『ドミノ』(2005) - Domino –

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「イカれてる」 こんな言葉がぴったりの本作『ドミノ』。どの登場人物も犯罪者、犯罪者すれすれのイカれた人間達だが、どこか憎めない魅力がたっぷり。監督トニー・スコットがこのイカれた実話ベースのお話を、まるでミュージックビデオのように描いている。キーラ・ナイトレイ出演作の中でも特にお気に入りだ。第2段階のミッキー・ロークも他作品に比べて比較的普通でカッコいい(アイアンマンとかヤメテクレ)。
 
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■ドミノ - Domino -■

2005年/アメリカ・フランス/127分
監督:トニー・スコット
脚本:リチャード・ケリー
製作:トニー・スコット 他
製作総指揮:リサ・エルジー 他
撮影:ダニエル・ミンデル
音楽:ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
出演:
キーラ・ナイトレイ(ドミノ・ハーヴェイ)
ミッキー・ローク(エド・モズビー)
エドガー・ラミレス(チョコ)
リズワン・アバシ(アルフ)
ルーシー・リュー(タリン・マイルズ)
クリストファー・ウォーケン(マーク・ハイス)
デルロイ・リンドー(クレアモント)
モニーク(ラティーシャ)
ジャクリーン・ビセット(ドミノ母)
ブライアン・オースティン・グリーン(本人)
イアン・ジーリング(本人)

解説:
ハリウッド・スターを父に持ち、自身もモデルとして活躍しながらも、いつしかバウンティ・ハンター(賞金稼ぎ)への道を歩み始めた実在の女性ドミノ・ハーヴェイの型破りな人生を映画化。主演は「パイレーツ・オブ・カリビアン」のキーラ・ナイトレイ。監督は「マイ・ボディガード」のトニー・スコット。なお、奇しくも本作の完成と相前後して、35歳になるドミノ本人が自宅の浴槽で不慮の死を遂げるという訃報が伝えられ、関係者や映画ファンを驚かせた。
 (allcinema)
 
あらすじ:
名優ローレンス・ハーヴェイの娘としてロンドンで生まれたドミノ。恵まれた生活の中で幸せな日々を送っていたが、父親が急死し、再婚相手を探すことだけに躍起になっている母親に反抗するように。15歳でトップモデルとして活躍を始めた彼女は周りの人間と常に衝突。ビバリーヒルズに移り住んだ後も問題行動が絶えず、大学を退学し荒れた日々を送っていた。そんなある日、新聞広告に載っている「賞金稼ぎ募集」という文字に目がとまり-


両親がセレブという何不自由ない家庭に生まれながら、父親が亡くなったのをきっかけに外の世界に飛び出すことを夢見ていたドミノ。馴染めない大学で問題ばかり起こして退学。その後は家にも寄りつかず荒れた生活が続く。そして見つけた転職ともいうべき職が「賞金稼ぎ」。そこで出会った仲間とは家族同然になり、充実した毎日を送るようになったが、あるマフィアがらみの事件に巻き込まれてしまう。
 
Domino_11本作は実在の人物ドミノ・ハーヴェイ(実名)の自伝的物語。
彼女は容姿端麗でプロのモデルをこなすほどだったが、ドレスのブランドがどうの、髪の色がどうの、あの人がどうの、といった世界には全く馴染まなかった。というよりも、もっと根本的に「女性性」を否定しているかに見える。大学をやめて髪をばっさりショートにしてヌンチャクを練習し、いつも指先にはコインが遊ぶ。銃も扱えるドミノはまるで西部劇に出てくる若いガンマンのようだ。自分の身は自分で守る。
セレブのお嬢さんだった彼女が父親亡き後、ずっと見てきた母親は次の再婚相手を必死になって探す背中だけ。名を呼んで抱きしめてくれた父親とは大きく違っていた。結婚相手に全て依存する、豊かな生活を送るために少しでも条件のいい相手を探す。そんな女生とは対極にありたいと願った結果だろう。
 
