『スペースバンパイア』(1985) - Lifeforce –

久し振りに観たいなー、と思っていたら、最近何かと古めホラーを放送しているザ・シネマがまたやってくれました。宇宙から持って帰ってしまった全裸の美女に翻弄される人類(特に男性)を描くSFパニック・ヴァンパイアホラー『スペースバンパイア』。思っていたより真面目に壮大に作られていた1本。

■スペースバンパイア - Lifeforce -■

Lifeforce

1985年/イギリス/116分
監督:トビー・フーパー
脚本:ダン・オバノン 他
原作:コリン・ウィルソン「宇宙バンパイア」
製作:メナヘム・ゴーラン 他
撮影:アラン・ヒューム
音楽:ヘンリー・マンシーニ

出演:
スティーヴ・レイルズバック(カールセン大佐)
ピーター・ファース(ケイン大佐)
フランク・フィンレー(ファラーダ教授)
マイケル・ゴザード(ブコフスキー所長)
オーブリー・モリス(パーシー卿)
マチルダ・メイ(バンパイア)

解説:
C・ウィルソンの原作を「ポルターガイスト」のT・フーパーが映画化したSFパニック大作。スペースバンパイアのエネルギーが空を覆う中、精を吸われゾンビと化した人々が街に溢れかえるクライマックスの迫力は凄く、炎に包まれたロンドン市街の映像などスペクタクル・シーンを始め、個々の出来は悪くないが、全体的に1本スジが通っておらず散漫な印象を受けるのが惜しい。東宝マーチを思わせるH・マンシーニらしからぬテーマ曲と、全編裸で押し通す美女バンパイア、M・メイの肢体が印象的。
(allcinema)

あらすじ:
ハレー彗星探査のために宇宙に出向き、そのまま連絡を絶ったスペースシャトル“チャーチル号”。救援に向かったコロンビア号は、船内が火災により黒焦げになっているチャーチル号を発見する。にもかかわらず奥の部屋で透明のケースに収められた無傷の人体3体を見つけた彼らは、解剖のため、ロンドンに持ち帰るが ―


Lifeforce

エイリアン(1979)』でホラーの舞台が宇宙に飛び出した、と思っていたが、本作の原作は1976年に書かれたコリン・ウィルソン著「宇宙バンパイア」。
それもこちらの敵は普通のエイリアンじゃ無い。人間の精気を吸い取ることで数千年もの間、生き長らえ、吸い取られた人間を仲間に変えて増殖していく。
そう。地球上で昔からその存在が囁かれている“吸血鬼”の祖先だったのだ。

その上、この吸精エイリアンの実態は醜い巨大コウモリの姿をしているというのに、目の前の人間が恋い求める理想の姿形に変身することが出来る。その上、その上、人の身体を精神だけでこっちへあっちへと乗り移り、大事な本体は隠しておけるという隠し球まで。

彼らは太古の昔から存在していたらしいエイリアンだが、長く宇宙を放浪している間に仲間のほとんどは死んでしまい、3体だけが手厚く守られ眠りについていた。この彼らの宇宙船がハレー彗星に隠れるように飛んでいたため、チャーチル号の乗組員はこの未知の船を調査するため自ら乗り込んでしまったのだった。

Lifeforce

さて、この美女型エイリアンは見る者を全て虜にし、人間を襲いながら目的に向かって街をうろつく。襲われた人間は精気を吸われて干からびたミイラ状態になるも、すぐに起き上がり自分のために新たな犠牲者を捜し求める。もうその状態は高貴で優雅な“ヴァンパイア”とは程遠く、アレです、アレ“ゾンビ”そのもの。
チャーチル号の生き残りと今回の件を調査している軍の大佐2人が右往左往している間にも街はゾンビで溢れかえり、阿鼻叫喚の図に。
そんな中を美女型エイリアンは目的に一直線に進んでいく。その目的とは、種族の存属。いったい、その相手とは ―


Lifeforce

全裸だけが取りざたされている古いホラーだと思っていたが、ちょいとチープだとはいえ、宇宙空間やスペースシャトル、エイリアンの巨大な母艦は丁寧に描写されている。特にエイリアンの船内は『エイリアン』を彷彿とさせながらも、人の内臓のような造形で気味悪く、その中に浮いている異質な3体の透明ケースが『スーパーマン』のクリスタルを思い出させる。
お話自体はありがちではあるけれど、それを主演のマチルダ・メイの美しい姿態で最後まで押し切った勇気は讃えたい。

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コメント

コメント一覧 (5件)

  • スペースバンパイア 【映画】

    トビー・フーパー監督作品。
     
    そして、綺麗なおねえちゃんの裸がいっぱいっ、
    って感じのイメージがある映画。
     
    いやー、あちきもそれ目当てで見たんだけどねぇ。
     
    いやーー、期待はずれだったよ。
     
    裸の部分はね。
     
    でもでも、映画としては、
    サイコーに良くできたB級映画です。
     
    まぁ、トビー・フーパー監督は、
    わたしのイメージからすると、
    こ級ホラー映画の監督さん…

  • >実写版「宇宙戦艦ヤマト」
    当初は沢尻エリカだったんですか。
    ぅわぁ、それだと雰囲気が大分変わりますよね。
    確かに下着だけが残るのはヘンですよね。全裸といってもアニメのように肌色スーツ状な感じにすればいいのだし。
    どちらにせよ、お子様向け作品でもあるし、無理だったかもしれませんけども…
     
    >マチルダ・メイの最初の犠牲者
    そういえば考えたことありませんでした。
    それこそ全裸で現れて誘惑したのか、心配して駈け寄ってきた善意の人を襲ったのか。
    どっちでしょうね

  •  中古ビデオソフトを購入した時は何度も観ました。
     
     ケイン大佐が「謎の円盤UFO」のストレイカー司令官風でいて、ストレイカーみたいに十字架背負う暗さがなくキビキビ・テキパキ仕事をしている様が小気味良くて物語のテンポを良くしています。
     
     マチルダ・メイの最初の犠牲者は女性で着衣の無い状態でミイラ化遺体で発見されてましたね。どんな風にやられたんだろうと想像してしまいます。
     
     ふと思うのです。実写版「宇宙戦艦ヤマト」で、黒木メイサ扮する森雪がスターシアに憑依されて宇宙服が分解し下着姿になる場面があります。
     もし当初の予定通り森雪役が沢尻エリカだったら、あそこは全裸でしょう。マチルダ・メイより美しい場面になったと思います。

  • やはり(いろんな意味で)吸い寄せられますか

  • こんばんは、わたくしもザ・シネマのオンエア見ておりましたよー。すでに何度も何度も見ている映画なのに個人的嗜好の絡んだ様々な理由で(__;)ついつい繰り返し鑑賞してしまいます。
     
    真面目な話B級(予算的には大作扱いだったと思いますがノリがB級感覚だったという意味で)SF映画としても前半はすごいスケールで、これ最後どうなるんだろうと(どうにもなりませんでしたけど)思わせただけでも大したモンだと思っているのです。
     
    それとマンシーニのテーマ曲も最高に気に入っています(^^)

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