『ダラスの熱い日』(1973) - Executive Action –

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以前から一度観てみたいと思っていたら、時節柄なのかCSで放送していたので視聴。ケネディ大統領の一日を追った作品なのかなと観ていくと、ずばり暗殺犯側の一日、というか準備から実行までの詳細な話だった。これを暗殺からたった10年で公開したとは。 ファーストネームで呼び合っているけど実在する人物ですよね?暗殺集団は..

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■ダラスの熱い日 - Executive Action -■

1973年/アメリカ/91分
監督:デイヴィッド・ミラー
脚本:ダルトン・トランボ
原作:ドナルド・フリード、マーク・レーン「ダラスの熱い日」
製作:エドワード・ルイス
撮影:ロバート・ステッドマン
音楽:ランディ・エデルマン
出演:
バート・ランカスター(J・ファーリントン)
ロバート・ライアン(フォスター)
ギルバート・グリーン(ポーリッツ)
ウィル・ギア(ファーガソン)
ジョン・アンダーソン(ハリディ)
エド・ローター(チームAチーフ)

解説:
テキサス州ダラスで起きたケネディ大統領暗殺事件を、仮定に基づいて陰謀劇に仕立て上げた作品。硬派なキャスティングも効果的だ。

あらすじ:
元CIAの高官の呼びかけで、タカ派の政財界の大物が集まった。彼らは、リベラルな政治を推進するケネディに危機感を覚え、彼の暗殺を画策する。そして、暗殺チームを編成する一方、オズワルドという男を犯人に仕立て上げようとするが-
 (allcinema)

Executive Action:暗殺作戦


1963年11月22日金曜日:正午過ぎ ケネディ大統領暗殺

暗殺犯については各種の説があるが、現在、公に発表され(たまま)ているのはリー・ハーヴェイ・オズワルドによる単独犯行。しかしこのオズワルドも逮捕後すぐにジャック・ルビーによって射殺され、真相は闇の中。大統領が暗殺されたというのに、こんな中途半端なものでは納得できないと、詳細に調査、研究し自身の仮説を著したのがドナルド・フリードと弁護士マーク・レーン。彼らの仮説に基づき映画化されたのが本作となる。

Executive Action_12ケネディはアメリカの「変化と進歩」をスローガンに国内を浄化させようとしていた。具体的には人種差別の完全なる撤廃や石油産業、軍事基地の縮小、ベトナムのアメリカ兵撤収などである。これらは全て利権が絡むことであり、ケネディのこの政策に一番不満を感じたのは軍産複合体(軍需産業を中心とした私企業と軍隊、および政府機関が形成する政治的・経済的・軍事的な勢力の連合体)の重鎮だった。彼らは大統領職から引きずり下ろそうとケネディのスキャンダルを見つけようとしたが、ケネディはあまりにクリーン。そして出た結論が暗殺だったのだ。
実行犯には失敗したピッグス湾事件でクビになった元CIA職員を、暗殺の濡れ衣を着せるためにオズワルドを用意し、その日を待った。

Executive Action_16テキサス州ダラスが決行場所に選ばれたのは
・二期目大統領選挙の遊説先の一つ
・反ケネディ派の存在
・パレードの道程に狙撃しやすい場所がある
・「親しみやすく、毅然としたイメージ」をアピールするため、パレード車はオープン仕様
・シークレットサービス人員の少なさ
などがあるようだが、中でも3つめの「狙撃しやすい場所」が注目され選ばれた。
そして当日、有名な教科書倉庫、レコードビル、生け垣の3ヵ所に人員が配備され実行。暗殺は成功した。

本作では他にもオズワルドの背景(ソ連との関わり、反カストロ派の活動など)も紹介されている。この暗殺作戦には、オズワルドのそっくりさんによるライフル銃の購入やもめごとなどを起こさせ、ろくでもない人物「リー・オズワルド」としてダラスの人々に印象づける操作も行われていた。
どちらにせよ、事前にパレード行程が漏れる、大統領のシークレットサービスがたったの8人など今では考えられない重大な問題がたくさんあり、暗殺はたやすかった時代だったのだろう。
暗殺集団は事後のことにも抜かりはなく、直後にワシントンの電話を不通にさせるなどを行い、国中を混乱させたとも言える。それに乗じて実行犯は国外に脱出した。


以上がドナルド・フリードとマーク・レーンの仮説だ。
いくつもの事実の断片を繋ぎ合わせ仕上がったのがこのストーリーで、登場する重鎮達の名前ははっきりとは出てこないが想像できる余地は充分残されている。
作戦を練る重鎮達のシーンの間に実際のニュース映像などが挟まれ、本作全てがドキュメンタリーのようで非常に説得力がある仕上がり。同じような手法で他の仮説も映画になれば面白いと思う。

ケネディ大統領暗殺事件 各種陰謀論
・マフィア壊滅作戦に反発したサム・ジアンカーナを中心としたマフィア主犯説
・軍産複合体の意を受けた政府主犯説
・ニキータ・フルシチョフの命を受けた KGB 主犯説
・暗殺されそうになったことに激怒したフィデル・カストロ主犯説
・ピッグス湾事件の失敗を恨む亡命キューバ人主犯説
・解任されたことを根に持った元 CIA 長官アレン・ダレス主犯説
・FBI 長官ジョン・エドガー・フーヴァー主犯説
・大統領の座を狙った副大統領ジョンソン主犯説
・大統領選挙で敗れたニクソン主犯説

関連作品
【映画】
・『JFK』 – JFK
・『ダラスの熱い日』 – Executive Action
・『タイムクエスト』- Timeques
・『ザ・シークレット・サービス』- In the Line of Fire
・『ダラスの長い日』- Ruby and Oswald
・『ウォッチメン』- Watchmen

【ドラマ】
・「ダークスカイ」 – Dark Skies (1996)
・「PAN AM/パンナム」 – Pan Am (2011-)

【ドキュメンタリ】
・「発掘テープが語る ケネディ暗殺」(製作:Tom Jennings Productions アメリカ 2009年)
・「JFK アメリカを変えた三発の銃弾」(ヒストリーチャンネル 2010年)
・「ケネディ大統領暗殺後の24時間」(ヒストリーチャンネル 2010年)

(Wiki:ケネディ大統領暗殺事件)

この後、1968年の大統領選に出馬した弟ロバート・ケネディの暗殺、息子ジョン・F・ケネディJr.の事故死など不幸が続いたケネディ家。そのケネディ家から娘キャロライン・ケネディ氏が2013年11月16日、在日本アメリカ合衆国大使として着任する。彼女は後の大統領候補となるのだろうか。

アメリカの公文書は50年経てば一般公開されるので、もしかしたら今年、ウォーレン委員会調査報告書が公開されるのか?もしかしたら報告書が出来てから50年なのかなーと思っていたら、、この「ケネディ暗殺事件」報告書は特別に2039年まで封印されているらしい。・・・なんと、50年経った現在でも重鎮の手は緩まないのか―

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