『叫(さけび)』(2006/日本)

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これは怖い 赤い服の女幽霊がどんどんアクティブに出てくるが、普通なら“出過ぎでしょ”となるところを、現れる度にゾッとする。これが日本幽霊ものの底力か!怖い映画を観たい時にはオススメですよ。夜、部屋を暗くして鑑賞すると、なおよしです。
 

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■ 叫(さけび)■ 2006年/日本/104分
監督:黒沢 清
脚本:黒沢 清
撮影:芦澤明子
音楽:蓜島邦明

出演:
役所広司(吉岡登)
小西真奈美(仁村春江)
葉月里緒奈(赤い服の女)
伊原剛志(宮地徹)
オダギリジョー(精神科医・高木)
加瀬 亮(作業船の船員)
平山広行(刑事・桜井)

解説:
「CURE キュア」「ドッペルゲンガー」の黒沢清監督が、再び役所広司を主演に迎えて贈るミステリー・ホラー。不可解な連続殺人事件の謎を追う一人の刑事が、やがて忘れ去られた過去の記憶の迷宮に呑み込まれ混乱と恐怖に苛まれていく姿を描く。(allcinema)
 
あらすじ:
東京湾岸地帯で“赤い服”を着た女の殺人死体が発見された。捜査に当たることになった刑事吉岡は、現場に残された証拠が自分を指していることに気付く。そうするうち、同様の手口による殺人事件が起き、同じ犯人が起こした連続殺人ではないかと思われるようになるが ―

英題:Retribution(悪業などの当然の報い、懲罰、応報、天罰)


叫_16東京湾岸の埋め立て地。
度々起きる地震で液状化が起きてあちこちに水溜まりが。開発が進んでいるのかいないのか、工事途中のままになっているところも多数ある。刑事の吉川が住んでいる古い団地も、この埋め立て地にある。
見捨てられたようなこの場所で一人の女が殺される。赤いワンピースを着て、水溜まりに顔を突っ伏した形で見つかった女の胃には大量の海水が残されていた。
 
短気でいつも気むずかしい表情の吉川は、同僚の宮地と捜査を始める。だが女の指に残されていた指紋が自分のものだったり、遺棄現場に落ちていた服のボタンが、自分のコートの取れて無くなったボタンと同型だったりで、自身を信じられなくなっていく吉川。不安定で、怒りっぽくなってしまう彼の慰めは、恋人春江の存在だけだった。
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独自に捜査を進めていく吉川。しかしこの頃から彼に赤い服の女が見えるようになる。はじめは微かな影だけだったのが、自宅の部屋に現れるようになった頃には、その姿がはっきりと見え、言葉さえ発するように。自分が捜査担当だからなのか、それとも自分がこの女を殺した犯人だからなのか..。
ますます混乱していく吉川をよそに、また新たな死体が発見された。いまだ身元が特定できていない赤い服の女と同じ姿勢で、胃には海水が残っていた―
 

  

 
叫_22上だけ読むと、よくある刑事物サスペンスみたいだけど、、
最初は目の端にちらっと映る赤い影。次には陰気な吉川の部屋の暗がりに、鏡に。そしてはっきりと姿を現し、吉川にすすーーっと近付いてくる女幽霊。そして恨み言を恨めしそうに話し出す。ヒィー
こんなに次々と現れるのに、怖いんですよ。触ることも会話することも可能な、ただの顔色の悪い美人ではない。その身体から発せられる陰気で強力なマイナスパワーが、心底ゾッとさせる。
吉川に近付いてどんどん顔がアップになる場面があるんだけど、よく見てみたいから一人で凝視してたら、その恨みの表情にヒィーとなった
昔ながらの白い経帷子でもないし、洋装で今風の髪型なのに、この「赤」という色もイヤな色だなー。赤だから、少し現れただけでもすぐに見つけられるし。そしてこの女の動き方ね。貞子風カクカクは、もはや見慣れてしまったけれど、あの日本古来の「恨めしや~」のポーズ。少し上げた腕から前にしなだれ落ちる細い指・・・
叫_21そして「水」ですよ。この映画の場合は「海水」もだけど、舞台が埋め立て地であちこちに水溜まり。「水」には霊が寄ってくるとか言うし、素晴らしい舞台設定だ。
その上、吉川の住む団地の古くてみすぼらしいこと。部屋の中は案外、広いアメリカのワンルームみたいでよく見ればカッコいいんだけど、部屋の隅に暗がりが多すぎる。姿見を置くのはやめようよ、絶対、何か映るから。
 
 
叫_12この女は「水」を介して人に取り憑く。取り憑かれながらも捜査を続けた吉川は、ある事実を思い出す。そして今まで見えていなかった現実を直視することになる。この映画に出てくる薄幸の美女達が訴えかけてくるものは、最後に全て明かされるが、その後、吉川がどうなったのかは、分からない・・・
 
・・・どうなったんでしょうね