『ツールボックス・マーダー』(2003) - Toolbox Murders –

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今回のアンジェラ・ベティスは普通の求職中の教師役。優しい夫もいる妻だが、引っ越したアパートが古いだけではなくて、どうも妙。少しずつ調べていくうち、建設したオーナーがオカルトに被れていたことを知る。オカルトものなのか、殺人鬼ものなのか、ちょっと中途半端だけど案外面白かった。監督はトビー・フーパー。

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■ツールボックス・マーダー – Toolbox Murders -■
2003年/アメリカ/92分
監督:トビー・フーパー
脚本:ジェイス・アンダーソン 他
製作:ゲイリー・ラポーテン 他
製作総指揮:ライアン・キャロル 他
撮影:スティーヴ・イェドリン
音楽:ジョセフ・コンラン

出演:
アンジェラ・ベティス(ネル)
ジュリエット・ランドー
ブレント・ローム
クリス・ドイル
ランス・ハワード
マルコ・ロドリゲス
アダム・ギーラッシュ
シェリ・ムーン

解説:
1978年デニス・ドネリー監督作のリメイクで『悪魔のいけにえ』のトビー・フーパー監督作。巨大ペンチに電動ドリル、釘打ち銃など、大工道具を凶器に見立て、大虐殺の恐怖を描く正統派ホラー。(TSUTAYA)

あらすじ:
歴史のあるアパートに引っ越してきたスティーブとネル夫婦。建物全体が補修中であちこち故障の多いこのアパートに不満のあるネルだったが、同じアパートに住む友人も出来た。だが、その友人が約束の場所に現れないまま行方不明となり調べる内、このアパートで住人の行方が分からなくなったのは彼女一人ではないことが分かり ―


Toolbox Murders_23曰く付きの巨大アパート、と言えば『ローズマリーの赤ちゃん』。アレは悪魔系オカルトということで、住人達がヘンな人達だった。で、本作はタイトルから想像も出来ないほどの秘密がアパートに隠されていた、というお話。

夫婦が移り住んだのは1920年代に建てられた「ラスマン・アパート」。ラスマンという人がハリウッドのスターを住まわせるために計画した建物だったが、何故かスター達が建設に関わるのを拒否。それでも建てられたという巨大アパート。作りは大きなホテルのようで廊下を挟んで両側に扉が並ぶ、奥行きも深い建物だ。建築から100年近く経っているのもあり、しょっちゅう止まるエレベーター、お湯が出ないシャワーなど、いつもどこかが壊れていて常に補修中。とは言え、管理人、ドアマン、修理人が常駐している由緒あるアパートでもある。

Toolbox Murders_15住人も多種多様なこのアパートに住むことになった妻のネルは不満だらけ。1日目からシャワーは出ないし、壁が薄くて隣のカップルが喧嘩する声が絶えず聞こえる。研修医の夫はしょっちゅうポケベルで呼び出され落ち着かない上、求職中の自分はこの部屋に引きこもるしかない..。

それでも、ようやく知り合った同じ年代の住人女性。話も合うしで、翌朝、一緒にジョギングをする約束をした。が、時間を過ぎても現れない彼女。ドアマンに聞いても、今日は姿を見ていないと言う。彼女の部屋をノックしても誰も出ない。ヘンに思いながらも数日が過ぎる。

Toolbox Murders_16そして、たまたま自分の部屋の壁の中に抜かれた何本もの歯が入っている小さな缶を見つけ、別の住人からこの建物には妙な話が多い、というような事を聞くにあたり、ネルはこのアパートの調査を始めることに。
そして古い設計図や当時の資料から、この建物には隠された秘密の部屋が1階から最上階まで縦に真っ直ぐ通っていることが判明。オーナーのラスマンはそこを何やらオカルト的な呪術に使おうとしていたことが分かる―

  

Toolbox Murders_22いるんですよねー。おや?と思ったら調べたい。調べ始めたら止まらなくなる人が。
ネルがそうしている間にも、住人の女性が一人、また一人と黒ずくめの男に殺されていく。凶器は工具。金槌や大きなハサミ、電動ノコなんかで次々に惨殺されていく。この男はどこからともなく現れては殺人を犯し、遺体と共にどこへともなく消えていく。調べ回っているネルの後ろにも潜み、次の犠牲者を物色。

この男は誰なのか。
と、いうことは最後に分かるんだけど、例によってこのアパートには怪しい人物が一杯。男に見えて実は女かもしれないし。そして無防備にアパートの中を調べながら徘徊するネルに魔の手が伸びる。

Toolbox Murders_17この犯人の正体と動機には、ちょっと納得しづらいものがあるけど、ネルが隠し部屋を見つけて中に踏み込んで行く様子には、かなりハラハラさせられた。好奇心は強いけど、普通の女性役のアンジェラ・ベティスがなかなかイイ。そして犯人のねぐらの様子にも、ちょっと雑だけどホラー要素満載で思わず「待ってました!」と独り言・・。
何より、不気味で迷路のような古い巨大アパートがいい。建物の中に隠されたもう一つの建物があるなんて、ロマンが感じられますわ。隠し扉だとか隠し部屋って妙にゾクゾクするんですが、なんでだろう。
書いたように、犯人にはあまり魅力が無いので、ネルと一緒に建物を探訪する気持ちで観るのがいいかも。
ちなみに最初に殺される美女は『マーダー・ライド・ショー』のベイビーことシェリ・ムーン。また1978年のオリジナル作品の方は本作と違って女性は裸仕様みたいですね。

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コメント

コメント一覧 (3件)

  • いいですよねー。人には見せられない言えない「秘密」な感じが。
    そう言えば、かなり昔のアメリカ?の連続殺人鬼で医者の男だったと思うんですが、こういった大きな建物を建てて、秘密部屋で殺人を繰り返していたというのが、あったような。確かその建物は「ホテル」だったと..。

  • ラスマンの設定をもう少し掘り下げて描かれてたらもっと面白くなったのに、
    その点残念ではありますが、ホラーをみた!!という気分にさせてくれる
    正統派なオカルトよりのホラーで、面白かったです
    私はけっこう好みでした
    momorexさんもおっしゃってますが、建物の中に隠し扉だとか、隠し部屋だとか、
    たまらんです

  • ツールボックス・マーダー

    なんだか教科書のような正統派B級ホラー。殺人鬼ラスマンが使う釘打ち銃や電動ドリルなどの大工道具類は非常に身近でわかりやすい。それぞれの殺人での使い方もバラバラで同じではないのもいいですね。これトビー・フーパー監督作品なんですね〜
    ヒロインを演じるのは孤独少女MAY(まだ見てない)の主演女優さん。
    舞台がハリウッドの古びたアパートというのもいいですね。アパートの住民達も個性的でした。爛れた…

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