『テイク・シェルター』(2011) - Take Shelter –

誰も気づかない、誰も信じない-
この恐怖は悪夢か、現実か。


 

Take Shelter_22

 
■テイク・シェルター - Take Shelter -■
2011年/アメリカ/121分
監督:ジェフ・ニコルズ
脚本:ジェフ・ニコルズ
製作:タイラー・デイヴィッドソン、ソフィア・リン
製作総指揮:サラ・グリーン、ブライアン・カヴァノー=ジョーンズ他
撮影:アダム・ストーン
音楽:デイヴィッド・ウィンゴ
 
出演
マイケル・シャノン(カーティス・ラフォーシュ)
ジェシカ・チャステイン(サマンサ・ラフォーシュ)
トーヴァ・スチュワート(ハンナ)
シア・ウィグハム(デュワート)
ケイティ・ミクソン(ナット)
キャシー・ベイカー(サラ)
ロバート・ロングストリート(ジム)
 
解説:
竜巻の恐怖に囚われ、周囲の困惑をよそに愛する家族を守るシェルター作りに取り憑かれていく男の姿を緊張感溢れる筆致で描く異色の心理スリラー。主演は「レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで」のマイケル・シャノン、共演に「ツリー・オブ・ライフ」のジェシカ・チャステイン。監督は本作が長編2作目の新鋭ジェフ・ニコルズ。
  (allcinema)
 
あらすじ:
Take Shelter_08小さな田舎町の工事現場で働くカーティスは、理解のある妻サマンサと耳の不自由な娘ハンナとともに幸せに暮らしていた。
しかしある時をさかいに、大災害に襲われ、娘を奪われるという悪夢を見始める。何度も続く悪夢のリアルなイメージに苦しめられ、徐々に情緒が不安定になっていった彼は、災害時に逃げ込むことが出来るシェルター作りに没頭し始める。
そのあまりの常軌を逸した行動に、家族や友人達は次第に彼と距離をとり始めるが-


 
マイケル・シャノンが出ているからと、なにげに借りてみた本作。
よくある設定ではあるのだが、マイケル・シャノンのお得意である苦悩する男とそれを支える家族、田舎の日常風景があいまって、人間ドラマでありながら、何か薄ら寒いものを感じるストーリーが続く。それらに被さるように何度も登場する男の悪夢。観客はシャノンによって、あっちへこっちへと振り回され、結末が気になってもぞもぞする。
 
 
Take Shelter_02カーティスはオハイオ州の田舎町で暮らす平凡な男。優しい妻と6歳になる娘がいる。娘は生まれつき耳が聞こえないが、両親の愛情によってすくすくと育っている。仕事は工事現場で働くブルーカラー。上司、同僚にも恵まれ不満は無い。
 
その日もいつものように仕事に向かうため家を出たカーティス。しかし空には分厚い雲が垂れ込め雷鳴が轟き、降ってきた雨はどろりとして黄色い。何か不安に襲われる彼。
そんなある夜、次に見たのは、稲光の中、黄色い雨に打たれた飼い犬が自分にとびかかり、腕を噛まれた夢。悪夢に汗びっしょりで飛び起きた彼だったが、腕は1日痛み、自分はどこかおかしいのだろうかと考え出す。
しかし悪夢は止まらない。それは、もはや悪夢でさえなく、仕事中にも白日夢となって現れだした。すさまじい雷鳴轟く中、無数の黒い鳥が空を覆う。黄色の雨に打たれた人が凶暴化し襲ってくる。
 
Take Shelter_12カーティスは妻には内緒で精神科の医師に相談することを決意する。と、同時に庭に前からあったシェルターの整備に乗り出し、拡張工事をし始めた。奇異な目で見る兄や同僚。妻でさえ理解してくれない。それでもカーティスは最後まで仕上げ、ガスマスクさえ用意した。これでいつひどいトルネードが来ても安心だった。しかし不安はやまない。
悪夢は続き、理解者はいなかった。

 

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Take Shelter_24これは精神のいかれた男の妄想なのか?
しかし、そのすぐ後には妻と娘を愛する優しい男が画面に映る。
トルネード対策にシェルターを作り続ける男は、図書館で精神医学について調べた後、カウンセラーに相談し、精神科に通おうとさえするのだ。
精神のバランスをどんどん壊していく男が見る大災害で不安をあおった後、妻を抱きしめ、娘を抱きしめる男に翻弄されているのは観ているこちら側だ。
あぁー早く結末をーと思わず叫び出しそうになるのをこらえたら、何段階にも分かれた結末が観る者を待っている-。

 
Take Shelter_21

 
 

監督ジェフ・ニコルズ
アメリカ合衆国の映画監督・脚本家・映画プロデューサー。『Shotgun Stories(2007)』、本作『テイク・シェルター(2011)』を監督し、どちらも映画祭で多くの賞を受賞している。
3作目は『Mud』(2012年)で、第65回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門でパルム・ドールを競う予定である。

 

マイケル・シャノン
Take Shelter_031974年生まれ。ケンタッキー州で育ち、シカゴで舞台に立つようになる。1993年より映画に多数出演。
精神病の男を演じた『レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで』でアカデミー助演男優賞にノミネートされた。
■主な出演作
 ・恋はデジャ・ブ(1993)
 ・チェーン・リアクション(1996)
 ・タイガーランド(2000)
 ・バニラ・スカイ(2001)
 ・パール・ハーバー(2001)
 ・8 Mile(2002)
 ・クリミナル(2004)
 ・ワールド・トレード・センター(2006)
 ・その土曜日、7時58分(2007)
 ・レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで(2008)
 ・狂気の行方(2009)
 ・ロシアン・ルーレット(2010)
 ・ボードウォーク・エンパイア 欲望の街(2010)
 ・マン・オブ・スティール(2013)

 

ジェシカ・チャステイン
Take Shelter_27ニューヨークのジュリアード学院演劇部門に通い、複数の舞台や学生映画に出演した。
『ER緊急救命室』、『ヴェロニカ・マーズ』、『女検察官アナベス・チェイス』などのドラマに出演後、2008年、『Jolene』のタイトル・ロールで映画デビュー。
2011年にはテレンス・マリック監督の『ツリー・オブ・ライフ』、アル・パチーノが監督したオスカー・ワイルドの戯曲『サロメ』のドキュメンタリー・ドラマ『Wilde Salome』、レイフ・ファインズ監督によるシェイクスピア悲劇『コリオレイナス』の映画化、キャスリン・ストケットのベストセラー小説の映画化『ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜』を含む6本、翌2012年には禁酒法時代を舞台にしたジョン・ヒルコート監督作『Lawless』とタイトル未定のテレンス・マリック監督作の公開が控える。



 
本作を観終わって調べてみると、すごい受賞歴(以下は一部)。
 ★カンヌ国際映画祭 
  批評家週間グランプリ
  国際批評家連盟賞受賞
  Prix SACD
Take Shelter_09 ★ハリウッド映画祭
  ブレイクスルー女優賞受賞
 ★インディペンデント・スピリット賞 
  特別賞受賞
 ★トロント映画批評家協会賞 
  主演男優賞受賞
  助演女優賞受賞
 
うん。やっぱりみんな面白かったんだ。
ではまた

 


 

 

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コメント

コメント一覧 (1件)

  • テイク・シェルター

     驚異の回復魔法、その名も「チャステイン」!
     
     
     
     
     テイク・シェルター
     (2011年 アメリカ映画)80/100点
     
     
    ひっさしぶりの更新です。
    ずっとインフルエン

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