『狼たちの報酬』(2007) -The Air I Breathe-

The Air I Breathe 
出口を探す物語-
 
順調に人生を歩んできた真面目な銀行マン。
職もあり家もある。
だが足りない。自分はもっと大きなものを掴むはずだと考えている。
 
未来のかけらが透視できるギャングの手下。
未来が見えても状況は変わらない。未来を変えることは出来ない。
その事に耐えるだけの寡黙な男。
 
人気ポップスター。
虚像である自分に慣れてしまっている。
幼いときに目の前で父を亡くし喪失感に苛まれているが、本人は気づいていない。
 
清潔感漂う医師。
学生時代から愛していた人は親友と結婚。
3人今でも仲がいいが、その人をずっと愛し続けている。
 
そんな4人のオムニバス的な個々の話が絡み合う群像劇。

■狼たちの報酬 -The Air I Breathe-■
2007年/メキシコ・アメリカ/97分
監督:ジエホ・リー
脚本:ジエホ・リー、ボブ・デローサ
出演:
フォレスト・ウィテカー
ブレンダン・フレイザー
サラ・ミシェル・ゲラー
ケヴィン・ベーコン
アンディ・ガルシア
ジュリー・デルピー

The Air I Breathe_2007 
豪華な俳優陣を使った映画なのに日本劇場未公開。
DVDは2010年12月3日に発売されている。
いや、タイトルからフランスのフィルム・ノワール的なものか、マフィアものかと思ってた。録画してたものを今日観て、群像劇好きにはいいもの拾った気分です。
 


 
名前の無い4人の登場人物。
それぞれの世界で自分が思っていたくらいには成功しているが満足とはいえず、何かを模索している。結果的にその4人に探していたものを与えることになる狂言廻し役がギャングのボスというのが面白い。しかしこのギャングのボスも今の仕事は時代遅れと感じ、次なる稼ぎの手段を探している。
 
 
銀行マンにフォレスト・ウィテカー
The Air I Breathe_2007
親しい友人もなく、おどおどした毎日に嫌気がさしている。
いつもは存在感のある役どころが多いが、今作では日常に埋没するかのような小さな人間の役。
最後に開放感に満ちあふれ幸せな一杯な様子が描かれるが、晴れ渡った空と重なって印象的だった。アメリカドラマ『ザ・シールド ルール無用の警察バッジ』での強烈な内部監査官キャバナーとはまるで違った役どころ。
 
 
ギャングの手下にブレンダン・フレイザー
The Air I Breathe_2007
寡黙で影のある男役。
この人はちゃらけた『ハムナプトラ』なんかもいいけど、こういった役の方が断然いいですね。『クラッシュ』(2004)の検察役も良かった(これも群像劇ですね)。
 
 
ポップスターサラ・ミシェル・ゲラー
The Air I Breathe_2007
この人は年を取らないんですか?
初めて見たのは確かアメリカドラマ『バフィー ~恋する十字架~』(1997~)。『呪怨 パンデミック』(2006)なんかとは比べものにならないほど綺麗でした。
 
 
医師ケヴィン・ベーコン
The Air I Breathe_2007
珍しくさわやかな役どころ。
13日の金曜日』(1980)で殺された後、『フットルース』(1984)でブレイク。出演作はたくさんありますが、自分はショーン・ペンティム・ロビンスと出演した『ミスティック・リバー』(2003)が気に入っている。
 
 
 
実は重要な役どころギャングのボスアンディ・ガルシア
The Air I Breathe_2007
またギャングのボスです。
昔からの‘みかじめ料’やノミ屋の上がりだけではやってけないと考え行動を起こすがうまくいかない。このボスだけが最後まで欲しいものを手にすることが出来ないと。ここが面白いところです。
アンディ・ガルシアの最高傑作は誰がなんと言っても『アンタッチャブル』(1987)だろうなぁ。ケビン・コスナーロバート・デ・ニーロも霞むほどのかっこいいシーンがあったものです。それからの出演作は大体観たけど残念なことに越えるもの無し。
 


 
この映画の最初にこんな名言が映し出されます。
 - 感情の波は、その形を長く保持できない -

ヘンリー・ウォード・ビーチャー牧師

 
一時の感情は一時的なものであって、いつまでも自分の中で続くものではないよ。本来の自分を見失うな、みたいな意味なのか。
 
ところでこの4つの物語にはそれぞれタイトル的なものが付いています。
 幸福 :Happiness
 希望 :Pleasure
 悲哀 :Sorrow
 愛  :Love
これらは彼らに足りないものであり、欲しているもの。
彼らは手に入れることができるのか。それは映画を観てのお楽しみ。
あ、ボスに付けるタイトルがあるとすれば
 欲  :greed
です。あってもあっても尽きないものですね。
 
ではまた