『ザ・タウン』(2010) - The Town –

銀行と現金輸送車強盗が世界一多い街

The Town_2010

■ザ・タウン -The Town-■ 2010年/アメリカ/125分
監督:ベン・アフレック
脚本:ベン・アフレック、ピーター・クレイグ他
原作:チャック・ホーガン『強盗こそ、われらが宿命』
製作:グレアム・キング、ベイジル・イヴァニク
製作総指揮:デヴィッド・クロケット、ジョン・ジャッシニ
音楽:ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
撮影:ロバート・エルスウィット
出演:
ベン・アフレック(ダグ・マクレイ)
ジェレミー・レナー(ジェム)
ジョン・ハム(フローリー)
レベッカ・ホール(クレア)
ブレイク・ライヴリー(クリスタ)
オーウェン・バーク(デズモンド)
スレイン(グロンジー)
ピート・ポスルスウェイト(ファーギー)
クリス・クーパー(スティーヴン・マクレイ)

解説:
人気俳優のB.アフレックが、C.ホーガンのミステリー小説「強盗こそ、われらが宿命」をもとに、自ら監督・共同脚本・主演を務めて絶賛された、スリル満点の犯罪ドラマ。(WOWOW)

あらすじ:
The Town_01ボストン・チャールズタウン。ここは「銀行強盗は職業のように父から子へ受け継がれる」と言われるほど全米屈指の強盗犯罪多発地区だ。この街で生まれ育ったダグも例にもれず、幼なじみ4人組での強盗を生活の糧としていた。
今回も彼ら4人は覆面で銀行を襲うが、女性支店長のクレアを人質に取るという不測の事態が発生。無事逃げおおせた後クレアを解放するが、しばらく彼女を監視することになった。正体を隠してクレアに近づいたダグ。が、思いもよらずクレアに惹かれてしまう-


上の画像はボストン中心部を望むチャールズタウンだ。
ニューヨークの摩天楼を望む周辺地域にどこか似ている。
チャールズタウン中心にそびえるのは「バンカーヒル記念塔」(独立戦争における主な戦いのひとつであるバンカーヒルの戦いを記念し、1825年から17年の歳月を費やして建てられた同国最初のオベリスク)。

ここボストンは監督、主演のベン・アフレックの出身地である。
ベン・アフレック(ダグ)
The Town_07カリフォルニア州バークレー出身。父親のティモシー・アフレックはソーシャル・ワーカー、母親のクリス・アン(旧姓ボルト)は小学校の教師。弟のケイシー・アフレックも著名な俳優である。両親の離婚後、マサチューセッツ州ボストンに移住。8歳の時にマット・デイモンと知り合う。
マット・デイモンと共同執筆し、共に出演もした『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち(1997)』の舞台もボストンだ。この物語でもボストンの街から飛び出したい若者達が主人公である。
結局『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』のチャッキー(B.アフレック)は街に残ることになる。
だが今作『ザ・タウン』のダグは街をでることに成功する。これは彼の物語なのだろうか。

ベン・アフレックの出演作は多数あるが、たまにいいものがあるくらい(オイ)。
が、監督作は今のところはずれなし。
その1作目が日本劇場未公開、2007年『ゴーン・ベイビー・ゴーン -Gone Baby Gone-』だ。
この作品では監督、脚本、製作をこなし多数の映画賞を受賞した。主演は弟のケイシー・アフレック。そしてこの作品の舞台はボストン・ドーチェスター地区(原作者デニス・レヘインの出身地)。撮影も同地区で行われた。

