『脳男』(2013/映画) - The Brain Man –

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「邦画乗り遅れ隊」隊長momorexです。これ、面白いですねー!『脳男』っていうタイトルから『鉄男』みたいな作品なんだと勝手に思い込んでおりました(『電車男』とは違うんだろーな、とは想像してたけど)。役者さんもいいし、爆破シーンも見応えあり。何より話が面白い。なんで、今まで観ていなかったのか..
 

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■脳男 – The Brain Man -■
2013年/日本/125分
監督:瀧本智行
脚本:真辺克彦、成島出
原作:首藤瓜於「脳男」
製作:藤本鈴子 他
製作総指揮:城朋子
撮影:栗田豊通
音楽:今堀恒雄 他
主題歌:キング・クリムゾン「21世紀のスキッツォイド・マン」

出演:
生田斗真(鈴木一郎/入陶大威)
松雪泰子(鷲谷真梨子)
江口洋介(茶屋刑事)
二階堂ふみ(緑川紀尚)
太田莉菜(水沢ゆりあ)
大和田健介(広野)
染谷将太(志村)
甲本雅裕(空身)
夏八木勲(入陶倫行)
 

解説:
第46回江戸川乱歩賞を受賞した首藤瓜於の原作を、「はやぶさ 遥かなる帰還」の瀧本智行監督が映画化。撮影監督としてロバート・アルトマン監督作品など米国でも知られる栗田豊通が招聘され、最新のデジタルシネマカメラや色管理システムを採用し、ハリウッド映画のような映像を実現。エンディングでキング・クリムゾンの名曲「21世紀のスキッツォイド・マン」を使ったことも話題になった。“脳男”役の生田の鍛え上げた肉体に加え、爆破犯を演じた二階堂ふみと、彼女を信奉する女性役の太田莉菜の怪演も見もの

 
あらすじ:
東京の近郊で無差別連続爆破事件が続発し、新たに路線バスが爆破される。正義感の強い刑事の茶屋は、バス爆破事件の遺留品から犯人のアジトを突き止めて踏みこむが、そこには、すでに犯人と格闘している男がいた。犯人はアジトを爆破して逃走する。茶屋が確保できたのは、鈴木一郎と名乗るその男だけ。彼は爆破犯の共犯と見なされ、裁判の前に精神鑑定を受けるが、その担当となった精神科医の鷲谷は、一郎の態度に違和感を覚える ―

(WOWOW)

 


脳男_11初っ端。万力かなんかでおばさんが顔をギリギリギリ~って挟まれているシーンで、ぉっ?これはホラーか?と目が離せなくなったホラー好きも多かろう。シーン変わってバス爆発に続き、真面目そうな精神科医・真梨子さんが出てきてからは、ホラーじゃないのかなー、と不安を覚えながらも登場人物達の魅力に支えられて最後まで一気に観てしまった。
 
連続爆破テロ犯として逮捕された鈴木一郎は、いかにも怪しげでサイコな目つき。でもバス爆破をうつろに見ていた人物が他にもいたからそう簡単な事件ではない事がわかる。逮捕した熱血刑事・茶屋は最初から最後まで工藤ちゃん(注:ドラマ「探偵物語」)にしか見えない。が、ちょっと間抜けで善人の相棒・新米君を引き連れて、暴力も厭わず、精神鑑定で責任を逃れて病院送りなんて許さないぞー!っと一般市民の声も代弁する。
 
派手に始まったお話は、ここから「精神科医vs鈴木一郎」の“静”に移る。
脳男_26どこを見ているのか分からないガラス玉のような瞳。痛みを感じないらしい身体。問いかけに答えはするものの、それは何かの原稿を読んでいるようで、感情が含まれ無い。
対する真梨子女医は、かつてある少年に弟を殺された経験があることから、少年の「精神的な更正」というものに力を入れている。なので、この鈴木一郎という患者にとても興味を持ち、彼の精神構造や生まれ育った環境までも調査していくことに。
 
そこから見えてくる脳男・鈴木一郎の正体。
脳男_29・高い記憶力
・高度な身体能力
・感情が無い
・無痛無汗症
・統合失調症では無い
 
これらは先天性のものなのか、それとも後天性か。中でも「感情が無い」ことに疑問を持った真梨子女医は、突然、突拍子も無い質問を投げかけて、彼の心の動きを探ろうとするがどうにもならず、彼の本名と生い立ちを調べ始める。
同時に彼の供述から爆破テロ犯は他にいることが分かり、彼のしていたことは反社会的な凶悪犯を殺すことであったことが分かってくる。
 
真梨子女医が刑事もどきの調査を始めたと同時に、爆弾犯を探す警察。そして姿を現したのが―
脳男_14ここからまたしても“動”に。
生まれもってのサイコパスである緑川紀尚。鈴木一郎に同じものを感じ取った彼女は彼を付け狙い、彼を知ること、命を奪うことで自分自身を理解し、その存在意義を確かめようとする。ようするに自分捜しの旅に人の命を利用する、真の異常者。
 
ぃゃ、途中までまさか二階堂ふみとは気付かなかった。最近観た『地獄でなぜ悪い』であまりに綺麗なお姉さんだったから驚いたとこだったけど、この作品ではまさにサイコ。小さくて華奢な身体、剃られた眉毛、少年のような服、なのに可愛らしい声が余計にゾッとさせる。
 
この一本の作品に、タイプは違うとはいえ尋常じゃ無い人間が2人も出ているのに、お互い存在感を殺し合わずにうまく話が進んでいくところがこの作品の素晴らしい点でもあり、面白かった理由でもある(尋常じゃ無い人は他にもいるしね)。
 
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加えてこの2人の圧倒的な存在感に負けていない女医や刑事。他にもゆりあや新米君、女医の母親や同僚、田舎の医者にいたるまで、それぞれの強い個性を放ちながらお互いを潰すことなく、どんどん進んでいく謎解きと2人の対決、ラストまで一気でしたねー。
それになんだろう、一部を除いてどの役も自然でわざとらしさを感じないんですよね。特におとぼけの女医同僚は、いつもならわざとらしくて笑えないキャラなんだけど、この映画に限っては気に入った存在だ。綺麗で真面目でお堅い女医との絡みもなんか自然で、緊迫した空気をふっと緩ませてくれる。
 
原作の小説では続編「指し手の顔 脳男2」が既に出ていることから、映画の続編もあるんだろーなー。