『遊星からの物体X ファーストコンタクト』(2011) - The Thing –

『エイリアン(1979)』と同様、カルト的人気SF作品『遊星からの物体X(1982)』の冒頭から前の3日間を映画化。ノルウェー隊に起こったことが明らかになる。この映画化に関してはかなり前からちらほらと噂されていたが、製作、公開まで結構紆余曲折があったらしい。ともあれ本作は1982年版に出てきたノルウェー基地の様子や事物との整合性がきちんと図られ、1982年版ファンが楽しめる要素もあるが、、

The Thing_2011 

■遊星からの物体X ファーストコンタクト - The Thing -■
2011年/アメリカ/104分
監督:マシーズ・ヴァン・ヘイニンゲン・Jr.
脚本:エリック・ハイセラー
原作:ジョン・W・キャンベル「影が行く」
製作:エリック・ニューマン、マーク・エイブラハム
製作総指揮:J・マイルズ・デイル、デビッド・フォスター他
撮影:ミシェル・アブラモヴィッチ
音楽:マルコ・ベルトラミ
出演:
メアリー・エリザベス・ウィンステッド(ケイト)
ジョエル・エドガートン(サム)
ウルリク・トムセン(サンダー・ハルヴァーソン博士)
アドウェール・アキノエ=アグバエ(デレク・ジェイムソン)
エリック・クリスチャン・オルセン(アダム・フィンチ)
トロンド・エスペン・サイム(エドヴァルド・ウォルナー)
クリストファー・ヒブュ(ジョナス)
ヨルゲン・ラングヘラ (ラース)
 
解説:
ジョン・W・キャンベル・Jrの傑作短編SF『影が行く』の、51年のハワード・ホークス製作版、82年のジョン・カーペンター監督版に続く3度目の映画化にして、ジョン・カーペンター版をベースにその前日譚を描くSFホラー。南極のノルウェー基地で発見された未知の生命体によって隊員たちが次々と犠牲になっていくさまと、誰の体内に侵入したか分からず隊員同士が互いに疑心暗鬼に陥っていく恐怖を、特殊メイクをメインにしたホラー演出で描き出していく。主演は「スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団」のメアリー・エリザベス・ウィンステッド。監督はCMを中心に活躍し、これが長編デビューとなるマシーズ・ヴァン・ヘイニンゲン・Jr。
 (allcinema)
 
あらすじ:
1982年、南極。ノルウェー南極観測隊が古代の氷層に埋まる巨大宇宙船と地球外生命体の遺体を発見。ことの重大さに緊急調査チームをアメリカからも招集。早速調査が始まったが、死んでいると思われた地球外生命体が蘇生、隊員達を襲い始める-

 


 
The Thing_2011_08ノルウェー南極観測隊が未知の信号を受け偶然見つけた古代の氷層に埋まる巨大宇宙船と地球外生命体の遺体。この人類史の革命ともいえる発見の調査は極秘裏に行われ、アメリカの古生物学者ケイトも参加することになった。指揮するノルウェーのハルヴァーソン博士は、殺菌もされていないから危険だと進言するケイトを無視し、氷層から切り出した地球外生命体の組織サンプルを、なんとも危険かつ安直な方法で取り出す。
 

ほら、発見されたツタンカーメンの墓に踏み込んで、古代のウィルスに感染、次々死亡とか、あったじゃないですか。1980年代ではまだ「呪い」と言われていたのかなー。最近でも南極とかの古代の氷層に仮死状態で眠る未知のウィルスが人類を脅かすとかのニュースもありました。これは温暖化のキャンペーンだったか..

 
このサンプルを調べた結果、地球上の生物のものでは無いことが判明。チームは世紀の発見に喜ぶ。しかしそれもつかの間、巨大な氷塊に固められていたはずの死んだ地球外生命体=物体Xが蘇生、氷塊を突き破り屋外へ逃走。チームはいくつものグループに分かれて捜索を始めるが、隊員の犬が殺され、見つけた隊員1人が襲われて見るもおぞましい無残な方法で殺される。この物体Xは無事、火炎放射器で焼き殺し、隊員達一同はとりあえず胸をなでおろすが、このとき皆は知らずにいた。物体Xの生物的特徴とそれが一つであって一つではないことを-
 
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その後、犠牲者となった隊員と一体になった物体Xを調査。物体Xがヒトを取り込み細胞レベルで複製、そのヒトになりすますことが出来ることをケイトは突き止める。しかしあまりにも荒唐無稽な話に信じられない他の博士と隊員達。
The Thing_2011_11細胞レベルで生きていけるということは、血液1滴でも危険だと判断したケイトはこの基地は危機的状況に陥ったとし、皆がこの基地を離れることを阻止するべく動く。これはあまりにも凶暴で危険なウィルスなのだ。
 
が、すでに時は遅かった。それは落ちた血液から増殖、ヒトを襲いなりすましていた。どの隊員がそれなのかは分からない。皆の血液サンプルを採り調べようとしたが、それに機材を燃やされてしまった。
いったい誰がそれなのか?狭い基地の中で正体の分からない恐るべき敵と一緒にいる極限状態が隊員達を蝕んでいく-


 
いつも思うのだけれども、1970~80年代のホラーものなどのリメイク、続編等はなぜかあまり怖くない。CGによるVFX(視覚効果)などを使っての「無い物をあるように見せる」技術はすごく進歩しているというのに、だからなのかそこに生々しさが感じられない(CGの見過ぎか、年取ったせいか、性格が曲がったか、そういうせいかもしれませんが..)。
 
The Thing_1982本作では「アニマトロニクス(生物を模したロボットを使って撮影する技術)や操演、着ぐるみをベースに、それらを補完する形でCGによるVFXが利用されている」ということで、そんなにCGしていないものの、やはり1982年のジョン・カーペンター版の方が恐ろしく感じられ、それはリドリー・スコットの『エイリアン』を初めて観た時と共通するものがある(あのぷらんぷらんとぶら下がっている隊員の頭や、リプリーの横から出てくるエイリアンの口の中の触手怖かったー)。

思うに、ホラーというのは個別の化け物、幽霊、エイリアンやワンショットが怖いというのも大事だが、全編を覆う不気味な背景や色彩、影、音、などから受ける恐怖感も大事なのかな、と。近年、ハイビジョンになってあまりにはっきり見えるから、それが嬉しい..のとは逆に、正体不明の怖さというものが犠牲にされている部分があるのかもしれない。
本作でも一番どきどきしたのは、ケイトが物体Xに追い詰められ隠れながらも落ちた手榴弾を拾おうとしているところ。ホラーはやっぱりこれがなくちゃね。
ではまた