●簡単なあらすじ
パトリックはボストンでパートナー兼恋人のアンジーと組んで失踪者を探す私立探偵。ある日、下層階級が住む小さな町で少女誘拐事件が起きる。4歳の少女アマンダが自宅から忽然と姿を消したというのだ。「娘を助けて」と悲痛な姿をテレビカメラにさらし世間の関心を一身に集める母親・・・テレビのニュース、ワイドショーは一斉にこの事件を取り上げ、街は騒然となる。初日に解決をしないと、検挙率が10%まで落ち込むという誘拐事件。しかし少女の失踪から既に3 日が経過していた。そんな中、パトリックとアンジーのもとへ、アマンダの叔母ビーと叔父ライオネルが訪れ、姪の捜索を懇願する。事件の重さにアンジーは難色を示すが、ビーの熱心な依頼に根負けし、二人は仕事を引き受ける。アマンダの母親へリーンを訪ねてみると、彼女は酒とドラッグに溺れた自堕落な暮らし振り。誘拐前は、彼女の育児放棄を見かねたビーとライオネルが何かとアマンダの世話を焼いていたのだった。しかし、捜索は遅々として進まず、誰もが焦燥感に駆られていた。パトリックとアンジーはボストン市警の刑事たちと組んで全力で捜査を進める。次第に捜査線上に浮かび上がるその町の暗部。ドラッグ中毒者、売人、闇を抱えた人間たちが集まる酒場、そして暴力・・・。やがて彼らは、ヘリーンがドラッグの売人から金を盗んだという事実をつかむ。アマンダの誘拐は、この代償だったのか・・・?
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『ザ・タウン』のあらすじより長くなってしまった。。
とても興味深いテーマを扱ったサスペンス作品なので、未見であればぜひ一度ご鑑賞を。

ベン・アフレックがこだわるボストン。
犯罪大国と名高いボストンの街とは?

■ボストンの歴史-
1820年代、ボストンの人口が増加を始め、ヨーロッパからの移民の第1波とともに、市の民族的構成は劇的に変化した。この時の新規移民第1波のほとんどを占めていたのは、アイルランド人であった。
19世紀後半、ボストンに住み始めるアイルランド人、ドイツ人、レバノン人、シリア人、フランス系カナダ人、ユダヤ系ロシア人、ユダヤ系ポーランド人の数が増えていった。19世紀の終わりには、ボストンの中心部は異なる民族の移民居住地によってモザイク化していた。イタリア系はノースエンド、アイルランド系はサウスボストンとチャールズタウン、ロシア系ユダヤ人はウェストエンドに住んだ。

20世紀初頭以来、アイルランド系アメリカ人はボストンの政治において大きな役割を果たしてきた。著名な人物に、ケネディ家の人々、ティップ・オニール、ジョン・F・フィッツジェラルドなどがいる。
20世紀初頭ないし中頃には、工場の老朽化・陳腐化や、安い労働力を求める企業の流出に伴い、ボストンは衰退を始めたが、1970年代には市の経済は上向き、ハーバード大学、マサチューセッツ工科大学 (MIT)、タフツ大学、ボストン大学、ボストン・カレッジ、ノースイースタン大学といった大学の存在により、多くの学生がボストンに集まった。その一方で、1974年以降には、人種差別廃止に向けたバス通学をめぐって対立が生じ、1970年代半ばには公立学校周辺でけんかや暴行事件が相次いだ。

コロンビア・ポイント公営住宅は、1953年にドーチェスター半島に建設されたが、計画はうまくいかず、町は荒廃し治安も悪かった。1984年に再開発・再活性化によって、公営住宅はハーバー・ポイント・アパートと呼ばれる、低所得者層に限らない魅力のある居住地域となった。これは、連邦政府の公営住宅事業が、所得層を問わない民間住宅に転換した例としてはアメリカ国内初であり、1992年に始まった連邦政府の公営住宅再活性化プログラムのモデルとなった。
21世紀初頭において、ボストンは学術、科学技術、政治の各面で中心的存在となっており、アメリカの中でも生活費の最も高い都市の一つである。

