『ミスター・ノーバディ』(2009) - Mr. Nobody –

「どの人生だとしても悔い無し」

■ミスター・ノーバディ -Mr.Nobody-■
2009年/フランス・ドイツ・カナダ・ベルギー/140分
監督:ジャコ・ヴァン・ドルマル
脚本:ジャコ・ヴァン・ドルマル
製作:フィリップ・ゴドー
製作総指揮:ジャン=イヴ・アスラン、オリヴィエ・ローサン
音楽:ピエール・ヴァン・ドルマル
撮影:クリストフ・ボーカルヌ
出演:ジャレッド・レト(ニモ・ノーバディ)
ダイアン・クルーガー(アンナ)
サラ・ポーリー(エリース)
リン・ダン・ファン(ジーン)
リス・エヴァンス(ニモの父親)
ナターシャ・リトル(ニモの母親)
トビー・レグボ(15歳のニモ)

解説:
不死が実現した未来で、死を迎える最後の人間となった主人公。彼はありえたかもしれない幾多の人生を語り出す。奇才J.V.ドルマル監督が放つ異色のSFファンタジー。 (WOWOW)

あらすじ:
2092年。科学の進化により不死を手に入れた人類。
そんな世界の中で、人類最後の死にゆく老人‘ニモ’。死期が近くなった彼に一人のジャーナリストがインタビューする。「人間が不死になる前の世界はどういったものでしたか?」
語り始めた老人のストーリーは、もしあの時こうしていたら、もしあの時こう言っていたら、、という幾重もの人生を紡ぎ出していくものだった-


ある老人の人生回想シーンを繋げて作られた本作。
それは母親から生まれる以前、赤ん坊がどの親の元に生まれるかを選択するところから始まる。幸せそうな新婚さんを親に選んだニモ。だが、二人が離婚することになり、どちらと一緒に住むかを選択しなくてはならなくなった。出発する母親を選んだのか?それとも残る父親を選んだのか?

この作品は、ニモの選択肢の全てを映像にし物語にしていく。
いくつもの選択。いくつもの出会い。いくつもの挫折。いくつもの人生。
人は岐路に立ったとき、どうやって道を選んでいくのか?選ばなければどうなるのか?
本当にこれでよかったのか?

監督はジャコ・ヴァン・ドルマル
Jaco-Van-Dormael1957年、ベルギー生まれ。
サーカスでピエロを演じたり、児童劇団の運営をするかたわら、20代から短編映画を撮り始める。1991年に初の長編映画『トト・ザ・ヒーロー』を製作。
●簡単なあらすじ
老人ホームで暮らすトマ老人は自分が産院の火事の際にカント家のアルフレッドと取り替えられてしまったと信じている。すべての幸福を奪われてしまった人生の思い出が浮かんでくる。8歳のトマの夢は、TVの名探偵トトになることだった。向かいの家に住むアルフレッドに比べればつつましい暮しだが、仲睦まじい家族に包まれて、トマは幸せだったが-

この『トト・ザ・ヒーロー』に本作『ミスター・ノーバディ』の片鱗が垣間見える。
この設定は監督自身に何か思い入れがあるのだろうか。
『トト・ザ・ヒーロー』はヨーロッパ映画賞で主演男優賞、新人監督賞、脚本賞、撮影賞を受賞。さらには第44回カンヌ国際映画祭にてカメラ・ドールを受賞した。
他の作品として『八日目』がある。

ジャレッド・レト(ニモ・ノーバディ)
ノーバディ(誰でも無い)という掴みどころの無い役を自然な形で見事に演じた。

ジャレッド・レトは『ファイト・クラブ(1999)』でぼこぼこに殴られた後、『レクイエム・フォー・ドリーム(2000)』で麻薬中毒に陥る主人公を演じて高い評価を得た。『アレキサンダー(2004)』『ロード・オブ・ウォー(2005)』出演の後、『チャプター27(2007)』でジョン・レノンを暗殺したマーク・チャップマンを演じる。この時、役のために2ヶ月で30キロ増量したことは有名だ。
その後、『ロンリーハート(2007)』では、アメリカ合衆国に実在した殺人鬼カップルのレイモンド・フェルナンデスで主役を。この端正な顔立ちの優しげな青年が、狂気の人を演じ続けるのには何か理由があるのだろうか。
1971年生まれ。もう40歳なんですね。見えない。

ダイアン・クルーガー(アンナ)
Mr. Nobody_14ドイツの女優、ファッションモデルでフランス映画への出演も多い。『トロイ(2004)』絶世の美女役でハリウッドに進出。
ナショナル・トレジャー(2004)』などのメジャー作品で知られるが、この人の真価は本作『ミスター・ノーバディ』や『イングロリアス・バスターズ(2009)』などの少し変わった作品、また『すべて彼女のために(2008)』のようなヨーロッパ作品で発揮される。
か弱いように見えて心の強さのある女性の役がうまい。1976年生まれ


人は常に何かを決めながら生きている。
今日の昼食は?何時に寝よう?明日何を着ていこう?
誰と会い、誰と付き合い、誰と結婚しよう?
選べるのは一つだけ。そこに間違いは無い。失敗も無い。なぜなら自分で決めたことだから。
-果たしてそうか-?

だがニモは振り返らない。
たとえどんな結果になったとしても、持てる力と愛で出来ることをさらに選び取っていく。
彼に「後悔」という概念は無い。なぜなら、それは全て自分自身で選び取った人生の一コマだから。

ではまた

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コメント

コメント一覧 (3件)

  • 本当に、映画数本分のボリュームありますね。
    ぷっつんさんの記事も読ませて頂きました。
    あまりに高度な分析で、コメントさせて頂くのも恐れおおく。。読み逃げさせてもらいました。
    すみません

  • 監督の意欲作!って感じでしたね。
    SFなのに2回以上観ても飽きなさそうな感じがします。

  • まとめteみた.【『ミスター・ノーバディ』(2009) – Mr. Nobody -】

    「どの人生だとしても悔い無し」■ミスター・ノーバディ-Mr.Nobody-■2009年/フランス・ドイツ・カナダ・フィリップ・ゴドー製作総指揮:ジャン=イヴ・アスラン、オリヴィエ・ローサン

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