そして彼女は居所を見つける。― 賞金稼ぎ(バウンティ・ハンター)

アメリカのバウンティハンター
 
Domino_17現代のアメリカにおけるバウンティハンターとは、保釈保証業者(Bail bondsman)からの逃亡者を捕まえて賞金を受け取る業者である。根拠となる法律は州によって異なり、免許を必要とする州もあれば不要の州も一部には存在する。然し、荒くれハンターによるミスが各地で問いただされていて、現在は専用身分証、身分章(バッジ)などの携帯義務を課せられている。 州を越えた追跡が出来ない自治体警察以上の権限を持つ捜査員(連邦保安官とは違い、私立探偵同様に、飽くまで州法務省の許可を受けた民間業者)。
犯罪大国アメリカでは、被疑者の保釈金を立て替える行為が一般化しているが、この保釈金は高額なため踏み倒そうとする者が後を絶たない。この逃亡者を捕まえ、没収された保証金を取り立てるべく保釈保証業者に引き渡すのがバウンティハンターの主業務である。(Wiki:バウンティハンター)

Domino_22ただのいきがった小娘と思われていたが、きちんと仕事をするドミノにリーダー格エドと相棒のチョコは彼女を仲間として認め、運転手役アルフを含めた4人は家族同然のチームワークで仕事をこなしていく。
そんな彼らに目を付けたハリウッドのリアリティ番組プロデューサーのハイス。ドラマ「ビバリー・ヒルズ青春白書」出演スター2人を付けて密着取材を始めた。そこに入ってきた1つの仕事。それはいつもと同じ補償金を踏み倒したとされる大学生を含む4人を捕まえることだった。簡単に仕事を終えて指定の場所へ連れて行ったが、引き取り手がどうみてもマフィア。おかしいと思い4人のデータにアクセスしたドミノは彼らに逮捕の経歴が無いことを知る。そして大学生の1人が地元で有名なマフィアのボスの一人息子であることも―
 

  

 
Domino_25賞金稼ぎという派手なものを扱いながら、それは単なるベースであり、描いているのは人と人との関係だ。
ドミノと母親の関係、ドミノと仲間の関係。もっと細かくエドとチョコ、チョコとドミノ、ドミノと尋問するFBI捜査官の関係も面白い。大事な場面でスペイン語を話すチョコ、運転手アルフはアフガニスタン出身で、そんな絡みも加えている。またハリウッドの世界も皮肉っていて、「ビバヒル」出演者の1人をドミノに殴らせ、番組プロデューサーを笑いものに。そのプロデューサー役がクリストファー・ウォーケンというところが又面白い。
マフィア絡みの事件の発端が、ある黒人女性の病気の孫で、手術のために大金が必要になった事というのも、あながち作り物のお話には見えなくて、色々なアメリカの問題をこの作品に放り込んでいるようだ。
 

ドミノ・ハーヴェイ
Domino_241969年8月9日、イングランド・ロンドンにて、俳優のローレンス・ハーヴェイとモデルのポーリーン・ストーンの娘として生まれる。名前のドミノはドミニク・サンダに由来する。ソフィーという異父姉がいる。1973年にローレンスが亡くなる。
15歳の時にフォード・モデルズに所属し、モデルとしてキャリアを始める。また、ロンドンのナイトクラブの経営もしていたといわれている。19歳または20歳の時にアメリカ合衆国ロサンゼルス市内のビバリーヒルズに移住。
モデルを辞め、様々な職業に就く。新聞に掲載された「バウンティ・ハンター募集」を見て、賞金稼ぎとなる。
モデル時代から麻薬中毒であり、リハビリ施設にいたこともあった。2005年6月27日、ウェスト・ハリウッドにある自宅の浴槽で亡くなった。死因は薬物のオーバードースとみられている。

ラスト近く、ずっとクールに徹していたドミノがチョコと心を通わせ、母親との確執を乗り越えた時、ようやくドミノは人生の一歩を踏み出したように思えた。