『セブン・サイコパス』(2012) - Seven Psychopaths –

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わざわざ広告に「サイコパス募集」と載せなくても、周りに一杯いましたやんか、なお話。サム・ロックウェルのキレ可愛っぷりが最高で、クリストファー・ウォーケンもウディ・ハレルソンさえも霞んで見える。コリン・ファレルがまだ一番まともというのも面白い。女性の存在は一人を除いて添え物程度。男のこだわりを映像化した感じです。

■セブン・サイコパス - Seven Psychopaths -■

Seven Psychopaths

2012年/イギリス/110分
監督:マーティン・マクドナー
脚本:マーティン・マクドナー
製作:マーティン・マクドナー 他
製作総指揮:テッサ・ロス
撮影:ベン・デイヴィス
音楽:カーター・バーウェル

出演:
コリン・ファレル(マーティ)
サム・ロックウェル(ビリー)
クリストファー・ウォーケン(ハンス)
ウディ・ハレルソン(チャーリー)
アビー・コーニッシュ(カーヤ)
オルガ・キュリレンコ(アンジェラ)
トム・ウェイツ(ザカリア)
ハリー・ディーン・スタントン(クエーカー)
マイケル・ピット(ラリー)
ガボレイ・シディベ(シャリース)

解説:
アイルランドの劇作家マーティン・マクドナーが、監督デビュー作「ヒットマンズ・レクイエム」に続いて再びコリン・ファレル主演で描くクライム・コメディ。スランプ中の脚本家が、お節介な悪友のせいで危険な裏社会へと巻き込まれていくさまを、ユーモアとバイオレンスを織り交ぜ軽妙に綴る。共演はクリストファー・ウォーケン、サム・ロックウェル、ウディ・ハレルソン、トム・ウェイツ。

あらすじ:
アメリカ、ロサンジェルス。脚本家のマーティは「セブン・サイコパス」というタイトルだけが決まっている作品の執筆を請け負うが、1行も書けないまま締め切りだけが迫ってくる。そこで見かねた親友の売れない俳優ビリーは、ネタ集めにと“サイコパス(イカれた奴)募集”の新聞広告を勝手に出してしまう。するとさっそくマーティのもとには、全米中の凶悪犯を殺しまくったと自慢するアブない男ザカリアが現われる。一方ハンスという男の下で愛犬誘拐詐欺のバイトにも精を出すビリーは、危険なマフィア、チャーリーの愛犬に手を出してしまい大ピンチ。こうしてマーティの周りには、図らずも映画のネタにはもってこいのサイコパスな奴らが次々と集まってくるのだが ―

(allcinema)


Seven Psychopaths

実はビリー(飼い犬誘拐業)はマーティ(脚本家)を心の底から愛していた?
そもそもこれが全ての事の起こり。「セブン・サイコパス」というタイトルの本なのに、自分が描きたいのは「愛と平和なんだ」なんてとぼけた事を言いながら、執筆が全然進まないマーティの横であーでもない、こーでもない、と結構面白いアイデアを出してあげる親友ビリー。「いっそのこと、セブン・レズビアンに変えたら?」とのビリーの言葉にマーティは、、あれは呆れているんじゃ断じてない 「それも、、、いいかも・・・」っていう顔だ。

この映画は登場人物が多い。その上、ビリーやマーティ、その他の人の空想上のお話もハリウッド舞台らしくきちんと映像化されているから、ちと混乱する。
まずは、ここハリウッドでは最近、イタリア系マフィアを狙った殺し“ダイヤのジャック事件”が頻発している。殺した相手の胸にカード“ダイヤのジャック”が置かれているから、そう呼ばれているが、犯人に関しては何も掴めていない。

Seven Psychopaths

そんな話をしながら、初っ端登場するのはマフィアのボス、チャーリー・コステロ組の子分二人。
目玉を撃ち抜いて殺したことあるか?みたいなくだらない会話中。とは言え“ダイヤのジャック”にも気をつけているから、前から走ってきたジョギングしている女性には、さっと銃を胸元から取り出す仕草。でも後ろは完全に隙だらけ。この片側が、ぅわー、マイケル・ピットだー(管理人、注目中)、と思う間もなく、近付いてきた赤いお面の“ダイヤのジャック”の手で天国へ(アーメン

Seven Psychopaths

この人がマフィアのボス、チャーリー・コステロ。
子分や付き合っている女アンジーさえ信用しない冷酷非道な男。息をするように銃を抜く。そんな彼が自分の命よりも大切にし、愛しているのが飼い犬のシーズー“ボニー”。

