『マルコヴィッチの穴』(1999) - Being John Malkovich –

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前半はコメディなんですよ。だって7と1/2階にある天井の低いフロアで皆、普通に働いてるんですよ?それにマルコヴィッチへ続く穴。単純に笑える。けれども後半は「え?ホントにこれでいいの?」となり、観終わった後、脱力して虚無感に襲われる。そんな映画です。
 

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■マルコヴィッチの穴 – Being John Malkovich -■
1999年/アメリカ/112分
監督:スパイク・ジョーンズ
脚本:チャーリー・カウフマン
製作:マイケル・スタイプ 他
製作総指揮:チャーリー・カウフマン 他
撮影:ランス・アコード
音楽:カーター・バーウェル

出演:
ジョン・キューザック(クレイグ・シュワルツ)
キャメロン・ディアス(ロッテ・シュワルツ)
キャサリン・キーナー(マキシン)
ジョン・マルコヴィッチ(本人)
オーソン・ビーン(レスター社長)
メアリー・ケイ・プレイス(フロリス)
チャーリー・シーン
ショーン・ペン
ブラッド・ピット

解説:
スパイク・ジョーンズの長編デビュー作で、“俳優ジョン・マルコヴィッチ”の頭へとつながる穴を巡る不条理コメディ。(allcinema)
 
あらすじ:
ニューヨーク。売れない人形遣いのクレイグは妻ロッテにせかされて、ようやく定職に就くことに。マンハッタンにあるビルの7 1/2階にあるレスター社で書類整理を始めた彼は、ある日、資料室で小さな扉を発見。その扉の向こうには有名俳優ジョン・マルコヴィッチの頭の中に続くトンネルがあった ―


Being_John_Malkovich_34人形遣いのクレイグ。ニューヨークの街角でひっそりと上演するが、ほとんどの人は見向きもせず、缶に投げ入れられるコインも少し。夢だけでは食べていけないとばかりにペットショップに勤める妻ロッテに急かされて、決めた仕事は資料整理。
ところが、この会社の入っているビルのフロアが普通じゃ無い。
事務所があるのは7階と8階の間にある7 1/2階。これだけでもあり得ないが、受付の女性は会話が通じないし、社長のレスターの話はエロネタばかり。それでも気にしないクレイグが仕事中に見つけたモノが奇想天外。他人の頭に入っていくトンネルだった。その人とは“ジョン・マルコヴィッチ”。
 
Being_John_Malkovich_30これだけかったら奇想天外な冒険物語かとも思えるが、この作品はこれに止まらない。
真面目で堅物で純粋な人形遣いと思われたクレイグが、妻がいながら他の女性マキシンに目移りしたり、その妻ロッテが実は同性愛だったことに気が付いたり。その上、ロッテが恋してしまったのがマキシン、それもマルコヴィッチの中から、マルコヴィッチを通していたために、話は余計にこんがらがる。
頭に他人が入ったマルコヴィッチは徐々にヘンなことに気が付くんだけど、時すでに遅し。クレイグとマキシンはこのトンネルを商売にして荒稼ぎ。マルコヴィッチが頭の中でヘンな声がすると相談するのが俳優仲間のチャーリー・シーンだったりして、このあたりまではまだ奇想天外コメディなお話。
 
Being_John_Malkovich_16でも、マルコヴィッチが気が付いた頃から、彼の頭を利用してクレイグ達の三角関係が泥沼化。そもそも何故、この会社にこんなトンネルがあるのかまで明らかになって、さらに人の身勝手さが露呈する。
マルコヴィッチは利用されるだけ利用されて、ただの入れ物になっちゃう可哀想な存在になっていく。
 
ここまで観ると、前半でハハッと笑っていたコメディ要素は抜けてしまっていて、身勝手な登場人物達に呆れかえるこことに。三人も酷いけど、他の人達も何故にそこまで“生”に執着するのか分らない。ラストは綺麗な青い空と可愛らしい女の子で締めくくられるが、何とも言えない脱力感に襲われた。
 
Being_John_Malkovich_22クレイグは操り人形の人形師で、自分に似せた人形や妻や恋しいマキシンに似せた人形を操り夢を見る。実際、ロッテやマキシンは痩せていて、彼女ら自身が操り人形のようにどこか無機質でもある。特にロッテの髪はクシャクシャで、使い古されたバービー人形みたい。
 
でもどうして“ジョン・マルコヴィッチ”だったんだろう?ジェレミー・アイアンズでも、ブラッド・ピットでもなく。