『エンド・オブ・ウォッチ』(2012) - End of Watch –

entry-image_326 
FOXの「全米警察24時 コップス」みたいな、臨場感のあるドキュメンタリー風作品。アメリカで最も危険な街を巡回する1組の警官の毎日を追う。カメラは基本的にこの警官の胸に付いており、観ている者は一緒にアジトに踏み込み、銃撃を受ける。この映画を観たら、絶対、警官にはなりたくなくなる。特にアメリカでは
 

End of Watch_00
■エンド・オブ・ウォッチ – End of Watch -■
2012年/アメリカ/109分
監督・脚本:デヴィッド・エアー
製作:デヴィッド・エアー 他
製作総指揮:ジェイク・ギレンホール 他
撮影:ロマン・カシヤノフ
音楽:デヴィッド・サーディ

出演:
ジェイク・ギレンホール(ブライアン・テイラー)
マイケル・ペーニャ(マイク・ザヴァラ)
ナタリー・マルティネス(ギャビー)
アナ・ケンドリック(ジャネット)
デヴィッド・ハーバー(ハウザー)
フランク・グリロ(巡査部長)
ハイメ・フィッツシモンズ(リース警部)
アメリカ・フェレーラ(オロスコ)
モーリス・コンプト(ビッグ・イーヴル)
ヤヒラ・”フラキス”・ガルシア(ララ)

解説:
ヒスパニックや黒人のストリート・ギャング団の抗争が絶えず、アメリカ国内でもっとも危険な街とも言われるロサンジェルスのサウス・セントラル地区を舞台に、常に死と隣り合わせの日常を送る一組のパトロール警官コンビの過酷な日々の現場と強い絆を描いた衝撃のリアル・ポリス・アクション。主演は「ブロークバック・マウンテン」のジェイク・ギレンホールと「L.A. ギャング ストーリー」のマイケル・ペーニャ。監督は「ワイルド・スピード」「トレーニング デイ」の脚本で注目され、本作が監督3作目となるデヴィッド・エアー。LA犯罪現場の最前線を、実際にサウス・セントラルで10代を過ごしたエアー監督がリアリティと臨場感にこだわり、緊迫感あふれる筆致で描き出す。(allcinema)
 
あらすじ:
ロサンゼルスの一角に位置する重犯罪多発地域サウス・セントラル、ニュートン地区。ここでパトロールに当たる2人の巡査テイラーとザヴァラは、別件で逮捕した男の親戚の家に立ち寄る。そこで一人の男と大量の麻薬、惨殺遺体を発見したことから、メキシコの巨大麻薬カルテルに目を付けられることになり ―


LosAngelesロサンゼルスと言えばハリウッドやビバリーヒルズ。スターが多く住むそんな華やかなイメージがあるものの、その一方で全米一危険と言われる地域も併せ持つ。加えて以前にも『ランパート 汚れた刑事』で書いたが、警官の人口対比率が他都市と比べ少ないこともあり、警官の任務は過酷を極める。(詳しくは「ランパート 汚れた刑事 ランパートという街」へ)
 
そんな事を前提にこの映画を観てみると、怪しい車を停めた場合でも、不審な家を訪ねる場合でも、警官が何故、常に拳銃に手をやってすぐに抜けるようにしているのかという事が理解できる。この映画の冒頭は「警察24時」さながらのカーチェイスで始まり、パトカーをぶつけることでやっと停車させた逃走車から転がり出てきた逃走犯がすぐさま発砲、激しい銃撃戦となる。
End of Watch_11警官が発砲し、相手が負傷もしくは死亡した場合は内務調査が入る。が、もちろん、こんな場合は問題ない。
このような事が日常茶飯事のロスの警官にとって一番大切なことは、信頼できるパートナーの存在だ。お互いに命を預け、守り合う。ロスのこの地域は戦場と同じなのだ。
 
白人警官テイラーとメキシコ系警官ザヴァラもそんな2人だった。
これは刑事を目指すテイラーが大学法学部の入試課題に映像制作を選び、自分たちの日常業務をカメラに納め記録した映像からなっている。カメラに映し出されるものは、パトカー車内でたわいも無い話で盛り上がる2人や、無線連絡で指示が入った時にキュッと引き締まる顔。常に他の仲間に連絡を取りながら目指す現場。現場に到着後、常に用心を怠らず建物の中に踏み込む2人。
そうして見つけたものは、ヤク中の両親の元で悲惨な毎日を送る小さな子供や、暴れる黒人ギャング、大きな音でパーティをするヒスパニック系ギャング、やたら金目のものを持ち、金色のAK-47銃を隠していた車、移民人身売買の拠点などだった。
 
End of Watch_12カメラはこの1台だけでは無く、縄張りを広げたいヒスパニック系のギャングも持っている。
そこに映されるのは、どうすれば存在を誇示し、黒人ギャングや警察を出し抜けるか、縄張りを広げ金儲けできるかを相談するギャングの姿。まだチンピラのこのギャング達は、やたら好戦的で強がっている。こういう輩が一番手に負えない。自分たちの力を見せつけるためには手段は選ばず、麻薬売買のボスに認められるためには何でもする。
 
そんな街でパトロールをしているテイラーとザヴァラは、たまたま逮捕した金回りのいい一人のヒスパニック系ギャングに目を付ける。携帯の履歴から、ある一軒の家をマーク。こっそりと見回り、大量の現金、麻薬、床下に埋めようとバラバラにされた多くの遺体を発見。麻薬売買の拠点を一つ摘発した。
この事から2人はメキシコの巨大麻薬カルテルに標的とされ、その殺害指令がロスのギャングに通達されてしまうことに―


End of Watch_22米国の警官はアイリッシュ系が多いと言われるが、人口の半分近くがヒスパニック系(メキシコ、キューバ、プエルトリコなどのラテンアメリカ出自の人)で占められるここロスでは、同じくヒスパニック系の警官も多い。テイラーは海兵隊出身。ザヴァラは高校を出た時に妻となる女性から給料が確実にもらえる警官になってと言われ、警官になった。ロス市警の初任給は高卒で約48,000ドル、大卒で約50,000ドルほどだ(2013年11月現在)。命をかけた仕事と考えると、決して高いとは言えない。2人のように給料に関係無く職務を遂行する人間もいれば、同僚のハウザーのように、現場に駆け付けるのがいつも最後という人間もいる。
 
End of Watch_20テイラーは刑事になることを目標としていたので、ついつい危険な現場へも勇み足になっていた。が、真面目で人間が好きな青年なのだ。そんなテイラーに「お前に何かあった場合は家族の面倒は俺が見る」とまで言って信頼している相棒ザヴァラ。この2人が見回る(Watch)ロスという街はあまりに危険だった。その闇は深い。
 
どう深いかは米国ドラマ「ザ・シールド ~ルール無用の警察バッジ~」を見ればよく分かる。あまりの衝撃的な内容にどこのテレビ局も放送に尻込みしたというほど、ロス(ドラマ内では架空の街が舞台)の真実を暴き出している。この映画でロスの闇に興味を持たれたのなら、ぜひご覧下さい。ハマりますよ