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『パルプ・フィクション』『スナッチ』などと同じタイプの、軽ーいタッチのライト版バイオレンス・コメディ・群像映画。2枚目俳優がどんどん出てきては、おバカ方面に完全に振り切って笑わせてくれる。間抜け面のポール・ウォーカーやブサイクなブレンダン・フレイザー、裸の女ゾンビを見たければぜひ観てみよう!

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■スティーラーズ – Pawn Shop Chronicles -■
2013年/アメリカ/112分
監督:ウェイン・クラマー
脚本:アダム・ミナロヴィッチ
製作:ポール・ウォーカー 他
撮影:ジェームズ・ウィテカー
音楽:ザ・ニュートン・ブラザーズ

出演:
ヴィンセント・ドノフリオ(アルトン)

シャイ・マクブライド(ジョンソン)
ポール・ウォーカー(ロウドッグ)
ケヴィン・ランキン(ランディ)
ルーカス・ハース(ヴァーノン)
ノーマン・リーダス(スタンリー)
マット・ディロン(リチャード)
イライジャ・ウッド(ジョニー)
ペル・ジェームズ(シンディ)
ブレンダン・フレイザー(リッキー)
トーマス・ジェーン(The Man)

解説:
「ワイルド・スピード」シリーズのポール・ウォーカーが「ワイルド・バレット」のウェイン・クラマー監督と再びタッグを組み、個性派キャストを起用して贈るハチャメチャ・クライム群像コメディ。田舎町の小さな質屋を中心に、一癖も二癖もある男たちが繰り広げる3つのイカれたエピソードがハイテンションに描かれていく。出演はポール・ウォーカーのほか、ブレンダン・フレイザー、イライジャ・ウッド、ヴィンセント・ドノフリオ、ノーマン・リーダス、マット・ディロン。なお、ポール・ウォーカーは日本での劇場公開を前に、2013年11月、突然の交通事故でこの世を去った。

あらすじ:
Pawn_Shop_Chronicles_34南部の田舎町。そこにアルトンが営む小さな質屋があった。強盗団のマヌケな男ヴァーノンは、これから強盗を働こうというのにショットガンを質に入れてしまい、仲間はカンカン。一方、質屋を訪れたリチャードは、かつて何者かに掠われた前妻の指輪を発見し、それを持ち込んだ男の家へと復讐に向かう。同じ頃、プレスリーのモノマネでドサ回りをしているツキに見放された文無し芸人リッキーも、営業のためにこの町へとやって来るのだが ―
(allcinema)

 


Pawn_Shop_Chronicles_42原題「Pawn Shop Chronicles」は“質屋日記”みたいな意味。アメリカ南部の小さな田舎町にある一軒の質屋に纏わる物語。この質屋にやって来た客の話が3つ。それが最後には纏まるという手法。
観る前はハチャメチャでドタバタな人々のお話かと思っていたけれど、その通りだった だけれどコメディと括るのはちょっと違う、バイオレンスホラーな部分もあったりして、最後まで目が離せませんわよ。
ちなみに邦題の「スティーラーズ」は英語で“Steelers”。“固い”とか“大物”みたいな意味らしい。この映画では“イケイケ”みたいに思ったけどネ

Central Pawn Shop
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アルトンが経営する、たいそうな店名の付いている質屋。商品のほとんどはガラクタ。友人のジョンソンが一日中店にいて、2人で議論したり喧嘩したりうだうだと喋っては時間をつぶしている。
アルトンは最近運転中、自分の赤い車に危うく車をぶつけられそうになり、相手の運転手に中指を立てたことから逆恨みされ、付け狙われている。追いかけられて怖い思いをしたのは8回にもなり、現在、赤い車は販売中。
今日の客はライフルを売りに来た地元のヴァーノン、指輪を預けに来た通りすがりの新婚リチャード、金のメダルを持ってきたプレスリー芸人リッキー。

頭の切れる刑事でも無い、ギャングのボスでも無い、シャツが汗だくな、太った田舎の親父ヴィンセント・ドノフリオにビックリ。決してぼんやりした店主じゃなくて、商品を見る目は確か。友人ジョンソンに文句を言いながらレモネードを入れて食事を作ってやる優しさがおかしい。

ショットガン:ドラッグへの道
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お馬鹿なヤク中3人組ロウドッグ、ランディ、ヴァーノンが、薬物の提供元であるスタンリーの薬物工場へ強盗に入る計画を立てる。だがあまりにもお馬鹿なために、話し合いの段階で武器を無くし、ヴァーノンが大怪我。それでも決行したロウドッグとランディは笑えるお面なんかで顔を隠し、スタンリーの所に向かうが―

Pawn_Shop_Chronicles_38この3人のバカさ加減に大笑いできるコメディ編。でも途中からは状況が変わって危険なバイオレンス風に。怪我を負わされたヴァーノンが復讐のために“ある男”からショットガンを贈られる。このニヒルなカウボーイ“The Man”の一挙手一投足は、このおバカコメディにそぐわないほどカッコいい。彼の正体は不明だ
ポール・ウォーカーってこんな↑お間抜けな顔が出来たんですねー。もっと見たかったなー..

