    そこにアイツが現れる。もうすっかり熱は冷めたのに。
    ニコール・キッドマンは上手かったですねー。

  • 真夏のジトーッとした暑さがこちらにも張り付いてくるような映画でした
    服が吸い付く感じ、汗が滴り落ちる感じ…
    春とか秋とかじゃ、この作品のよさは出てこないと思うので、真夏で正解ですね
     
    ニコールのアバズレ年増女ぶりには驚きましたし、キューザックの殺人犯も似合ってた
    でも、ニコールが演じた彼女は正直でエキセントリックなだけで、
    ジャックに忠告したりとまともな発言も多かったので、憎めない女性ではありましたね
    件のシーンはびっくりでしたが。
    美人役だけじゃなくて色んな役に挑戦するようになったニコールは素敵ですね

  • ペーパーボーイ 真夏の引力

    ニコール・キッドマンがけばい年増女を演じてます。そして彼女に恋するのが新聞配達のザック・エフロン。
    ザック・エフロン、ニコール・キッドマン、マシュー・マコノヒー、ジョン・キューザック。
    記者のウォード・ジャンセンは、黒人の同僚と、実家で新聞配達を手伝う弟のジャックとともに、白人保安官殺害事件の調査を開始する。3人は恋人の無罪を信じるシャーロットを伴い、容疑者ヒラリーと刑務所で接触を試みる…

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