Wikiより

ダグ達はアイルランド人の設定だ。
The Town_11上の歴史を見ると、移民の流入による人口の増加、その後の人の流出、繁栄と衰退を繰り返すたび、うまく時代に乗れないものがはじき飛ばされ、チャールズタウンのような街に住み着いたように思われる。
銀行はたとえ襲撃を受けて金を取られても、保険による補填で結局は懐は痛まない。
犯罪者が犯罪者を呼ぶ街。それらで街は回っているとも言えるだろう。
そんな光と影のような街にベン・アフレックはカメラを向け続けている。

そんなボストンも、1990年代初め以降は凶悪犯罪は激減している。
20世紀末から21世紀初めにかけて犯罪発生率が低く抑えられているのは、連邦・地区検察庁の取り組みに加え、少年がギャングに入るのを防ぐためのボストン市警の住民グループや教会区との間の協力態勢のおかげであると考えられている。これは、「ボストンの奇跡」という賞賛につながっている。
ということだ。


ジェレミー・レナー(ジェム)
The Town_05ジェフリー・ダーマー(2002)』のジェフリー・ダーマー役でインディペンデント・スピリット賞主演男優賞ノミネート。
S.W.A.T.(2003)』『ジェシー・ジェームズの暗殺(2007)』などで頭の切れる悪役などを演じることが多かったが、2009年『ハート・ロッカー -The Hurt Locker-』で複雑で無謀なアメリカ軍の危険物処理班の男を演じ、アカデミー賞で主演男優賞にノミネートされた。1971年生まれ。40代には見えない。
今年公開予定の『アベンジャーズ -The Avengers-』では着ぐるみにも挑戦。
同じく今年『ボーン・レガシー -The Bourne Legacy-』も北米で公開予定。これはあのボーン4作目だけど、これまでのシリーズのスピンオフのような作品らしい。パメラやアボットなどサブキャラクターはそのままに、ジェレミー・レナーは新キャラクター「ケネス・キットソン」で主役を演じる。どうなることやら、だが取りあえず公開されたら観に行こうと思う。コンクリンも出るのかな。
ボーン・レガシー公式HP
『ボーン・レガシー』解説/映画.com

ピート・ポスルスウェイト(ファーギー)
The Town_06独特の風貌でちらっとでも出てきたら必ず目を引く名脇役。この映画では随分とやせてしまったような感じがした。
2011年1月2日、英中西部シュロプシャー州の病院で死去した。64歳没。まだ若かったのに残念だ。
本作では裏社会の元締め役。

クリス・クーパー(ダグの父スティーヴン・マクレイ)
The Town_10アメリカン・ビューティー(1999)』で、ナチスを信奉する厳格な元軍人の父親を演じて注目される。2003年に『アダプテーション』でアカデミー助演男優賞を受賞。
独特のオーラがあり、イヤな役が多い。
とりわけ『ボーン・アイデンティティー -The Bourne Identity-(2002)』のコンクリンが大嫌い。
本作での出演シーンは少ないが、犯罪者の息子を持ち、自身も妻に逃げられた犯罪者であり格子の中という複雑な役を演じ存在感を示した。


多彩な役者が、抑えた演技で取り組んだアメリカの犯罪映画『ザ・タウン』。
BGMもあまり使われずリアルに描かれ、特に銀行襲撃シーンはそのあまりにも鮮やかな手口が芸術のようだ。ダグ達4人は計画的ではあるが自由に強盗しているのかといえば、そうではない。犯罪の裏社会でがんじがらめになっている様子は、まるで蜘蛛の巣に捕らわれた小さな虫のようだ。
それに気がつく者のみが、この街を見下ろすことが出来る。

ダグの父親スティーヴンの「サウス(サウスボストン)やドーチェスターの奴らにバカにされるのは我慢ならない」という台詞があるが、刑務所の中でありながら、どこまでいってもタウンに絡め取られている様子がありありとして、秀逸な場面だ。

ぜひ一度ベン・アフレックのカメラの向こうを覗いてみてほしい。
ではまた

The Town_2010