事の発端は、このボニーをそうとは知らずに誘拐したビリー。ワンコ誘拐業の元締めは怪しい男ハンス。飼い主が愛する飼い犬を見つけた人に懸賞金をかけたところで、「この子、お宅の犬ですか?」と白々しく連れて行き懸賞金をせしめる(セコイ)のが仕事。
しょっちゅう、そんな事をやっているからマフィアの子分達はすぐにハンスとチャーリーを探し出す。彼女に追い出されて転がり込んだマーティも合わせて、マフィアに追われる羽目になり、砂漠に逃げ出した。

Seven Psychopaths

ハンスの過去は誰も知らない。ただ愛する奥さんがガンで入院しており、毎日、花束を抱えてお見舞いに。そんな彼が何故、二人と砂漠に行ってしまったか、には悲しい話があるけれど、ここでは書かないでおこう。

病院である男と対峙するクリストファー・ウォーケンがすごくイイ!思わず『トゥルー・ロマンス』の好きなシーンを思い出した。

一番まともに見える脚本家マーティだけど、気弱で流されやすいところもある。でも一番の問題はお酒に溺れたアルコール依存なところ。朝起きたら記憶が無いほど飲んで、大切な彼女カーヤにもヒドいことを言ってしまった(だから追い出された)。
それを見ていたビリーは、にやにやと実は嬉しそう。

三人は遠足みたいで割と楽しく砂漠で過ごしていたが、ビリーが自らマフィアに連絡。自分が作ったハチャメチャなアクション・ストーリーに沿って、成就できない恋をはかなんでか、単におバカなのか、彼の壮大な自殺劇に向かってラストへと。

以上、登場人物はマーティ、チャーリーの彼女とハンス奥さんを含めて7人(マフィア子分は含めず)。
話の大筋は7人が進めていくけど、面白い登場人物はこれ以外にも。


一つはマーティが話す「クエーカー教徒の話」のクエーカー教徒と彼女の娘を殺した男。これは噂話であって実在するかは途中まで分からない。もう一つはサイコパス募集広告でビリーの元を訪れたシリアルキラー殺し“ザカリア”(注)。シリアルキラーじゃ無いですよ、シリアルキラー“殺し”(結果的にシリアルキラーだけど..)。
どちらもよく出来た話で、ホラーじみたクエーカー教徒の話と、有名な未解決の連続殺人事件はザカリアと相棒が殺人鬼を殺して回ったから未解決、というのも笑える。どちらもきっちりと作品に仕上がっている。
あ、あともう一つあって「復讐するベトナム人の話」。これはマーティが脚本に入れようと一生懸命考えているものの、イマイチで煮詰まる。どうあっても裸の娼婦を登場させたいマーティにハンクが手助けして最後には素晴らしいお話になるというもの。

これでおかしな人間が5人も追加される。
マーティが仕上げた脚本「セブン・サイコパス」の7人とは誰なのか。
↓これは、一部当てになりません。※ネタバレは一番下に

Seven Psychopaths

(注) ザカリアが成敗したシリアルキラー(一部)

テクサーカナの月光殺人鬼(1947:始末した年)
キングズベリー・ランの殺戮者(1954)→これかな「Wiki:キングズベリー・ランの屠殺者
ゾディアック・キラー(1975)→「Wiki:ゾディアック事件

1:ダイヤのジャック
2:ハンス・コステロ
3:マーティ
4:ベトナム人
5:マギー
6:ザカリア
7:秘密

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コメント

コメント一覧 (4件)

  • 『セブン・サイコパス』

    セブン・サイコパス
    映画脚本家の遅筆にネタ集めの為、
    新聞に「サイコパス募集」の広告を載せるが…
     
    【個人評価:★★ (2.0P)】 (自宅鑑賞)
     
    原題:Seven Psychopaths

  • ビリーの一生懸命な感じとシラ~っとしている2人の様子もおかしかったです^^
    アレがビリーの考えるカッコいい最後なんですかねー
    それぞれ男達の生き様の作品ですよね(善し悪しは別として)
    ボニーは巡り巡って、今後は静かに生きて行けそうで安心しました^^

  • ビリーの妄想?脚本?の構想が、B級映画そのもので笑いました~
    頭が撃たれて吹き飛ぶとかかなり笑ったんですが、
     
    …笑うとこデスヨネ…?
     
    クソアマなもんで、女優陣営はばっさりきりすてて
    男だけの話になってたのもよかったかも
    上記ポスターのようなハレルソンの画像も笑いました
    ワンコの可愛い事!

  • セブン・サイコパス

    アイディアに行き詰った脚本家マーティに、親友ビリーがネタ探しのために、新聞広告でサイコパスを募集してしまうという話ですが、コリン・ファレルの垂れた太眉が、余計に困った感を増幅させます(笑)
    で、これ完全に主役が食われている。一応主人公はコリン・ファレルなんですけども、サム・ロックウェルもクリストファー・ウォーケンも強烈。結局一番のサイコパスはビリーだった気がするなあ。
    劇中での脚本制作と…

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