指輪:檻の中の愛
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たまたま質屋に立ち寄った新婚リチャードは、6年前にさらわれて行方不明になった前妻シンディに贈った指輪を見つける。誰が売りに来たのかをアルトンから強引に聞き出したリチャードは指輪の持ち主を遡り、とうとうシンディに繋がる男を見つけ出すが―

これはホラーですよ。だってイライジャ・ウッドが例のダーク・イライジャで出てますからね。新妻をほっぽり出して、愛する前妻シンディを探す夫がとうとう見つけたダーク・イライジャの根城。この根城が今までの登場人物達のしょぼい小さな家とは比べられないほどの豪邸というところにも皮肉が。
ダークからかなり強引に妻の生死を聞き出した夫リチャードが見つけたものは、世にもおぞましいたくさんの“檻”だった。この結果、出てきたモノを上↑のロウドッグが襲撃前に見かけてるんですねー、鼻の下伸ばして。

ザ・メダル:十字路
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コーヒー1杯のお金にも困っているドサ回り芸人リッキーは、郡のお祭りで舞台に出るため、この町にやって来た。あまりの金欠にステージの小道具である「KING」と掘られた金メダルを質に入れ、ようやく手にしたお金で散髪に。この町には隣り合った2軒の散髪屋があるが、このどちらに通うかで町は2つの勢力に分かれていた。また入り口には謎の男が立っており、夢を叶えたければ魂を売れ、とリッキーに囁くが―

Pawn_Shop_Chronicles_40ブサイクですよーブレンダン・フレイザーがっ!奇妙な髪型をして太った身体にプレスリーの衣装。ちょっと短めのパンタロンは裾が汚れていて、着た切り雀なんだろうなー。だから、いつも、どんな時でもプレスリーなわけで、食堂で腰掛けている時も足の形がプレスリー。これまた太いんですよ、足がー。
こんな可笑しな彼だけど、町の人はもっとヘン。散髪屋2大勢力に分かれていていがみ合ってる。そんな町のお祭りで舞台に立った彼の歌なんか誰も聴いちゃいない・・ 思わず涙が出そうになった時、例の謎の男が微笑みかける。その男に願をかけた途端、奇跡が この男の正体は神か悪魔か。今までの流れからして悪魔だろうねー。


こんなバンッラバラのお話が最後には一つになって、赤い車のオチまで付けるという素晴らしいストーリー。ほんともう、ずっとニヤニヤして観てました。ハリウッドの男前達をここまでブサイクに撮った監督に感謝。

監督ウェイン・クラマー
Wayne_Kramer南アフリカ共和国の映画監督、脚本家。
ヨハネスブルグ出身。ウィリアム・H・メイシー主演のダーク・コメディ『The Cooler』で2003年に監督デビュー。2006年にポール・ウォーカー主演のアクション映画『ワイルド・バレット』を、2009年にハリソン・フォード主演のドラマ映画『正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官』を手がける。
(Wiki:ウェイン・クラマー)

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • 群像クライムコメディでありながら、そこにオカルトやサイコ要素まで入れ込んだ、非情に面白い作品でした。出演俳優も豪華ですよね。もう振り切った演技に脱帽です。
     
    >ブレンダン・フレイザーは私としては『ハムナプトラ』
    確かにそうですね!それでも最近は真面目な検事役なんかもあって二枚目と認識しておりました。
    この映画の彼は、なんとも形容しがたい、なんていうかいろんな意味で臭ってきそうな感じなんですが、歌は上手でした^^
     
    >ポール・ウォーカーって、本作が遺作に
    そうだそうです。それこそいつも二枚目なイメージだったので、本作みたいな彼をもっと見たかったです。
    (ブラピも『ファイトクラブ』や『イングロリアス・バスターズ』みたいな方が好きな者にとっては..)

  • 良さげですねえ。おそらく多分わたくし好みでしょうし、
    見つけたら観てみますわ。楽しみです。
    しかし、ポール・ウォーカーって、本作が遺作になるんでしょうか…。
     
    ブレンダン・フレイザーは私としては『ハムナプトラ』の俳優でして、
    割と三枚目寄りのイメージなので、これも違和感ないかも…。
    ブルース・キャンベル辺りが似合いそうな映画ですかね。

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